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朝食と従魔達の首輪

 すっかり暗くなった闇の中を走り続け、見覚えのある城門が見えた時には、帰ってきたんだって安心感があってちょっと嬉しかった。うん、やっぱり夜は屋根のある所で寝たいよな。



 到着して街に入った俺達は、そのまま冒険者ギルドへ向かった。

 もう正直言って、新しい従魔の登録をするのなら明日で良いだろうと思っていたんだけど、何かあった時に困るから早く登録する方が良いと、ハスフェルとギイの二人から真顔で言われたからだ。


 結局、冒険者ギルドでそれぞれ新しい従魔の登録をしてもらい、ディアマントさんに言って、買取金額の振込明細を頂きました。

 うん、気が遠くなりそうなとんでもない金額が書かれていたので、もう俺は笑うしか無かったです。はい。


 用事が済んだのでそのまま宿泊所へ戻り、その日はもう早めに休む事にした。

 船舶ギルドは明日だね。



 部屋に戻った俺は、身につけていた防具を手早く脱いで、いつものように綺麗にしてもらい、早々にニニの腹毛に潜り込んだ。

 反対側にマックス、背中側に巨大化したコニーとラパンがぎっしりと潜り込んでくれ、腹側にはタロンだけでなく新しく仲間になったレッドグラスサーバルのソレイユと、レッドクロージャガーのフォールが一緒になって潜り込んできた。ニニの背中側ではベリーとフランマがくっついて寝ている。

「ふおお! 幸せパラダイス空間、さらにパワーアップしました!」

 三匹を抱きしめて叫んだ俺は、そのまま気持ちよく眠りの国に旅立って行きましたよ。

 うん、もふもふの癒しパワー凄え。





 ぺしぺしぺし……。

 ふみふみふみ……。

 カリカリカリ……。

 おお、いつものモーニングふみふみタイムだ……。

 ぼんやりと目を覚ました俺は、起きようと寝返りを打った。だけど、やっぱりもう少し寝ていたくて、ニニの腹毛の海に顔を埋めようとした。


 ザリザリザリ。

 ジョリジョリジョリ。


 すると突然、額と首筋に与えられたまるでヤスリで削られたような刺激に、俺は文字通り飛び起きた。

「え? 何? 今の何?」

 下手したら、肉を持っていかれそうなレベルの痛さだったぞ。

 叫んで飛び起きたまま首筋を押さえて周りを見渡すと、斑点模様の猫サイズの従魔達二匹が、嬉しそうに声の無いにゃーをしてくれました。

「ご主人起きた!」

「起きた起きた!」

 嬉しそうに目を細めるソレイユとフォールを見て、俺は無言でニニの腹にもう一度突っ伏した。

「あ、もう寝ては駄目だよ」

「そうだよ。もう起きる時間でーす」

 賑やかなその声に右を向くと、いつもの定位置では笑顔のシャムエル様が笑って手を振っていた。

「今日のモーニングコールは新人さん達がするって言うから、私達は最初だけにしたんだよ。どうだった? 彼女達の起こしっぷりは」

「いやあ、ちょっと命の危険を感じるレベルだったね。さすがは肉食獣だよ」

 笑って覗き込むソレイユとフォールの顔を、順番に両手で握っておにぎりの刑にしてやった。

 嬉しそうに喉を鳴らしているのを見て、苦笑いした俺は順番に他の子達にも挨拶をしてから起き上がり、顔を洗いに水場に向かった。

 冷たい水で顔を洗ってからサクラに綺麗にしてもらい、飛び跳ねているアクアとサクラを捕まえて下の段の水槽に放り込んでやる。

 プティラとファルコはまた、水槽から流れ出る水で、水浴びをしていた。他の子達も順に水を飲んでいるのを見て、部屋に戻った俺は手早く身支度を整えていった。

 洗っておいてあった水筒には、一番上の段の湧き水を満タンまで入れておく。



『おはよう。起きてるか?』

 頭の中にハスフェルの声が聞こえる。

『ああ、もう支度は出来てるよ。今朝はどうする?』

『じゃあまたいつもの屋台に行こう。今から出るよ』

『了解、じゃあ俺も出るよ』

 頭の中で答えると、ベリーとフランマを残して全員で屋台のある広場へ向かった。



「これさあ、戦力的には大幅アップしているんだけど、見かけ的にはあんまり変わっていないよな」

 猫族の従魔達は、猫サイズになって、揃ってニニの背中に乗っている。

「だけど、あれって首輪とかしなくても良いのか? 見かけは猫だけど猫じゃ無いよな」

 小さな声でハスフェルに聞いてみたが、ハスフェルも苦笑いしている。

「だが、あのサイズで首輪を作ったら、大きくなる度に外してやらないといけないだろう? それはちょっと緊急事態の時には困るんじゃ無いか?」

 確かに、大きくなって首が締まるのは絶対に駄目だ。

「伸び縮みの出来る首輪? ううん、さすがにそれは無いよな」

 顔を見合わせた俺達は、小さく首を振ってため息を吐いた。

「まあ、後で考えよう。猫には首輪の義務は無いからな。とりあえずは、街中では大きくならないように言い聞かせておくのが良いんじゃ無いか」

「だな。後で言い聞かせておくよ」


 ハスフェルの従魔になったスピカは、シリウスの背中に乗っかって嬉しそうに周りを見回している。ギイの従魔になったベガは、彼の左肩に乗り上がるようにして、これも嬉しそうに周りを見回している。

「街中にいる時だけ、首輪をしておくのが一番良さそうだな。一応後で探してみるか」

 ハスフェルの呟きに、ギイも笑って頷いていた。



 到着した広場で、俺はいつものお粥を買い、ハスフェル達はまたがっつり肉を挟んだバーガーやサンドイッチを買い込んでいた。

 相変わらず朝からよく食うな。さすがに俺は、朝からあれは無理です。

 大人しくエビ団子の入った優しい味のお粥を食べ、食後にはコーヒーをマイカップに入れてもらってのんびりと香りを楽しみながら飲んだよ。


 それから、ハスフェルの案内で、革細工の店へ行き、ネコ科の猛獣チームに、それぞれ街の中用の首輪を買ってやった。

 街の中だけなら構わないと皆納得してくれたので、それぞれ気に入った色を選んだ。

 しかし、サーバルとジャガーだと、首の太さが全然違っててびっくりしたよ。

 結局、サーバル二匹は猫用の大きめのサイズのであったんだが、ジャガーチームは犬用の大きな首輪しか合うのがありませんでした。


 いやあ、ジャガーの首って太い!


 だけど、それぞれ綺麗な色の首輪を買ってもらって、皆喜んでいたよ。

 俺のソレイユは明るいレモン色。フォールは濃いワインレッドに白のステッチが入ってるのにした。

 クーヘンの従魔になったサーバルのグランツとジャガーのシュタルクはお揃いの綺麗な緑色だ。

 ハスフェルのジャガーのスピカは、明るいオレンジ色。ギイのジャガーのベガは紺色に決まった。



 それが終わると船舶ギルドに寄り、これまたものすごい金額の書かれた買い取り金の振込明細をもらいました。

 それから相談の結果、このまま渡し船で西アポンへ行ってみる事にした。

 西アポンにはハスフェルお勧めの腕の良い武器屋があるらしく、以前洞窟で言っていた槍が欲しかったからです。


 新しい街、西アポン。どんな所なのか気になるよな。

 それに、渡し舟とは言えこの世界の船に乗るのも初めてで、ちょっとテンション上がったのは内緒にしておこう。

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