表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1447/2069

緊急事態発生と思わぬ再会!

 カンカンカンカンカン!

 突如街中に鳴り響いたけたたましい鐘の音に、俺達は飛び上がって外へ駆け出して行った。



「なあ、一体何事だよ!」

 先に飛び出したハスフェルの腕を掴んでもう一回そう叫んだ瞬間、突然すぐ側にベリーの姿が現れた。

「緊急事態です! 岩食いが現れました!」

 ベリーの叫ぶ声に全員が真顔になる。

「何処に出たんだ!」

 ハスフェルの怒鳴るような大声にフクシアさんが飛び上がってたけど、全員の視線はベリーに釘付けのままだ。

「再生の森のすぐ横です。最悪の出現場所です!」

「なんだと! 再生の森だと!」

「やめてくれ! ようやく木々が育ち始めたところだというのに!」

「仲間達が、これ以上森に近付かないように守っているのですが、逆にそのせいで、岩食いを殲滅出来るほどの強火力の術を使えないんです。岩食いの群れを森から引き離す為に、熱風を使って何とか誘導しているところです」

「頼む! 俺達に出来る事があれば何でも言ってくれ」

 真顔のガンスさんの叫ぶような言葉に、ギルドマスター達が一斉に頷く。それどころか、飛び出してきていた職人さん達までもが、全員揃って真顔で何度も頷いている。

「もう、あんな思いは真っ平だよ」

「俺達にも何かさせてくれ!」

 口々にそう叫ぶ職人さん達を見て、こちらも真顔のベリーが頷く。

「今回の出現の中でも最大の岩食いの群れが、再生の森のすぐ横に現れました。これは以前モンスターが現れたのと同じ場所です。しかも、仲間達の報告によると、別の場所にあと三箇所、岩食いの出現を確認しています。このうち二箇所はすぐに対応出来たので処理出来ましたが、一つ、地面の下に潜った群れがいるそうです。最悪街の近くに現れる可能性もありますから、火の術の使える人達を街の各城門に集めてください。それから、冬場は閉鎖していますが、鉱山の入り口部分も充分な警戒を。地下は別の者達が警戒に当たっていますが、逆に入り口から岩食いに入られる可能性もあります」

「了解だ。すぐに人をやって警戒に当たらせよう」

 エーベルバッハさんが真顔でそう言うと、もの凄い勢いで走り去って行った。

「ええと……」

 これはのんびりお城へ帰っている場合じゃあないかも。

 まだずっと鳴り響いている鐘の音を聞きながら、不意に湧き上がってきた言葉に出来ない不安に、大きく体を震わせた俺だったよ。




「いた〜〜〜〜!」

 とにかくマックス達と合流する為に大急ぎでギルドへ戻っていた俺達は、ギルドの建物の前で聞き覚えのある声が聞こえて驚いてムービングログを止めて振り返った。

 そこには何と、シルヴァとグレイとレオとエリゴール、そしてエラフィを連れたオンハルトの爺さんまでもが勢揃いしていたのだ。彼らの肩にはスライム達の姿もある。

「ええ〜〜! シルヴァにグレイ! レオにエリゴールも! それにオンハルトの爺さん! どうしたんだよ!」

 咄嗟にムービングログから飛び降りてそう叫ぶと、にっこりと笑ったシルヴァが両手を広げて俺に飛びついてきた。

 ムービングログを離して、俺よりも小柄なその体を慌てて抱き止める。



 ああ、何この柔らかさ……しかも良い香り付き……。



 一瞬思考が明後日の方向に向きかけたのを無理矢理に引き戻す。

 今、このタイミングで突然彼らが現れた意味なんて、どう考えても一つしかない。

「なんだよ、そんなに子猫達に触りたかったのかよ。残念だけど子猫達はお城に置いてきてるから、ここにはいないぞ〜〜〜!」

 湧き上がる不安に足が震えそうになりつつも、ふざけた口調でそう言って笑ってみせる。大丈夫だ。ちゃんと笑えた。

「あはは、子猫ちゃん達、最高だもんね!」

 抱きついたままだったシルヴァが俺の言葉に小さく笑ってそう言い、俺の鼻先にそっとキスをくれた。

「だけどそれは全部終わってからね。冗談抜きで時間がないわ。緊急事態なの」

 真顔のシルヴァの言葉に、神様達が全員揃って真顔で頷く。

「例の岩食いが現れたわ。しかも最悪な事に、街の近くにも気配があるの。鉱山のある北側の城壁のすぐ側よ」

「お、お前さん……まさか、岩食いの気配が分かるのか?」

 ものすごい勢いで身を乗り出したガンスさんがそう尋ねる。

「完全にって訳じゃあないけどね。間違いなく、再生の森に現れたのと同レベルの巨大なのが出るよ。地面が嫌がってざわついているもの」

 レオがそう言って地面を見る。それにつられて全員が無言になって、それぞれの足元の地面を見たよ。

 この下に、あの岩食いが蠢いているのかと思ったら、あらぬところが冗談抜きでヒュンってなったよ。



「ええと、それでどうするんだ……?」

 状況は分かったけど、のんびり再会を祝う雰囲気でもないし、そんな時間もなさそうだ。

 恐る恐る尋ねた俺の言葉に、オンハルトの爺さんが大きく頷く。

「俺達は北側の城壁横へ行く。お前さん達も来い。もちろん従魔達も一緒にな」

 慌てて頷いた俺達は、大急ぎでギルドの厩舎へ行って従魔達を連れてきた。

 そしてそのまま一旦ギルドマスター達と別れて、ランドルさんも一緒に北側の城門へ向かったのだった。


挿絵(By みてみん)

2023年4月14日、アーススターノベル様より、もふむくの四巻が発売となりました!

表紙とイラストは引き続き、れんた様が素敵に描いてくださいました。

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ