早朝のひと時
リナさん一家とランドルさんはここにはいませんね。下書きの一部をそのままコピペしていました。
大変失礼しました。
該当部分を訂正しました。
「なんだよ。付き合いの悪いやつだなあ。せっかくの自分が所有する地下洞窟なのに、持ち主が行かないでどうする」
ニンマリと笑ったハスフェルの言葉に、ギイがこれまた満面の笑みで頷いている。
「いやいや、俺は攻撃型の術なんて使えないんだから、こいつで戦うんだよ!」
今は装備していないので自分で収納している、あのヘラクレスオオカブトの剣を鞘ごと取り出して見せる。
「まあ、確かに術が使えないと、水中では戦えないがなあ」
腕を組んだギイのしみじみとした呟きに、ハスフェルも苦笑いしている。
「まあ、だけどまだもう少し料理をしたいから、とりあえず、俺はしばらく留守番するよ」
「腕が鈍るぞ」
呆れたようなハスフェルの言葉に、俺は笑って誤魔化しておいたのだった。
「ほら、今はまだ子猫達から離れたくないってのもあるからさ!」
錦の御旗! 留守番する為の最高の言い訳! 子猫様様だよ。
子猫の話を出すとハスフェル達も納得してくれたみたいなので、当面の間俺は留守番しながらひたすら料理をする事になった。
それから俺の従魔達は、交代で何匹かは留守番しながらハスフェル達と一緒に地下洞窟へ入る事になったよ。
確認してみると、一応ローテーションを組んで毎日五匹ずつ留守番する事にしたみたいだ。もちろんいつも留守番しているお空部隊と鱗チーム、それからウサギコンビとエリーとアヴィはずっと留守番組だよ。
それからマックス達が集めたジェムと素材やアイテムの回収は、俺のスライム達を寄越すことにした。
とはいえ、俺の料理の手伝いにスライム達は絶対に必要なので、相談の結果、アクアとサクラはずっと留守番で、それ以外の子達はレインボースライムチーム、メタルスライムチーム、雪スライムチームの三チームに別れてもらい、交代で1チームにはマックス達と一緒に地下洞窟へ行ってもらう事にした。あ、もちろんクロッシェも留守番組だよ。
まあ、スライム達は無駄に数がいるので、こういう時には便利だよな。
一応そこまで決まったところで、本日は解散になったよ。
俺は、部屋に戻ったあと少し休憩してからお風呂に入ってしっかりと温まってから、今日のベッド役の巨大化したヤミーのお腹に嬉々として潜り込んだのだった。
はあ、ヤミーの腹毛も、なかなかに良きモコモコだぞ……。
翌朝、俺は珍しく起こされる前に何故か目を覚ました。
眠い目を擦って見たカーテン越しに見える外の様子は、まだ薄暗いので恐らく夜明け前辺りだろうか。
「ふああ……あれ? なんだよ。まだ皆寝てるじゃんか……」
熟睡しているヤミーのお腹は、いつものニニよりも少し早いくらいの呼吸でゆっくりと上下している。ヤミーの胸元の辺りには、熟睡しているシャムエル様とカリディアのくっついている姿も見える。おお、ダブル尻尾の威力のすごい事!
だけど、残念ながら今の俺の位置からだと、シャムエル様の尻尾には手が届かないんだよなあ……ああ、悔しい!
小さなため息を吐いて苦笑いした俺がモコモコのヤミーの腹毛にもたれかかって暖まりながら寛いでいると、不意に甲高い子猫達の鳴き声が聞こえてきた。
「はいはい、お腹空いたのね。ちょっと待ってね」
優しい声で笑ったニニの声も聞こえる。
「キャウ! キャウ! キャウ! キャウ! キャウ! キャウ!」
「ピイ! ピイ! ピイ! ピイ! ピイ! ピイ!」
「フビャウ! フビャウ! フビャウ! フビャウ! フビャウ! フビャウ!」
子猫達の個性的な鳴き方は変わらないんだけど、声の元気さと力強さが昨日とは全く違うよ。なんて言うか、もはや別の子達なんじゃないかと疑いたくなるくらいに違うレベル。
今は丁度早朝のミルクタイムなんだろう。ご機嫌のニニが鳴らす喉の音がここまで聞こえてくる。そしてそれを聞いて、まだ熟睡している他の猫族軍団の子達までが嬉しそうに喉を鳴らし始めた。
「おお、ヤミーの低いゴロゴロも響くなあ」
お腹に張り付いている俺は、ヤミーが鳴らす喉の音のおかげで全身マッサージ状態だよ。
小さく笑って、ずり落ちそうになるのを堪えてもう少し這い上がってモコモコなお腹の上に陣取る。
一応、腹の上に俺が乗って寝ても大丈夫かは確認しているんだけど、どの子も俺一人くらいの体重なら無いのと同じだって笑って言われたんだよなあ。
ミルクを飲みながらも甘えるみたいに鼻で鳴いている子猫達の声を聞きながら、俺はまた気持ち良く二度寝の海へ墜落していったのだった。
ああ、子猫達の鳴き声と猫族軍団の喉の音を聞きながら二度寝するって、もう最高のBGMじゃんか。はあ、幸せだなあ……。