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今日の目的地へ到着!

「では、我々は最下層へ行かせていただきますね。もしかしたら新しい部分と繋げる際に、少し振動があるかもしれませんが、しっかり守っていますからどうぞご安心を」

 満面の笑みの長老の言葉に、俺が止めるより早くハスフェルが嬉々として長老を呼び止めた。

「待ってくれ。少しだけ聞きたい事がある」

「はい、いかがしましたか?」

 慌てたようなハスフェルの言葉に、足を止めた長老が振り返る。他のケンタウロスやベリーも、何事かと一斉にこっちを振り返った。

「今、最下層へ行くと言ったな。って事は、その新しく広がる部分と繋がるのは最下層からなのか?」

「ええ、そうですよ。最下層のちょうど横あたりに一つ巨大な空間があり、そのもう一つ下の階層が半分水没状態になっているんです。その下層は一部が細い通路になって繋がっていて、合計五ヶ所の大小の空間があるのまでは確認しています。水没部分の空間は全部で三箇所。これは丸ごと全部水没していますから、正直に申し上げると、ケンやそちらの人間のランドル、それから草原エルフの皆様方が行くのにはかなり無理がありますね。最低でも水と風の最上位までの術を完璧に扱えないと、万一水の中で術が崩壊したらその瞬間に色々と終わりますよ。危険極まりありません。肝心の洞窟の持ち主が、自分の庭にある地下洞窟で不審死を遂げた! だなんて、今時流行りませんからね」

 わざとらしく肩をすくめる長老の言葉に、ランドルさんとリナさん達が揃って残念そうな声を上げる。

 だから、なんで残念そうなんだよ。

 ため息を吐いたハスフェルは、チラリと俺を見てからため息を吐いた。

「まあ、その辺りは一度戻ってから改めて相談しよう。とりあえず今日のところは、ケンや他の皆を肉食恐竜の所へ連れて行くのが第一目的だからな」

 笑ったハスフェルの言葉に、ギイとベリーが揃って笑顔で大きく頷く。

「まあ、個人的には今すぐに最下層へ向かいたいところだが、今日のところはケンタウロス達にお任せしよう。ベリー、後でどんな風だったか教えてくれよな」

「了解です。ではせっかくですので地図を描いておきましょう。それがあれば、初見で入る時の助けになりますでしょうからね」

 満面の笑みのベリーの提案に、ケンタウロス達が口々に地図を描くなら任せろと、何故かそう言って誰が地図を描くかでめっちゃ盛り上がってるし……。

 って事で、嬉々として行ってしまったケンタウロス達を見送り、俺達は昨日と同じように俺を真ん中にしてまずは肉食恐竜のいる場所目掛けて進んで行ったのだった。

 うう、大丈夫かなあ……俺。




 トライロバイトのいる一階層を抜けてどんどん進む。進む。進む。

 トライロバイトのいた場所。めっちゃ出現数が少なかったのは、きっと先行しているケンタウロス達が駆逐して行ったからだろう。

 ベリーが一人でもあれだけ凄い事になったんだから、十人もいたら、下手すりゃ相手が足りないなんて事態になるんじゃあないのか?

 冗談抜きでそんな事を考えていたんだけど、後でベリーに聞いたところによると、実際にその通りだったらしい。

 何でも一番最初のトライロバイトのいた場所の時点で、誰がやるかで大騒ぎになったんだって。で、結局相談の末に、相手がなんであれ一人ずつ順番に駆逐しながら進む事で決着したらしい。

 つまり、トライロバイトの場所で一人、ステゴザウルスのいた場所でも一人、トリケラトプスのいた場所でも一人、肉食恐竜のいた場所でも……。

 うん、あえてコメントは避けさせていただくよ。どう考えても色々とその割り振り方はおかし過ぎるからさ。



 そして、黙々と地下道を進んだ俺達の方は、トリケラトプスのいる広い場所に到着していた。

「まあ、ケンには少々思うところのある相手だからなあ。まずはあいつを倒してから肉食恐竜のところへ行こうと思うんだがどうだ? いいだろう?」

 もうこれ以上ないくらいの良い笑顔のハスフェルの提案に、マジで気が遠くなっていた俺だったけど気力で頷いたよ。

 だって、確かにトリケラトプスにはほぼ良い思い出がない。ってか、はっきり言って酷い目にあった覚えしか無い。

 だけどまあ、確かに新しくなった装備でなら改めて戦ってみるのも良いかもしれないな。

 無言で腰のヘラクレスオオカブトの剣を押さえた俺は、真剣な顔で大きく頷いたのだった。

 よし、ここは雪辱戦と行こうじゃあないか!

挿絵(By みてみん)

三月九日より、コミックアース・スター様にて「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」のコミカライズが連載開始となります!

作画は、エイタツ様が担当してくださる事になりました。

どうぞ、公開までもうしばらくお待ちくださいm(_ _)m

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