豪華食べ放題の夕食!
「お待たせ〜〜って、うわあ何か凄い事になってるなあ」
急いでリビングに戻って机の上を見た俺は、思わずそう叫んでいた。
だって、さっきまで俺の料理しか並んでいなかった机の上は、もう大変な事になっていたのだ。
どうやら各自が好き勝手にお薦め料理を取り出したみたいでいつもの机の上には到底乗り切らず、焼肉パーティーの時に使った大きな机が追加で二つも並べられていて、そこにもさまざまな料理があふれんばかりに並べられていたのだ。
しかも並んでいる料理はいつも以上にバラエティに富んでいて、定番人気の揚げ物や串焼き肉、鳥を丸ごと焼いたのや、骨付き肉の焼いたり揚げたりしたものなど様々な肉類、バーガーやホットドッグなどパン類は言うに及ばず、炒め料理やパスタ料理の数々、ロコモコ丼や牛丼みたいな陶器のお椀に入った丼ものや焼き魚、おにぎりの数々に汁そばやオムレツなんかまで並んでいてちょっと驚いたよ。
それから机の端の方に並んだ携帯コンロには幾つも鍋が並んでいて、これまたいろんなスープや汁物が弱火にかけられていたのだ。それから、離れ小島みたいに少し離した壁際に置いてあるまた別の机の上には、果物をはじめ超豪華なお菓子の数々がこれまた所狭しと並べられていて、もう大変な事になっていたよ。
いつの間にかいなくなっていたシャムエル様が、このお菓子が並んだ机の隅っこで文字通り狂喜乱舞して踊り狂っていたのは言うまでもない。
「おお、こりゃ凄いなあ。良いねえ、こういうのも時々やろうよ」
さっき焼いた西京漬けも自分の前に無理やり隙間を作って取り出して並べながら、もう笑いが止まらない俺だったよ。
作り置きの料理はどうしても俺の好みが入ってしまうし、そもそも俺の作れる料理自体が限られている。それに店で買う時だってついつい自分の好きなものを優先して買うので、どうしてもメニュー自体がワンパターンになってしまいがちだ。
だけどこうして見る限り、バーガーひとつ取ってみても本当に色んな種類があるし、定番の串焼きだって色んな味や肉の種類がある。これは俺だけでは絶対に探しきれない種類と量だよ。
「いやあ、いつも本当にケンさんにはお世話になっているし、それに改めて意識して見てみると屋台料理の種類って案外多いんですよね。なので好みのものを探す楽しみが増えましたよ。まあ、これも時間遅延の有難い収納袋があっての事ですけれどね」
笑ったランドルさんの言葉に、アーケル君達も揃って頷いている。
「確かにそうだな。じゃあ遠慮なくいただくよ」
笑って頷き合い、そこからこれは誰が出した料理だとか、俺はこれが好きなんだとか、もう皆好き勝手に言っては笑い合い、それぞれ手にした大きなお皿に山盛りの料理を選んでいったのだった。
多分、超豪華なホテルのバイキングなんかよりもメニューも品揃えも豪華で豊富だったと思う。
料理以外にも、当然のように大量のお酒や飲み物なんかもちゃんと用意されていて、俺は冷えた地ビールをもらい、まずは最初の一杯目は皆で乾杯だ。
「ケンさんの新しい装備に乾杯!」
いつもは何となく俺が乾杯の音頭を取っていたんだけど、今回はグラスを掲げた瞬間に俺以外の全員が揃ってそう言ってくれて、ちょっと感動して涙目になったのは内緒だ。
そこからあとはもう、ひたすら食べて笑ってまた食べて、合間に飲んではまた食べての楽しい時間になったのだった。
「いやあ、もう限界だ。ああ少食な自分の胃袋が恨めしい」
残っていたビールを飲み干しながら、天井を見上げた俺はそう呟いて大きなため息を吐いた。
一応、メインは自分が食べたかった西京焼きとおにぎりにして、あとはあまり食べた事が無い料理を中心に色々ちょっとずつ頂く作戦でいったんだけど、机の上に並んでいる料理の種類は俺の予想を遥かに超えていたね。
残念ながら全種類制覇はなりませんでした! ってか、あんなの絶対無理だって!
もちろん、料理だけじゃなく、シャムエル様用にお菓子や果物も山盛りに何度も取ってきたよ。まあこれは果物を少しもらっただけで、あとは全部まとめて進呈したけどね。
多分、シャムエル様は最初に俺の皿から普段と変わらないくらいの量の料理を食べただけで、あとはひたすらお菓子を食べていた気がする。まあ、喜んでくれたみたいだから良いんだけど、冗談抜きであの小さな体の何処にあれだけの量が入ったのか、マジで気になるんだけど……。
ちなみに収めの手も、最初に俺が供えた料理の時に、今夜は食べ放題なので、どうぞあとはお好きに選んで取ってくださいって言っておいたら、もう嬉々として現れて、俺と俺の料理を撫でまくったあとは、机の上にすっ飛んで行き、並んでいる料理やお菓子の数々をひたすら撫でまくって持ち上げる振りをして、制覇して回っていたのだった。
まあ、こちらも楽しそうで何よりだよ。
それにしても、今日ほど胃薬が欲しいと思った事はなかった夕食だったよ。
何はともあれ、ご馳走様でした〜〜〜〜!