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雪スライムのテイムと地下洞窟

「はあ、じゃあこれで今日のテイムは終了な!」

 ベリーの残り八匹と、ハスフェルとギイにそれぞれ五匹の雪スライムを渡した時点で、俺の総テイム数は十八匹となり、まあ別にまだ大丈夫だとは思うけど、ランドルさんやリナさん達の手前もあるのでここで今日のテイムは打ち止めにしたよ。

 リナさんとアーケル君とランドルさんは、それぞれ残りの子達は昨日のうちにテイムしているので、ランドルさんはクーヘンの土産にする雪スライムを十匹、リナさんがアルデアさんに十匹とオリゴー君に五匹、アーケル君がカルン君に十匹とオリゴー君に残り五匹をそれぞれテイムしてあげて、ここでそれぞれ打ち止め。

 無事に全員に十匹の雪スライムがテイムされたところでそれぞれのギルドカードを取り出して確認したら、全員にちゃんとスノーマスターの文字が燦然と輝いていて、全員揃って大爆笑になったよ。



「いやあ、それにしてもなんとも不思議ですねえ。このダイヤモンドダスト合成。しかもダイヤモンドダスト付き! いやあ素晴らしい!」

 ランドルさんは、目の前に並んだ二匹のダイヤモンドダスト合成した雪スライムを前に、さっきから大笑いしながら何度も何度も同じ言葉を言い続けている。

 そして、こちらも満面の笑みでダイヤモンドダスト合成した子を嬉々としておにぎりにしているベリー。

 実は、ベリーにダイヤモンドダスト合成について教えて驚かせてやろうとしたんだけど、昨日雪スライム達と話をしていて、このダイヤモンドダスト合成の話自体は聞いていたみたいでもう知っていたんだよ。

 せっかくだから賢者の精霊の知らない事を教えて驚かせてやろうと思っていたのに。残念!

 だけど、実際に目の前で合成するのを見た時には、そりゃあもう大喜びだった。

 なんでもこの合成自体はテイムされた子にしか出来ない特殊な技らしく、野生の状態では必要数が全員揃っていても合成出来ないんだって。

 成る程。この合成自体はテイムされた従魔達専用の特技みたいな扱いな訳か。

 それから、ベリーはケンタウロスの長老に念話で連絡を取ったらしく、明日以降に順番にテイムしてもらう為にこっちまで来てくれるらしい。

「ケンタウロスの長老って……もしかしてあの鉱山でお見かけした、ハスフェル達並みにすっごい筋骨隆々な眼光鋭いお方?」

 北海道のばんえい競馬の馬並みにデカくて筋骨隆々だった、あの鉱山でお見かけした巨大なケンタウロスを思い出して遠い目になる俺。

「ええ、そうですよ。長老もケンとゆっくり話をしたがっていましたので、是非遊んでやってください」

「あはは、まあお手柔らかに頼むよ」

 間違いなく聞かれるとしたら俺の元いた世界の事だろうから、ここで詳しい話はしない方がいい。

 誤魔化すようにそう言って、まだまだいる雪スライム達を見た。

「じゃあ、申し訳ないけど今日のテイムはここまでな。また明日になったら順番にテイムするからよろしく」

 俺の呼びかけに、雪が蠢いて一瞬で静かになる。どうやら、適当に散らばったみたいだ。

 って事で、雪スライム達と別れた俺達は地下洞窟の入り口へ向かった。




 雪にすっかり埋もれていた地下洞窟への入り口付近は、スライム達が張り切って雪を片付けてくれたので、そこだけポッカリと地面が見えているよ。

「成る程ねえ。重労働の雪かきも、スライム達にお願いしてやってもらえばいいのか」

 感心したように呟いた俺は、収納していた入り口の扉の鍵を取り出した。

「それじゃあどうする? もう入るか?」

「もちろん!」

 全員揃って、満面の笑みで頷いている。

「よし、じゃあ開けるぞ!」

「おう!」

 ご機嫌でやる気満々な返事が全員から返り、苦笑いしつつ俺は鍵穴に鍵を差し込んでゆっくりと回した。しかし……。

「あれ? 回らないぞ?」

 なぜか鍵が回らない。しかも、鍵自体が浅い位置までしか入らない。何度押し込もうとしても何かにあたってそれ以上入らないんだよ。

「あれ?もしかして、これって中が凍ってるのか?」

 鍵穴を覗き込みながらそう呟くと、焦ったようにハスフェル達が駆け寄ってくる。

「ええと……」

 顔を見合わせて困っていると、笑ったオリゴー君が進み出て、指先でチョンって感じに鍵穴を叩いた。

「はい、これで溶けましたから鍵が入りますよ」

「おう、ありがとうな」

 驚きつつも、もう一度鍵穴に鍵を差し込む。

「おお、今度はちゃんと入ったし回ったぞ」

 嬉しそうな俺の呟きに、拍手が起こりドヤ顔になるオリゴー君。

「鍵穴の中に火を灯して氷を溶かしただけです。こう言った閉鎖空間の氷を溶かすだけなら一瞬ですよ」

 得意げにそう言われて、思わずもう一回拍手した俺達だった。



「よし、それじゃあ行くとしようか!」

「おお〜〜〜〜!」

 振り返った俺の声に笑った全員の声が返る。そしてやる気満々な従魔達の声。

 頷き合った俺達は、一列になって開いた扉をくぐってゆっくりと中へ入って行ったのだった。

 さて、今度こそヘラクレスオオカブトの剣のデビュー戦だぞ!


挿絵(By みてみん)

2022年12月15日、アーススターノベル様より発売となりました、もふむくの三巻の表紙です。

イラストは引き続き、れんた様が素敵に描いてくださいました。

どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[一言] 不意に出てきた富樫に腹筋持っていかれましたw たぶん溶かすとか辺りだろうなぁ。 いつもなら誤字報告するだけなんですが面白かったんで!
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