焼肉パーティーの開始!
「ま、まさかのダイヤモンドダスト合成……しかも、マジもんのダイヤモンドダスト付き……」
思い切り吹き出した俺は、そう呟いてキッチンの床に崩れ落ちる。
「ご主人大丈夫?」
「どうしたの〜〜?」
机の上から不思議そうにこっちを見ている、透明羽付きキラキラダイヤモンドダスト付きの、ダイヤモンドダスト合成した雪スライム。
「いや、もしかしてアワユキ達も合体するのかとは思っていたけど、これはちょっと意表をつかれたよ。ううん、これを見たベリーがどんな反応をするのか楽しみだねえ」
笑いながらそう呟き、なんとかキッチンの作業台にしがみついて立ち上がった俺は、一つ大きく深呼吸をしてから羽付きダイヤモンドダスト合成した雪スライム達を見た。
「じゃあ、このダイヤモンドダスト合成は、食事の後で皆に披露目してびっくりさせてやろうぜ」
手を伸ばしてダイヤモンドダスト合成したスライムを捕まえて、軽くおにぎりにしてからそう言って鞄に放り込んでやる。
「はあい! それじゃあそれまでここに隠れてま〜す!」
嬉々としたアワユキ達の返事に思わず吹き出す。
「おう、よろしくな。ええと、鞄の中ではもうちょい小さくなれるか?」
鞄の中を覗き込みながらそう尋ねると、クルッと一回転したダイヤモンドダスト合成した雪スライムは、ピンポン玉サイズより小さいくらいになった。
「これくらいで良いですか?」
「おう、完璧だ」
笑ってサムズアップを返す。
「じゃあ、お食事が終わるまでここで大人しく隠れてま〜〜す! 出てきても良くなったら教えてくださ〜〜い!」
「おう、びっくりさせてやろうぜ」
笑って鞄に手を突っ込んでダイヤモンドダスト合成した雪スライムを突っついてから、俺はスライム達の入った鞄を持って二つ隣の部屋へ向かった。
「ああ、やっっと来たな」
「もう、準備万端整っているぞ」
「皆、待ちくたびれていますよ。そろそろ誰か呼びに行こうかって話をしていたところですよ!」
俺が鞄を持って部屋に入ると、全員が一斉に笑顔で振り返る。ハスフェルとギイ、それからランドルさんが笑いながらそう言って手招きをしていた。
「あはは、お待たせしました〜〜〜! おお、本当に準備万端だな」
中央の机の横には前回と同じ大きな焼き台が複数設置されていて、一つには太い鉄串が置いてあり、もう一台には大きな鉄板が置かれている。
それ以外にも机の上には、いつものコンロに鉄板がセッティングされていて、一人から二人用の焼き肉セットが幾つも並べられている。
「では、お待ちかねのメインの肉を出すぞ〜〜〜!」
「待ってました〜〜〜!」
笑った草原エルフ三兄弟の掛け声にどっと笑いと拍手が起こる。
「ふ、ふ、ふ、ひれ伏せ〜〜〜!」
ちょっと勿体をつけつつ、俺は順番に山盛りの岩豚の肉を取り出して並べた。
「じゃあ、これはそっちで焼いてくれるか」
数キロはありそうな塊肉を鉄串の横に出すと、ハスフェルとギイが二人がかりで串刺しにしてくれた。
「じゃあこれも渡しておくよ。この前、焼きながらかけたら美味かっただろう?」
赤ワインにスパイスやすりおろしたニンニクなどを入れた特製ソースを瓶ごと渡す。
「これこれ、めっちゃ美味かったっすよね!」
目を輝かせたアーケル君の声に、全員がまたしても拍手している。
それから作っておいたタレやソースも一通り出して並べ、野菜も取り出して並べる。
「お前ら、しっかり好きなだけ食っていいから野菜も食え」
「はあ〜〜い」
全員の気の抜けた返事が返り、全員揃って大爆笑になったよ。
「さてと、それじゃあまずは乾杯かな?」
当然のように俺の目の前には冷えた白ビールが瓶ごと置かれ、それぞれ好きなお酒をグラスに注いでいる。
「ああ、そうだ。すまないが、先に飲み物用の氷をこっちに作っておいてくれるか」
慌てたハスフェルの言葉に頷き、大きめのお椀を渡されたのでいつもの飲み物用の透明な氷をガッツリ作って渡しておく。
「では、無事にオリゴー君とカルン君の騎獣をテイム出来ただけでなく、超レアな雪スライム達も仲間になってくれたのでお祝いパーティーといきましょう! 皆、これからもよろしくな! カンパ〜〜〜〜イ!」
「カンパ〜〜〜イ!」
俺の言葉に全員の声が重なり、それぞれ手にしたお酒を一気に飲み干す。
「では、あとは好きに食え〜〜〜!」
笑った俺の言葉と同時に、歓声を上げて肉に群がる一同。俺も慌てて争奪戦に参加したよ。
今回は、塊肉はハスフェルとギイが面倒を見てくれるみたいなので、俺は自分用の肉各種と野菜をガッツリと確保した後は、一人用コンロの前に陣取って鉄板いっぱいに一通りの肉を乗せていった。
後はもう、ひたすら焼いて食うだけだ。
「食、べ、たい! 食、べ、たい! 食べたいよったら食べたいよ〜〜〜〜!」
お皿を手にキラッキラに目を輝かせながら、欲望に忠実な食べたいダンスを歌って踊り始めるシャムエル様。
そして当然のように即座に横へすっ飛んで来て、シャムエル様の踊りを見事なまでに完コピして踊り始めるカリディア。相変わらずこっちも見事なもんだよ。
最初の岩豚の肉が焼けるまでのしばしの間、俺はのんびりと白ビールを飲みながらシャムエル様とカリディアの見事なシンクロダンスを楽しんでいたのだった。