雪スライムの種類とテイムの順番?
「ご主人〜〜〜! とりあえず、この辺りにいる子達に集合をかけました〜〜〜! 一緒に遊びたいからテイムしてくださいってさ〜〜〜!」
得意げなアクアの言葉に、ずらりと勢揃いした真っ白なスライム達が伸び上がって軽く飛び跳ねている。
俺には分かるぞ。あれもドヤ顔だ。
「おう、じゃあ遠慮なく! ええと、もしかして種類がいるのか……?」
よく見ると、何となく雪スライム達の色に微妙な違いがある気がしてそう尋ねると、慌てたようにワタワタって感じに動き回った雪スライム達は、俺の前で並び直して全部で五列になった。
「ええと、俺の前にいる一列目の子達が六匹で、二列目が四匹、三列目と四列目が三匹ずつで五列目が二匹。もしかして種類別に並び直してくれたのか?」
俺の言葉に、まるで頷くみたいに一斉に上下するスライム達。
「そうで〜〜す!」
「まだ全種類はいないけど、一応種類別に並んでくれました〜〜〜!」
得意げなアクアとサクラの言葉に、俺はもう笑いを我慢出来ない。
「りょ……了解。ええと、ベリーも欲しいんだよな?」
整列している雪スライム達を見つめるベリーの目は、そりゃあもうキラッキラに輝いている。
無意識なんだろうけど胸元まで上げた両手を握ったり開いたりしているのが、もう飛び出したくなるのを必死で我慢しまくってるってのがよく分かるよ。
「あ、あの……ワガママをお許しいただけるなら、全種類欲しいです……」
いっそ開き直ったある意味欲望全開のベリーの言葉に、俺だけじゃあなくて聞いていた全員が揃って吹き出す。
「俺も全種類欲しいです!」
「はい! 俺も〜〜!」
「俺も欲しいです!」
「俺も俺も〜〜〜!」
「そんなの私も欲しいに決まってる!」
「リナ、頼むから俺にもテイムしてくれ!」
笑ったハスフェルとギイの言葉に、ランドルさんとリナさん一家も全員揃って手を上げてる。
「ううん、気持ちはものすごく良く分かるし俺ももちろん全種類欲しいけど、全員がテイムするには全然足りないなあ」
予想通りの反応に笑った俺は、並んでこっちを見ている雪スライム達を見てから、サクラ達を振り返る。
「ええと、この辺りにいた子達に声を掛けたって言ったよな? って事は、探せばまだ他にもいる?」
「いるよ〜〜!」
「山側の雪原地帯にはいっぱいいるよ〜〜〜!」
「連れて行ってくれたら、探して呼んできてあげるよ〜〜〜〜!」
アクアとサクラ達だけでなく、全員のスライム達がそりゃあもう張り切って答えてくれる。
「あはは、じゃあそれで行くからよろしく頼むよ」
笑った俺は、手を伸ばしてアクアとサクラを撫でてやった。
「ええと、今この辺りにいるのはこれで全部らしいんだけど、もっと山側の雪原地帯へ行けば、雪スライムがたくさんいるみたいだ。とりあえずここにいる子達は全員で手分けしてテイムして、後は場所を変えて、またスライム達に探してもらって順番にテイムしよう。多分、一日で全種類集めるのは無理だろうから、天気の良い日に何度かに分けて探しに行けばいいだろう? それで、近くに何かジェムモンスターがいたら、手分けして狩りもすれば良い」
確かシャムエル様が全部で十種類いるって言っていたから、恐らくだけど雪スライムも十匹、全種類集めたら金色合成みたいなのをするとみた! なので絶対に全種類欲しい!
俺の提案に、全員が揃って拍手をする。
「じゃあ、どうするかなあ」
話が決まったところで、整列する雪スライム達を改めて見る。
「それならこうしましょう。ケンさんは、まずその一列目の子達と、五列目の子をベリーさんにテイムして差し上げてください。それでランドルさんが二列目の子を。俺と母さんが三列目と四列目の子をテイムします。魔獣使いじゃない三人には、郊外で見つけたらまた俺達が順番にテイムしてやるよ」
笑ったアーケル君の提案に、ランドルさんとリナさんが笑顔で頷き、オリゴー君達も揃って頷いてくれた。
「了解。それじゃあとにかくそれでいこう。じゃあ、まずは俺は、この子達だな」
勢揃いして今か今かと待ち構えている雪スライム達の前に、俺は笑ってそう言いながらしゃがみ込んだ。
「ううん、だけどちょっと待てよ。名前……よし、まずは俺の分は雪の名前で行こう。それでベリーには……」
思わず考え込んでベリーを振り返る。
『それならあなたの故郷の白い花の名前を教えていただけませんか。そのままそれを名前にします』
念話でそうお願いされて、少し考える。よし、何とかなりそうだ。
小さく頷いた俺は、にっこり笑ってまずは自分の雪スライム達にそっと手を伸ばした。