一緒にお風呂タイム!
いつもお読みいただき、ありがとうございます(^ω^)
本日の更新を年内最後の更新として、年末年始はお休みをいただきます。
次回の更新は、年明けの三日深夜(四日早朝)より更新を再開させていただきます。
どうぞ皆様、良いお年をお迎えくださいm(_ _)m
「ああ、駄目だ。このままだと間違いなく寝落ちするって。なあ、風呂に入りたいからちょっと起きてくれって」
巨大化した猫族軍団に埋もれていた俺は、大きなため息を吐いてなんとか起き上がった。
「ええ、もうこのまま寝ちゃえばいいのに〜〜〜!」
立ちあがろうとする俺を、皆が揃って捕まえようと腕を伸ばしてくる。
「だ〜か〜ら〜このまま寝たら寒いって。俺は風呂に入って温まってくるよ。あ、なんならお前らも一緒に入るか? 洗ってやるぞ」
笑ってそう言った瞬間、見事なくらいに即行でニニを含めた猫族軍団とウサギコンビがいなくなった。うう、冗談だってのに。そこまで露骨に嫌がらなくてもいいじゃんか。
苦笑いして風呂場へ行こうとした俺の目に飛び込んできたのは、キラッキラに目を輝かせて、期待に胸膨らませて並んでいるマックスと狼コンビとお空部隊の面々……。
あの期待に満ち満ちた目に見つめられて、今ここでさっきのは冗談だったといえるやつを俺は知らない。
「分かった。準備をして来るからちょっと待ってろ」
苦笑いしてため息を一つ吐いた俺は、マックス達を順番に撫でてやってから風呂場へ向かった。
まあ風呂場は無駄に広いから、体の大きなマックスが入っても何とかなるだろう……多分。それに体を洗うんじゃあなくてお湯で濡らしてやって、あとはスライム達に任せるのが良いだろう。
石鹸は成分が分からないし、もしも舐めたり目や耳に入ったりして何か問題があるといけないから、人間用の石鹸は従魔達には使わない事にする。
風呂場に入った俺は、いつものようにお湯と水の栓を開いて湯の温度を調節して、一気に湯船に流れ出すお湯を眺めて深呼吸をする。
「これでよしっと。じゃあ、あとは服を脱げばOKだな」
もうもうと湯気が立ち込め始めた風呂場から一旦出て、そそくさと服を脱ぐ。
嬉々としてマックスと狼コンビとお空部隊とスライム達が、俺の後について風呂場へ入って来る。
「ちょっと寒いから先に一度温まらせてくれよな。ええと、いつも水場で遊んでいるみたいに、このお湯をマックス達に吹きかけてやる事って出来るか?」
掛かり湯をして冷えた足元や手先を温めながら待ち構えているスライム達に聞いてみる。
「もちろん出来るよ〜〜!」
当然とばかりに伸び上がったスライム達が一斉に答えてくれる。
俺には分かるぞ。今のはドヤ顔だ。
「ええと、ちなみにお前らは、もしかしてお湯より水の方がいいか?」
水をここでバチャバチャされるとちょっと辛い。
苦笑いした俺の質問に、マックスと狼コンビが顔を見合わせる。
「いえ、どっちでも構いませんよ」
ご機嫌でハアハアしながら尻尾扇風機状態のマックスが答える。
「確かに外はかなり寒かったですから」
「水もいいですがお湯で温まるのもいいかもしれませんね」
テンペストとファインの狼コンビは、少し考えてからそう答えた。
「私達は水がいいで〜〜す!」
「湯は駄目で〜〜す」
羽ばたいたお空部隊は、揃ってそう言うと壁にあった手すりに並んで留まった。確か、鳥はお湯に濡れると羽を守る水を弾く油が流れちゃうから駄目だって聞いた覚えがある。成る程。こっちの鳥達もその辺りは一緒なんだな。
「そっか、じゃあ水浴びは俺がお湯に浸かってからにしてくれよな」
「はあい、じゃあお水はアクア達が担当しま〜〜す!」
湯船と反対側の壁面には、以前の俺の住んでいたオンボロアパートの風呂くらいの大きさの水の流れる水槽があるので、アクアとアルファとベータ、それからレース模様のクロッシェがアクアから飛び出してきて一緒にその水槽に飛び込んで行った。
狼コンビとマックスは湯船の近くへ来て今か今かと待ち構えている。
湯船に入った俺は、それを見て笑いながらゆっくりと肩まで浸かった。
「はあ、冷えた体が温まる〜〜」
そう言いながら肩までお湯に浸かった俺を見て、スライム達が次々に湯船に飛び込んでくる。
いつもならここでお湯を一旦止めるんだけど、今はそのままにしておく。
「では、いきま〜〜す!」
サクラの元気な声を合図に、湯船からシャワーが文字通り噴き上がった。
おお、一気にお湯が減ったぞ。
壁面の水槽からも同じように水が噴き出して、翼を広げて待ち構えているお空部隊の面々に降りかかった。皆楽しそうに羽を広げて水浴びしているし、マックス達も、自分達目がけて吹き上がるお湯に嬉しそうに目を細めている。
俺は出来るだけマックス達から離れた壁際に行き、背中を壁につけて手足を伸ばす。ここも一応湯船の高さの位置に段差があるので、頭を引っ掛けておけるからうっかり溺れる心配も無い。
マックス達は、最初はじっとしていたんだけど、俺が離れたのに気付いてからは起き上がって嬉しそうに歩き回ったり飛び跳ねたりして、時折ブルブルと体を震わせては水滴を飛ばしていた。
しかもちゃんとその時には、伸び上がったスライム達が俺の前に広がってガードしてくれるから、俺に冷たい飛沫がかかる事も無い。
湯船や床に落ちた抜け毛は、すぐにスライム達が綺麗にしてくれるから汚れる心配も無し。何これ、めっちゃ快適だよ。
すっかり温まった俺は、湯船から出てびしょ濡れで普段よりもかなりスリムになっているマックスに裸のままで飛びつく。
「おお、ちょっと濡れた毛がチクチクするけど、これもまた良きだな。それにしても、濡れるとマックスのむくむくな毛もここまでぺちゃんこになるんだなあ」
笑ってそう言いながら顔の辺りや首周り、それからお腹の横から背中辺りも濡れた手で何度も撫でてやる。
同じく、いつもならもっとむくむくな毛の狼コンビも何だか全体に濡れてスリムになってる。
湯船から出てきた俺に、ご機嫌で大型犬サイズのテンペストとファインが頭突きをしてくる。しかも俺が裸なのをちゃんと分かっているから、普段みたいに前足を上げて飛びついて来る事は無い。
えらいぞ。お前ら!
笑って、二匹も交互に撫でてからおにぎりにしてやったよ。
お風呂用の丸椅子を取り出して座った俺は、いつもの習慣で石鹸を取り出して手拭いで簡単に体を洗った。
当然心得ているマックスと狼コンビは、その間は水槽の方へ行ってお空部隊と一緒に水浴びをしていたよ。
体を流そうと手桶を持って湯船を向いた瞬間、シャワーくらいの小粒の水滴があちこちから一斉に俺に降り注いだ。体についた石鹸があっという間に流れて落ちる。
「これくらいのお湯の勢いなら、ご主人でも大丈夫ですか?」
湯船の縁に上がってきたサクラの言葉に、俺は満面の笑みでサムズアップをしたよ。
よし、俺のお風呂ライフ仲間が一気に増えたぞ。
笑ってサクラを撫でた俺は、軽い咳払いをしてからもう一度お湯に浸かった。
スライム達がご機嫌で湯船の中を泳ぎ回ったり転がったりしている。
うん、人肌温度のスライムって俺的に色々と危険なんだけどなあ……。
それを見て苦笑いした俺は、ちょっと端の方に寄って座ってから手足を伸ばしたのだった。
はあ、寒い時期のお風呂……最高〜〜〜〜!