人気投票の表彰式!
「間も無く打ち上げが始まるが、その前に一つ! 今から表彰式をするぞ〜〜〜!」
踏み台に上がったヴァイトンさんの大声に、慌ててそっちを見て居住まいを正す。
「先ほど集計が終わり、雪まつりの雪像の人気投票の結果が出たぞ!」
ヴァイトンさんの言葉に、広い会場内にいたスタッフさん達から歓声が上がる。
俺達も一緒になって声を上げながら拍手をしたよ。
冒険者ギルドのギルドマスターのガンスさんが、ヴァイトンさんの隣へ上がって来て並ぶ。
「ええ、会場での表彰式には受賞者の皆さんはこちらで仕事中な為に参加出来ませんでしたので、代理で受け取って参りました」
そう言って、背後からスタッフさん達が何やら持って上がって来た。
「ここにいらっしゃる皆様も当然お仕事されていたわけですから結果をご存じありませんな。では、まずは順位の発表をさせていただきます!」
ガンスさんがヴァイトンさんに負けないくらいの大きな声でそう言うと、その大声と同時に、背後にドドンと大きな掲示板が起き上がってきた。
どうやら話をしている間に運ばれていて倒してあったみたいだ。何人かのスタッフさん達が掲示板を起きあがらせて、手早く釘を使って土台に固定している。
半ば呆然とその様子を見ていて我に返った俺は、慌ててその掲示板を見た。
そして、そこに書かれていた順位に、視線は釘付けになったよ。
「うわあ! 俺達のチームが二位になってる!」
「うわあ! 俺達のチームが三位になってる!」
俺の叫びとアーケル君の叫ぶ声が重なる。
そう。俺達のチーム愉快な仲間達パート2が最終的には二位、アーケル君達のチーム草原エルフ一家が最終的に三位の順位を確保していたのだ。
ちなみに一位は、雪まつりの常連参加チームで何度も優勝経験のあるドワーフの杯。四位は、これも常連チームの北の一番星になっていた。
「いやあ、初参加で二位と三位は本当に大健闘ですよ。街の皆も素晴らしかったと絶賛していましたぞ」
嬉しそうなガンスさんの言葉に、横でヴァイトンさんがドヤ顔になっている。
そうだよな。ヴァイトンさんとエーベルバッハさんに作り方を一から教えてもらわなかったら、入賞どころか、棄権するところだったんだからさ。
ちなみに掲示板の横には、いつの間にかエーベルバッハさんの姿も見えたよ。
ってか、いつの間にかスタッフさんの人数がめっちゃ増えてるんだけど……?
「あ、そうか。街のお祭りも今日で終わりだから、乗合馬車の担当や、このお祭りを手伝っていた他のギルドの人達も集まって来てるって事か」
だけど俺の右肩にシャムエル様はいないから、もしかしたら神殿ではまだ何かしているのかもな。
「では、三位の草原エルフ一家の皆さん、前へどうぞ!」
笑顔のヴァイトンさんの言葉に、手を取り合ったリナさん達が前に駆け出していく。
すると大きな踏み台があっという間に用意されて、笑顔のリナさん達が揃って踏み台の上へ上がる。
ガンスさんが、踏み台の前に置かれた別の台に上がる。
「ええ、見事雪まつりの雪像人気投票にて、第三位に輝いたチーム草原エルフ一家には、祝福の盃と、副賞としてチームの参加者全員に一つずつ、ギルド連合よりこちらの品物を贈らせていただきます! おめでとう!」
笑顔のエーベルバッハさんがトレーに乗せて持って来たのは、銀色のかなり大きめの盃と、何やら銀色に輝く箱状の物だ。あの銀色の箱みたいなのを全員にくれるって事なのか?
「これは、カラクリ箱と言って、そう簡単には開けられませんぞ。中には、ミスリル細工のブローチが入っております。どうぞ頑張って開けてください」
にっこりと笑ったその言葉に、会場中からどっと笑いが起こる。
「草原エルフの兄さん、頑張れよ」
「そいつはめっちゃ難しいぞ!」
笑った何人もがそう言って手を叩いている。
「ええ、そんなの出来るかなあ」
笑ったアーケル君の言葉に、また笑いが起こる。
まずは、代表してリナさんが銀色の盃を受け取り、アーケル君が謎の箱を受け取って下がる。
「では、第二位に輝きましたチーム愉快な仲間達パート2の皆様、前へどうぞ」
笑って顔を見合わせた俺達とランドルさんも、揃って進み出ていく。
「見事に雪まつりの雪像人気投票にて、第二位に輝きましたチーム愉快な仲間達パート2! 祝福の盃と、副賞としてチームの参加者全員に一つずつ、ギルド連合よりこちらの品物を贈らせていただきます! おめでとう!」
ガンスさんの言葉に続き、またしてもエーベルバッハさんがトレーを持って進み出てくる。
杯の色は金色で、もう一つはハスフェル達の握り拳くらいはありそうな銀色の球体だった。
「これもカラクリ箱で、先ほどのものよりも更に難易度は上がっております。中には同じくミスリル細工のブローチとペンダントトップが入っておりますので、どうぞ頑張って開けてください」
これまた満面の笑みのエーベルバッハさんの言葉に、先ほどよりもさらに大きな笑いが起こり、拍手大喝采になる。
「なんだよそれ! 順位が上がった方が開けるのが難しくなるっておかしくないか?」
叫んだ俺は……悪くないよな?