表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1275/2066

巨大ハンバーガーは激ウマでした!

「ふおお〜〜〜〜! これまたすっごいお弁当だねえ!」

 耳元で聞こえた大きな声に、この巨大なハンバーガーをどうやって食おうか考えていた俺は飛び上がった。

「うわあ、びっくりした。ああ、シャムエル様か。腹が減ったから食べに来たんだな」

 ウンウンとものすごい勢いで頷くシャムエル様を見て、俺はまだ手をつけていなかった巨大ハンバーガーセットを見た。

「ええと、どれくらい食べる? ちなみに、こんなのもあるぞ」

 そう言って箱の中にあった巨大なフライドポテトとナゲットを見せる。

「ふおお〜〜〜〜! これまた美味しそう! じゃあここにお願いします!」

 大きなお皿を取り出したシャムエル様が、その場で横っ飛びステップを踏み始める。



「ちなみにこのハンバーガーをどうやって食おうか考えていたんだけど、どれくらい食う?」

 半分って言ってくれたら、もうナイフを取り出して切る気満々でそう尋ねると、少し考えたシャムエル様は、間に挟まっているパテとベーコンを見た。

「えっと、それを一枚ずつください! ポテトと唐揚げはこっちに二個ずつください! あ、飲み物はここにお願い!」

 これまた一瞬でいつものショットグラスが取り出された。

 もらった飲み物は、多分色からしてオレンジジュースっぽい。

「了解。じゃあこれとこれと……」

 まずはポテトとナゲットの出来るだけ大きそうなのを選んで二個ずつお皿に並べ、上側のバンズを剥がしてご希望のパテとベーコンを摘んで引っ張り出してお皿に並べてやる。

「おお、かなり減ったな。よし、これなら俺でも食えそうだ。ええとバンズは食べないのか?」

 ナイフを取り出しながらそう聞いてやると、これまた少し考えてから端っこの方を指差した。

「じゃあ、そのナイフでこの辺を切ってくれるかな」

 三分の一くらいの場所を切るふりをしたので、弁当箱の蓋の上にハンバーガーを置いてその場所でざっくりと切る。

「ありがと。じゃあこれだけもらうね! では、いっただっきま〜〜〜〜〜〜す!」

 そう言って、上下のバンズだけを引き剥がして自分のお皿に放り投げるみたいにして並べて載せると、そう宣言してやっぱり顔から突っ込んでいった。

 俺の箱の蓋には、取り残されたパテの端っことベーコンの切れ端が物悲しく転がっていた。

「そっか、バンズは要るかって聞いたから、バンズだけを取っていったのか。律儀だねえ」

 苦笑いしながらそう呟いた俺は、取り残されたパテとベーコンの切れ端を指で摘んで口に入れる。

「おお、肉の味が濃厚で美味しい。よし、俺も食べよう。パテとベーコンが減ったおかげで、これなら俺でも食べられそうなサイズになったもんな」

 笑った俺は、出来るだけ大きな口を開けて豪快に巨大ハンバーガーにかぶりついた。



「何これ、美味っ!」

 パテは肉汁たっぷりベーコンもぷりっぷり、やや硬めのバンズがしっかりと肉の味を受け止めている。これは美味い。

「もしかしてポテトも?」

 口の中を飲み込んでから、ポテトも一つ口に入れてみる。

「うわあ、これまた表面カリカリなのに中はフワッフワ。めっちゃ美味い」

 冗談抜きで、これを売っているお店を知りたい。このバーガーやポテトだったら、是非とも買い置きしておきたい!

「じゃあ、もしかしてこれもか?」

 大きすぎて一口では食べられなかったので半分くらいを齧ってみたナゲットも、これまた肉の味が濃厚で超ジューシー。

 無言で感動した俺は、後はもう夢中になって爆食したよ。

 シャムエル様も尻尾をいつもの三倍サイズに膨らませて食べていたから、美味しさに感動していたみたいだ。

「ねえケン! これ、どこで売っているのか聞いてよ。是非買い置きしておいてください!」

 顔中肉汁だらけにしたシャムエル様の言葉に、俺も苦笑いしつつ頷く。

「まさに今、俺もそれを思っていたところだよ。じゃあ後でギルドマスターにどこのお店か聞いておくよ。これは是非とも買い置きリストに追加したい」

「よろしくお願いします!」

 右手を上げてそう言ったシャムエル様は、またしても残りのパテに突撃していった。

 それを眺めて、時折こっそりといつもの三倍サイズに巨大化した尻尾をこっそりともふりつつ、俺も美味しいハンバーガーセットを堪能したのだった。

 ちなみに、バーガーを全部食ったら、ポテトは二切れとナゲット一切れでもう充分だったよ。って事で、残ったこれは自分で収納しておく。

「はあ、ご馳走様でした。いやあ、もう午後から働きたくないくらいに腹一杯だぞ」

 パンパンになったお腹をさすりながら笑ってそう呟き、残りのジュースを飲み干す。あっという間に完食したシャムエル様は、せっせと身繕いをした後、すぐに消えてしまった。

 まあお祭り期間中は神様のお勤め優先だもんな。頑張ってください。



「さてと、じゃあ運動がてら会場をひと回りしてみるか」

 そう呟いて立ち上がり、弁当箱と空き瓶をスタッフさんに返してから部屋の外へ出る。

 それから人の流れに沿って、会場内を適当に歩いて回った。

 会場内はまだまだものすごい人出で、あちこちに立ったスタッフさん達がテキパキとスライムトランポリンの列に誘導している。

 会場中から聞こえる歓声と笑い声、時折本気の悲鳴も聞こえたりもしているけど大丈夫か?

 しかしその後にどっと笑い声が聞こえているから、まあ大丈夫なんだろう。

 俺に気が付いた人達から時折話しかけられたりもして、笑顔で挨拶したりしつつのんびりと会場内を一周した。

 いやあ、さすがは物流倉庫。とにかく広い。

 パンパンだったお腹も落ち着いてきたので、苦笑いした俺はそろそろ戻ろうかと考え、広い会場内をゆっくりと見回したところで、こっちに向かって笑顔で手を振っている草原エルフ三兄弟を見つけたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ