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パイ専門店!

「はあ、やっぱり和菓子は良いよ。みたらし団子美味いなあ」

 半分に割った薄皮饅頭を食べ終え、栗きんとんをほぼ一口で食べた俺は、好物のみたらし団子を齧りながら思わずそう呟いた。

 クリームたっぷりのケーキも、まあ決して嫌いというわけではないが、個人的にはこの和菓子とお茶ってのがベストな取り合わせだと思うなあ。

「ううん、グリーンティーも悪くはないが、ちょっと和菓子と一緒に食べるには甘すぎるなあ。やっぱり普通の緑茶にすればよかった」

 みたらし団子には、個人的好みだけどやっぱり緑茶がいい気がする。ううん、緑茶も頼むべきか?

 苦笑いして少し考えた俺は、小さなため息を一つ吐いてから手を上げて店員さんを呼んだ。

「ええと、このお茶のおかわりっていただけますか?」

 駄目なら別で頼む気満々だったんだけど、笑顔で頷いた店員さんは当然のように大きな土瓶を持って来てくれて、湯呑みに熱々のほうじ茶をたっぷりと注いでくれた。

 って事で、残りのみたらし団子はほうじ茶と一緒にいただき、グリーンティーはこれ単体で後からゆっくりいただく事にしたよ。

 まあ、どっちも美味しいから問題無いです。



「それにしても、こんな場所があったとはねえ。特別お菓子好きってわけじゃあないけど何だか見ているだけでも楽しいなあ」

 カフェの窓越しに見える通りの様子を眺めながらそう呟くと、ドヤ顔になるアーケル君達。

「この先に、すっごく美味しいパイの専門店があるんですよね。そこはクロカンブッシュは扱っていなくて、代わりに今の時期限定の特別なリンゴを使ったアップルパイがあるんですよね。ここへ来た目的の一つが、そこのアップルパイを買う事なんです。数量限定なので、一人で購入出来る数が限られているんです。だけど、この人数ならそれなりの数になるでしょう?」

 にんまりと笑った素敵な提案に、思わず吹き出しつつサムズアップを返した俺だったよ。

 いいねえ、今の時期しか手に入らない期間限定アップルパイだって。しかも数量限定! それは絶対に購入しないとね!

 って事で、グリーンティーもしっかりと飲み干し、おかわりのほうじ茶も残さず頂いた後、俺達はそのパイの専門店目指して出発した。

 まあ途中のお店でも、シャムエル様のご指名でガンガン買いまくったよ。おかげでまたしても投票券が大量にもらえたので、明後日のスライムトランポリンに参加する前に会場へ行って忘れないうちに投票しておこう。



「ほら、あのお店ですよ」

 しばらく歩いた先にあったアーケル君が指差すお店は、煉瓦造りの何とも可愛らしい一軒家のお店だった。

 扉の横の窓の部分が丸ごと大きなカウンターになっていて、窓の下半分がドーム型のショーケースになっている。

 そしてここから見ても分かる。あれは確かに全部パイだよ。

「へえ、色々あるんだな」

 数人お客さんが並んでいるカウンターを眺めながらそう呟く。

「じゃあ並ぶか。ほら、おまえらも今回は頭数に入ってるんだから、一緒に並んでくれよな」

 今までは、店に入るのは俺とリナさん一家、それからランドルさんだけだったんだけど、ここは購入人数を稼ぐためにも、ハスフェル達にも並んでもらう。

 苦笑いしていた二人だったけど案外嫌がらずに並んでくれたので、彼らもやっぱり期間限定品と言われれば食べたいみたいだ。

「じゃあ、その限定のアップルパイってのを買えばいいんだな」

「おう、よろしく!」

 一列になって並び、順番に買える数ギリギリまで買ってもらう。

 もちろん俺は、限定品だけじゃあなくて他のパイもそれぞれガッツリいただいたよ。

 だって、大粒の栗が丸ごと入ったマロンパイとか、パンプキンパイとかもめっちゃ美味しそうだったんだからさ。

 そしてちょっと嬉しかったのが、ミートパイがあった事。これも実は子供の頃に母さんが作ってくれた記憶のあるメニューなんだよな。

 しかも母さんが作っていたのと同じ、丸いホールタイプのミートパイ。

 ちょっと懐かしさのあまり声が出そうになってしまい、必死で誤魔化した俺だった。

 アップルパイなら作れるんじゃないかなってちょっと思ったんだけど、よく考えたら冷凍パイシートなんて無いこの世界では、パイ生地を一から素人が作るのはかなり難易度が高そうだ。なので、ここはプロのお仕事にお任せすべきだよな。だけど、焼く前のパイシートも売ってたら欲しいんだけどなあ……。

 なんて考えていたらありましたよ。まさかのパイ生地。焼く前のやつ。

 聞いてみると、数量限定だけど毎日作って販売しているそうで、ちょっとやってみたい事があったので、お願いしてそれもまとめて買わせてもらった。

 ちなみに今回の限定アップルパイは、リナさんとアーケル君は新しく買った時間遅延の収納袋に入れると言うので、オリゴー君とカルン君、それからアルデアさんとハスフェルとギイの買った分を、俺がまとめて持つ事になった。

 うん、パイシートの追加も欲しいから、このお店は街へ来たらせっせと通って、お店の迷惑にならない範囲でまとめ買いさせてもらおう。



「へえ、焼く前のものを買って、何を作るの?」

 最後にまとめてもらった生のパイ生地を収納する俺を見て、首を傾げているシャムエル様。

「ふふふ、何が出来るかはお楽しみに」

 もちろん、今買ったみたいなプロと同じものを作るわけではないよ。

 不思議そうなシャムエル様に、ちょっとドヤ顔で答える俺だったよ。

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