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お菓子通りにて

本日より、また毎日更新に戻させて頂きます。

また、時々お休みするかもしれませんが、そこはどうか暖かい目で見てやってくださいm(_ _)m





「ふおお〜〜〜〜! ねえあれ、あれ何!」

 キラッキラのエフェクト付きのシャムエル様が指差しているのは、ケーキ屋さんのカウンターの上に置かれた巨大なツリーみたいな山だ。

「ええ、あれって何……ええと、シュークリームの山か? ううん、さすがにあれは……ディ、ディスプレイなんじゃあないかな?」

「ええ、お店にあるんだから売り物なんじゃあないの?」

 興奮のあまりもふもふ尻尾が俺の首筋にペシペシと叩きつけられている。いいぞもっとやれ。

「分かった分かった。聞いてやるからちょっと待ってくれって」

 今にも自分で店へ突撃しそうな勢いだったので、慌てて手で捕まえて引き留め、とりあえずアーケル君達に合図をしてから店に入ってみる。

 円形の大きなカウンターの中には、さまざまなデコレーションケーキやカットしたケーキ、直径10センチくらいの小さなミニタルトなど、さまざまなケーキがぎっしりと並んでいる。おお、どれもすごく美味しそうだ。

「ええと、この大きなのは……あ、値段が書いてあるって事は、売り物なんだ」

 聞こうと思ってよく見ると、巨大なシュークリームのタワーの前にはカードが立てられていて、小さな文字で説明書きと共に値段が書かれていた。

「へえ、これはクロカンブッシュっていうんだってさ。小さく作ったシューにクリームを入れて、スポンジの土台に積み上げて飴で固めてあるらしい。欲しいの?」

 ものすごい勢いで頷かれてしまい、苦笑いした俺はカバンから金貨がぎっしりと入った革の袋を取り出した。

「すみませんが、これっていただいても大丈夫でしょうか?」

 目の前の巨大な山を指差しながら言うと、目を輝かせたスタッフさんがすっ飛んできた。

「それと他にも色々とまとめて頂きたいんですが、構いませんか?」

「はい、もちろん喜んで! あの、配達もいたしますが、いかがいたしましょうか?」

 いやいや、あの郊外のお城へ配達させるほど無茶は言いませんよ。内心でそう思いつつ首を振ってみせる。

「大丈夫です。収納の能力持ちなので、箱に入れていただければそのまま持って帰ります」

「ありがとうございます! では、すぐに準備いたします」

 スタッフさんが二人がかりで大きな木箱を持って来てくれて、すぐに箱詰めを開始してくれた。

 その間にお願いして、とりあえずケーキは全種類二個ずつ。焼き菓子もおまかせで色々とお願いした。

 スタッフさん達総出で準備してくれたのをサクサクと収納していき、最後にクロカンブッシュの入った巨大な木箱を収納する。まとめてお金を支払ってからお店を後にした。スタッフさん総出で見送ってくれたよ。

「あの大きなのを買ったんですね。あれは、この時期限定のクロカンブッシュっていうお菓子で、ケーキ屋さんなら大小ありますが、必ずありますよ。美味しいので超おすすめです!」

 アーケル君に笑顔のサムズアップでそう言われて、シャムエル様のテンションが爆上がりしたよ。

 分かった分かった。色んな店のクロカンブッシュを買えばいいんだな。任せろ、予算は潤沢にある。



 って事で、目に入ったケーキ屋さんに片っ端から入り、メインの期間限定クロカンブッシュを始め、店お勧めのケーキや焼き菓子を大量買いしていったよ。

 意外だったのが、どこの店もまとめ買い大歓迎だった事。まあ、そりゃあそうだよな。ケーキは差し入れなんかで買う人も多いだろうから、大量買いも珍しく無いのか。

 それから、どこも配達してくれると言ってくれたんだけど、もちろん断ってどんどん収納していったよ。

 アーケル君達は、こっちが美味しいとか、この店はどれが超おすすめなど、横から時折詳しい情報をくれるもんだから、参考にしつつももう遠慮なくガッツリ買い込ませて頂きました。

 ふふふ、これでもう当分の間お菓子は作らなくてもいいくらいに大量の在庫が確保されたよ。

 しかも俺なんかでは絶対に作れないような、繊細なデコレーションケーキが山程。焼き菓子だって店が出来るくらいに大量に確保されたよ。

 それほど甘いものが好きではない俺でもこれだけテンション上がっているんだから、シャムエル様の大はしゃぎっぷりはそりゃあもう凄かったよ。そして、毎回一緒になって大はしゃぎしている収めの手の両手バージョン。

 だけどシャムエル様。頼むから、ムービングログのハンドルの上でステップを踏むのだけはやめてくれ。見ている俺が怖いって。落っこちて怪我しても知らないぞ。



 他にも、大量のクレープや飴細工なんかも購入、数件だけあった団子屋さんでは餡子を使ったお饅頭や団子も色々あったもんだから、ここでは俺とランドルさんのテンションが爆上がりしたよ。

 もちろん大量買い決定! それから、器は持参だけど餡子の別売りもあると聞き、粒餡こし餡ともに一番大きなボウル単位で、これもまとめ買いさせてもらった。

 こういうのは、絶対自分で作るよりプロが作る方が美味しいもんな。

 それからもう一つ、嬉しい事にみたらし団子も発見した。ああ、これでみたらし団子がいつでも食えるよ。

 俺、それほど甘いものは食べないんだけどこれだけは子供の頃から大好きで、たまに無性に食べたくなってコンビニでも買ったりしていたんだよ。懐かしい、あのいかにも大量生産っぽいねっちょりとしたお団子を思い出して、ちょっと涙目になる俺だったよ。

 よし、帰ったら美味しい緑茶を入れて和菓子と一緒に食べよう。

 気分を切り替えてそんな事を考えていると、アーケル君に腕を叩かれた。

「じゃあ、一度座って休憩しましょうか。おすすめのカフェがあります。きっとケンさんは気に入ると思いますよ」

 にっこり笑って立ち止まったカフェの前でそう言われ、当然そのまま全員揃って中へ入って行く。

 そしてここで、またしても新たな感動の発見をする事になるんだよ!

 ああ、バイゼンのお菓子通り、最高〜〜〜!

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