実年齢の話と衝撃の事実!
「ふああ、いつもながら美味え〜〜」
「寝坊して起きて来ても、しっかり食事が用意されているって幸せ〜〜!」
「だよなあ。本当にどれも美味いよなあ!」
満面の笑みでそう言いながら、追加で出してやった揚げ物や燻製肉、それからおにぎりの山をものすごい勢いで食べる三人を、先に食事を終えた俺達はお代わりのコーヒーを飲みながら呆れたように眺めていた。
いやあ、気持ち良いくらいの食いっぷりだねえ。気分は合宿所の給食担当者の気分だよ。
うんうん、しっかり食べて大きくおなりって感じだな。
まあ、作り手としてはあれだけ喜んで食ってくれたら気分が良いよ。
「草原エルフの実年齢は知らないけど、あの三人を見ているとまだまだ若いなあって感じがするよなあ」
まだおかわりを取りに行く三人を見て、もう呆れるのを通り越して笑いが出るよ。あの細い体のどこにそんなに入るんだよ。もしかしてシャムエル様レベルの胃袋の持ち主なのか?
またしても山盛りに取って来たお皿を見て、もう笑うしかない俺だったよ。
しかし断じて自分がおっさんだとは思っていないけど、それでも十代の頃みたいな元気さや無邪気さはないと思う。あの三人とはなんて言うか見ていても精神的な元気さが違う。
思わずそう呟くと、俺の言葉が聞こえたらしいハスフェルとギイが揃って吹き出した。
「ああ、確かにその通りだなあ」
「確かにあいつらを見ていると、若いなあって思う事が何度もあるな」
「確かに、言われてみればそんな気がするよな」
笑いながらうんうんと頷く二人の言葉にランドルさんまでがそんな事を言って、こちらも笑いながら何度も頷いている。
何だよ、三人も同じ事考えていたのか。ぼんやりとそう思ってハスフェルとギイ、そしてランドルさんを見る。
それにしても改めて見れば、むさ苦しいがっしりした体格の上位冒険者であるランドルさんと草原エルフ三兄弟やリナさんとアルデアさんが並べば、体格的にも見かけの年齢的にも間違いなく親子レベルの年の差に見える。俺ならまあ……歳の離れた兄くらいかなあ。ハスフェル達は……うん、コメントは差し控えさせて頂こう。
何となく全体を見回してそう思った時、何故かハスフェルとギイが俺の両サイドに移動してきてがっしりと両方から肩を組んできた。
「なあ、今何を考えていた?」
「ほら、今何を考えていたか俺達に素直に言ってごらん?」
何その、神様なのに悪そうな笑みは!
「別に何も考えていないって! ってか、その笑みが怖いよ!」
笑いながらそう言って、丸太みたいなぶっとい腕を引っ張って逃げようとしたけど全然動けませんでした。
「もう、何だよこの太い腕!」
押しても引いてもびくともしない太い腕から何とか逃げようとしたけど果たせず、結局最後は左右からくすぐられて情けない悲鳴をあげる羽目に陥ったのだった。
そして冷静に考えてふと我に返る。
もしかしてもしかしなくても、この中で一番の年下って……俺じゃん!
いや、もしかしてアーケル君達が見かけどおりの年齢だって可能性もなきにしもあらず……いやきっとそうだ! あの若者特有の元気さはきっとそうだ!
「言っておくけど、草原エルフの成人年齢って五十歳だからね。ちなみに一番下のアーケル君でももう十年以上前に成人年齢に達しています! ご両親はどちらも二百歳余裕で越えているよ。まあ、草原エルフの中ではあの二人でそろそろ壮年って呼ばれる年齢くらいだね。ハスフェルとギイの今の体の実年齢は……私もよく覚えていないけど、多分……五百歳くらい、かなあ?」
何? その最後のテヘペロポーズは! ってか、そうだよな。天地創造の時代に神様代理でこの世界に来たって言ってたんだったよなあ。お前ら!
神様なんだって聞いてはいたけど、改めてシャムエル様の説明に気が遠くなった俺だったよ。
そして草原エルフの成人年齢が五十歳! リナさん夫婦は二百歳越え!
あはは、コーヒー美味いなあ……もう一杯、おかわりして飲んでおこうっと。