冒険者って最高〜〜〜!
「はあ、ありがとうな。楽しかったけどさすがに目が回ってきたよ」
運動神経抜群の従魔達と違って、俺の運動神経はせいぜい平均ちょっと上程度。あれだけ振り回されたらさすがに目が回るって。
笑ってスライムトランポリンから降りた俺は、まだ歓声を上げて遊んでいるスタッフさん達を見て吹き出し、さっきまで使っていた見張り用の高い椅子に登ってのんびり休憩したのだった。
マックス達も満足したらしく、俺の登っている椅子の足元に集まり、すっかり寛ぎモードになって転がっていたよ。
「いやあ、スタッフ達まで遊ばせてもらって感謝するよ。大活躍だったスライム達もよく労ってやってくれよな。本当にありがとうな」
スタッフさん達と一緒にめっちゃスライムトランポリンで遊んでいたヴァイトンさんが、椅子から降りてマックスにくっついて寛いでいた俺のところへ走って来て、満面の笑みでそう言って何度もスライム達にもお礼を言ってくれた。
どうやらもうスタッフの皆さんも満足したらしく、スタッフ体験会も終了したところで本日は解散となった。
とはいえ、スタッフさん達は売上の確認や会場の掃除だけでなく、今日の体験会で集まったご意見や問題点の再検討など、色々とやらなければいけない仕事がまだまだあるらしい。ご苦労様です。
まあ、だけどそれくらいは仕事のうちだろうしお任せしてもいいだろうって事で、俺達はもうスライム達を集めて撤収させてもらう事にした。
結局すっかり日が暮れて真っ暗になってしまったので、それぞれ手持ちのランタンを取り出して灯し、真っ暗な夜道をお城まで帰る事になった。
「スライムトランポリンの開催期間中だけでも、出来れば街に宿を取りたいなあ。毎日、日が暮れてからお城まで帰るのって大変じゃあないか?」
冬の日暮れは早い。寒いのは、まあ厚着をすれば何とかなるだろうけど、真っ暗な雪の中を毎日ラッセルしながら戻る従魔達の負担を考えてそう言ったのだが、俺を乗せたマックスは、不満そうにワンと吠えて俺を振り返った。
「ご主人! この程度の雪、我らにとっては全然問題になりませんよ。と言うか、雪遊びをする楽しみを奪わないでください!」
尻尾扇風機状態でそう言われてしまい、もう笑うしか無い俺だったよ。
「そうか、それならいいよ。じゃあ寒がりの子達にはニニと一緒にお城で留守番していてもらって、雪遊びをしたい子達だけ一緒に街へ来ればいいな。あ、でも街にいる間はずっと厩舎にいる事になるけど大丈夫か?」
食事は、従魔達が自力調達した弁当があるから大丈夫だろうけど、狭い厩舎にずっといるのはストレスにならないだろうか?
「数日程度なら問題無いですよ。それにお祭りが終わって用事が済めば、狩りに出かけるんでしょう?」
これまた尻尾扇風機状態でそう言われたので、その予定でいく事になったよ。
お城に着いて一休みしてから、夕食は作り置きを色々と出して食べてもらった。
「結局、新年早々働いちゃったな」
「確かにそうですね。だけどケンさん達と違って、俺達はほぼずっと遊んでいただけですけどね」
何故かドヤ顔のアーケル君の言葉に、それもそうだと大笑いになった。
一日と二日はダラダラするって言っていたのに、結局ゆっくり寝ただけで一日働いちゃったから、引き続き明日と明後日はダラダラ休日にする事になった。
ううん、勤め人には出来ない勝手な休日設定。自由人万歳! 冒険者って良いよな!
「って事は、商人ギルドのスタッフさん達は新年早々仕事してるって事だよな。大丈夫なのか?」
俺の呟きが聞こえたハスフェルとギイが揃って振り返る。
「ギルドは年中無休だからな。どちらかと言うと祭り期間中の商人ギルドは普段以上の忙しさだから、皆慣れているって」
「ヴァイトンは、スタッフ達のいい息抜きになったって喜んでいたぞ」
二人からそう言われて、大はしゃぎで遊んでいたスタッフさん達を思い出す。
「あはは、年中無休なのか。それなら交代でお休みは取っているんだな」
「もちろん。お祭り期間が終われば、祝い金も出るぞ」
揃って頷かれて安心したよ。
実はブラックギルドだったらどうしようかってちょっと心配になったんだけど、ちゃんと交代でお休みがあってボーナスまで出るのなら充分ホワイトだよな。
そこまで考えて、以前の自分の勤めていた会社の勤務状態を思い出して、ちょっと遠い目になった俺だったよ。
いやいや。ボーナスは出ていたんだから充分ホワイトだよな? 休みはまあ……だったけどさ! と誰に向かってなのかよく分からない言い訳をする俺だったよ。
うん、自由人万歳! 冒険者って最高〜〜〜!
よし、明日と明後日は思いっきりダラダラするぞ〜〜〜!