昼だけど朝ご飯だぞ!
「さてと、それじゃあそろそろリビングへ行くとするか」
のんびりとコーヒーを飲んだ俺は、タマゴサンドを完食して神殿へ戻ったシャムエル様を見送ってからそう呟いて立ち上がった。
「じゃあ、ついでに皆の部屋にも声を掛けてから行くか。それじゃあちょっと行ってくるよ」
従魔達はベッドやコタツですっかり寛ぎモードなので、順番にもう一度撫でてやってからスライム達だけを連れて部屋を出た。
ちなみに部屋は、ハスフェルとギイ、それからランドルさんはそれぞれ一部屋ずつ使ってもらっているんだけど、リナさんとアルデアさんご夫婦は二人一緒に一部屋を使ってもらっている。そしてアーケル君の使っていた部屋にそのままオリゴー君とカルン君の二人が転がり込んで、結局三人で一部屋を使っている。
別に部屋は沢山あるから好きに使ってくれてもいいと思うんだけど、皆楽しそうだからもういい事にしている。
『おはよう。起きろよ〜〜! 昼だけど朝ごはんだぞ〜〜! 俺はもう起きて今からリビングへ行くぞ〜〜〜!』
まずはハスフェルとギイを念話で起こす。
『ああ、おはよう。ちょっと前から目が覚めてゴロゴロしていたんだけど、いい加減腹が減って来てそろそろ起きようかと思っていたところだ』
『おはようさん。俺もさっき起きて、そのままベッドでゴロゴロしていたよ。じゃあ準備したらリビングへ行くよ』
笑ったハスフェルとギイの返事が帰って来たので、笑ってドアをノックしておいた。
「おはようございま〜〜す! そろそろ起きてくださ〜〜い。昼だけど朝ごはんですよ〜〜」
ランドルさんとリナさん夫婦と草原エルフ三兄弟の部屋は、そう言いながら軽くノックをする。
「はあい、おはようございます」
「おはようございます! 起きてま〜〜す!」
「ああ、おはようございます。今起きたところなんで、準備して行きますね」
それぞれの部屋から元気な返事が返って来たので、笑ってそのままリビングへ向かった。
「さてと、じゃあまたいつもの作り置き色々かな」
リビングに用意してあるいくつもの暖房器具のスイッチを入れて回ってから、リビングの広い机を見回した俺は小さくそう呟いて鞄に入ったサクラにお願いして色々と出してもらう。
食パンやコッペパン、フランスパンやクロワッサンなどの横には、まな板とパン切り用のナイフを並べ、簡易オーブンも取り出しておく。
それから大きめのトレーには、惣菜パンやサンドイッチ各種をぎっしりと並べておく。
揚げ物系も少なくなってきているのを優先的に色々出してもらい、それから葉物のサラダとポテトサラダ、オムレツや目玉焼き、スクランブルエッグなどの卵料理のお皿も並べておき、味噌汁とコンソメ味の野菜スープも片手鍋に適当に取って温めておく。
「温かいスープとかあると嬉しいよな」
それからコーヒーのピッチャーを取り出しておき、各種ジュースのピッチャーとミルクと豆乳は、深めのバットに氷を砕いて入れてからそこにピッチャーや瓶を並べておく。
簡易コンロには小さめの片手鍋も置いておく。温かいミルクや豆乳が欲しい人は、自分でやってね作戦だ。
「あとは何があったかなあ。ああ、ピザがまだもうちょい残ってるから、これも出しておくか。それから、これは俺が食いたいからちょっと手をかけるぞ」
バターやジャムもパンの隣に並べておき、サクラにお願いして岩豚のバラ肉をちょっと分厚めに切ってもらう。
これはキッチンへ持っていき、軽く塩胡椒をふりかけてフライパンでそのまま焼いておく。
岩豚のバラ肉ミニステーキだ。これをパンに挟んだら絶対美味しいぞ。
「おはようございます。うわあ、なんだかすごく豪華だ!」
「おはようございます。本当だ。これは嬉しい!」
「おはようございます。しかもこのジューシーな香り!」
最初に起きて来たのは草原エルフ三兄弟だった。
「ふふふ、岩豚を焼いているからもうちょっとだけ待ちたまえ」
キッチンから顔を出した俺の言葉に、三人の歓喜の悲鳴が上がる。
「サクラ、もう一塊切っておいてくれるか。これは絶対足りなくなりそうだ」
苦笑いした俺は、隣のコンロにもフライパンを置いてからサクラに追加のお肉を切ってもらうように頼んだ。
「まだありますか? 焼くの手伝いますよ」
アーケル君が来てくれたので焼くのはお任せしておき、俺は追加で切ったお肉に塩胡椒を振りかけてまわった。
結局四つのフライパンを並べて大量の岩豚のミニステーキが焼き上がった。
「手伝ってくれてありがとうな。じゃあ行こう。お腹ペコペコだよ」
「俺もペコペコっす。それにしてもこれだけ美味しそうなのを焼いて腹を減らしてるって、何だか納得出来ません!」
「確かにそうだよな」
そう言って顔を見合わせた俺とアーケル君は、にんまりと笑い合ってから焼きたての岩豚ステーキを一枚、指で摘んでこっそり口に入れたよ。
「ううん、ただ塩胡椒をして焼いただけなのに、めっちゃ美味しい岩豚最高〜〜〜!」
満足気なアーケル君の呟きに、俺は笑って山盛りになった岩豚ミニステーキが乗ったお皿を手にドヤ顔になるのだった。
よし、食べよう!




