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おやすみ前のお風呂タイム!

「じゃあ、そろそろ眠くなって来たし、もう部屋で休んで来るよ。それで明日はどうする? 店も開いていないのなら、街へ行っても仕方がないだろうしなあ」

 立ち上がった俺がそう言うと、まだ飲んでいるハスフェルとギイが手を止めてこっちを振り返った。

「今日と明日は、もうゆっくりお休みでいいんじゃないか? 祭りが終わるまでには、お前さんの防具も完成しているだろうから、それが出来上がればまずはオリゴーとカルンの為の騎獣になるジェムモンスターを探しに行こう。第一候補はオンハルトが乗っていたのと同じエルク。見つからなければ山側へ行って、狼系のジェムモンスターを探そう」

「だな。この辺りなら、雪山狼か銀狼辺りが良いんじゃないか?」

 ハスフェルの言葉にギイも頷いている。草原エルフ三兄弟も揃って笑顔で拍手なんかしてるし。でもまあ、防具が出来上がった後なら……ちょっとくらい行ってもいいかもなあ。

 あのヘラクレスオオカブトの剣は、出来れば早めに切れ味を試してみたい!

「いいんじゃあないか。ああ、だけど祭りが終わったら先にあの姉妹を招待して舞台の第二弾を見に行った方が良くないか? ものすごく楽しみにしていたから、早い方がいいだろうしなあ」

 舞台のチケット争奪戦について熱く語ってくれたあの姉妹を思い出す。

「ああ、あの舞台の約束があったな。じゃあまずはそっちが先だな。それなら早めに連絡してやるべきじゃあないか?」

「ええと、いきなり初日に割り込むのは駄目だよなあ……だとしたら、次の週末って何日だ?」

 こっちの世界にカレンダーがあるのかどうかは知らないけど、彼女達の話を聞く限りそれに近いものはあるみたいだ。

「それなら、俺が昼になったら街へひと走り行って聞いて来てやるよ。ちょっと心当たりがあるんでな」

 ハスフェルが笑いながらそう言ってくれたので、段取りは任せておく事にする。

「じゃあよろしく。俺はもう休むよ。それで今日と明日はもう休日って事で皆でダラダラしよう」

「いいなあ、皆でダラダラ」

 笑ったギイの声に、ランドルさんとリナさん一家も笑ってサムズアップなんかしてる。

「じゃあ、予定決定だな。それじゃあおやすみ〜」

 出た大きなあくびを噛み殺しつつ、そう言って手を振ってから部屋に戻る。



「はあ、じゃあもう明日はダラダラする事に決定〜〜!」

 待ってましたとばかりにベッドに上がるマックスとニニ。

「待て待て、俺は風呂に入ってくるから、もうちょい待っててくれよな」

 自分で収納しているお風呂セットを取り出した俺は、マックスとニニを撫で回してやり、他の従魔達も順番に撫でたり揉んだりおにぎりにしたりしてやってから、風呂場へ向かった。

 え、湯室(ゆむろ)だろうって? この城にあるのは風呂場なんです!

 満腹まで食ってビールもガッツリ飲んだんだけど、案外平気そうなので気にせず風呂に入るよ。

 スライム達が当然のようについて来ているので、そのまま俺はスライム達を引き連れて風呂場へ入った。

「まずはお湯を出さないとな」

 壁面のスイッチをオンにしてお湯を全開にする。

 もうもうと湯気を立てて豪快に流れ落ちるお湯を見て、にんまりと笑った俺はいそいそと脱衣所へ戻って豪快に服を脱いで行った。

「お前らも一緒に入るのか?」

 スライム達が全員集合して頷いているのを見て、笑いながら一緒に風呂場へ入る。

「おお、湯気が充満してるよ、冬のお風呂はこうでなくちゃな」

 広い湯船にはもう並々とお湯がたまっている。

「じゃあ、かかり湯をしてから入るぞ。ううん、このちょっと熱めがいい感じだ。ああ、気持ち良い……」

 案外体は冷えていたみたいで、湯船の中に伸ばした指先や足の先が面白いくらいにじんじんしている。



 気がつけば、バレーボールサイズになったスライム達も広い湯舟の中を楽しそうに行ったり来たりしている。

「ああ、今ならクロッシェも一緒に遊べるな」

 お湯の中に綺麗なレース模様が見えてなんだか嬉しくなる。

「うん、お風呂って気持ちいいね〜!」

 ニュルンと伸びてきたクロッシェが、嬉しそうにそう言いながら俺の足の辺りにくっついてすりすりしてくる。

 うん、人肌温度に温まったスライムは非常に危険なブツです。主に俺的に。

「ほら、いいから遊んでおいで」

 笑ってさりげなくクロッシェを引き剥がして、そっと押し出してやる。

「びゅう〜〜〜〜ん!」

 何やらよくわからない擬音を唱えながら、クロッシェが風呂の隅の方にいたスライム達に突っ込んでいく。

「きゃあ〜〜〜〜!」

「やられた〜〜〜!」

「きゃあ〜〜〜!」

「飛ばされる〜〜〜!」

 何やら楽しそうな悲鳴と共に、スライム達がお湯の中をゴロンゴロンと転がっていく。

「ストライ〜〜ク!」

 嬉しそうなクロッシェの声に、見ていた俺は思わず吹き出したよ。

「なんだか楽しそうだな。でも今のはどちらかというとボーリングじゃなくてビリヤードっぽいかな」

「何それ? 初めて聞くね」

 唐突にシャムエル様登場。

「なんだよ。濡れるからお風呂場は嫌いなんじゃあなかったのか?」

 からかうように濡れた手で触ってやろうとしたら手の届かない位置まで一瞬でワープされてしまった。

「濡れるのは嫌だけどさ。この蒸気にあたってると毛皮がふわふわになるんだよね。だから温まりにきたの!」

 成る程。確かにこの蒸気に当たるだけでも気持ち良いかも。

「じゃあ、もうちょいお湯を出しておくから、好きなだけ当たって行ってください」

 止めていたお湯を少しだけ流してやり、俺は体を洗うために一旦湯から出る。

 体を洗いながら、のんびりと蒸気風呂を楽しむシャムエル様に、俺はボーリングとビリヤードがどんなゲームなのかを、一から詳しく説明するハメになったのだった。

 何その楽しそうな顔は? もしかして、この世界にもボーリング場とかビリヤード場とか出来ちゃったりする?

 実を言うと俺、ボーリングもビリヤードもかなり得意なんだけどな。

 そんな事を考えつつ、豪快にお湯を頭からかぶった俺だったよ。

 はあ、寒い季節のお風呂って最高〜〜!

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