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ご馳走様とふれあいタイム!

「ふおお〜〜〜! デコレーションケーキ! 最高〜〜〜〜!」

 俺の目の前では、シャムエル様がさっきから超ハイテンションでものすごい勢いのステップを踏んでいる。

 あんなに肉を食った後で、そんなに飛び跳ねて大丈夫なのか? 中身が出たら大変だぞと、若干心配になりつつ手にしたケーキの乗ったお皿を見る。

「一応、これもお供えしておくか。ちょっとだけ待ってくれよな」

 これは改めてお供えしておくべきかと思った俺は、シャムエル様に断ってからカットしたデコレーションケーキ三種盛り合わせ二切れずつの並んだお皿と、果物も適当に取ったお皿をいつもの敷布の上へ乗せて手を合わせた。



 まあ、収めの手はさっきからそこでものすごいテンションで待ち構えているんだけどね。



「お待たせしました。ハスフェル達がバイゼンの街のケーキ屋さんで買って来てくれたデコレーションケーキ色々と果物です。まあ、切っている時にも持っていってくれていたから今更かと思うけど、一応お供えしておきますね」

 手を合わせながら小さくそう呟くと、収めの手がいつものように俺を何度も撫でてからカットしたケーキをそれはそれは嬉しそうに撫でて、最後はお皿ごと持ち上げるフリをしてから消えていった。

 予想通り、デコレーションケーキまるごとの時と、カットして盛り付け直したのでは、違う扱いになるので二回お供えしても良いみたいだ。

「ってか、シルヴァ達ならこれは大はしゃぎ確定だよな」

 デコレーションケーキを前に目を輝かせて大はしゃぎをするシルヴァ達の様子を思って、笑いを堪えるのに苦労したよ。



「はい、お待たせ。俺は三種類ちょっとずつもらうから、あとは全部どうぞ」

 別のお皿をもう一枚もらい、カットケーキをそれぞれちょっとずつもらう。まあせっかくだから、俺も全種類食べて見たいもんな。あとは果物が少しあれば充分だって。

「あれ、そんなにちょっとでいいの? 遠慮しなくていいのに」

 本当に一口ずつくらいしか取らなかったら、何故かシャムエル様に心配された。

「いやいや、俺的にはこれくらいあれば充分だって。お肉でもう腹一杯だから、あとは全部どうぞ」

 苦笑いした俺は、残りを丸ごとシャムエル様の前に押し出してやる。

「ふおお〜〜〜〜! では遠慮なく、いっただっきま〜〜〜〜〜す!」

 予想通りに頭からケーキの山に突っ込んでいったシャムエル様は、それはもう大はしゃぎでケーキを爆食し始めたよ。当然合間には果物もガッツリ食べてるし。

「あれだけ肉食って、まだ甘いものが入る……マジで四次元胃袋だなあ」

 大興奮状態でいつもの三倍、いや四倍サイズになっているもふもふ尻尾をこっそりと突っつきつつ、俺ものんびりとコーヒーと一緒にミニケーキをいただいた。

 うん、出来ればこれはもうちょっとお腹に余裕のある時に食べたかったね。

 美味しいんだよ。めっちゃ美味しんだけど……濃厚生クリームとガッツリ肉のコラボレーション。明日の胃がどうなるのかマジで心配だよ。




「本当に、どれもすっごく美味しかったっです!」

「ありがとうございました! 一生の思い出になりましたよ」

 デザートもきれいに平らげてすっかり寛ぎモードになった辺りで、大感激してくれた職人さん達から口々にお礼を言われた。

 それと同時に、本当にタダで食べたけど良かったのかと割と本気で心配された。

 大丈夫だって、これの原価はタダ同然なんだからさ。

「いやいや、これは皆様の素晴らしい仕事に対する俺の気持ちなんですから、遠慮はいりませんって。でも、喜んでいただけたなら嬉しいですよ。ああ、それとせっかくですからうちの従魔達を見てやってください。ちょっと呼んできますね」

「ええ! 本当にいいんですか!」

 予想通りに目を輝かせる女性陣。

「おや、じゃあ俺達の従魔も連れて来ましょうか?」

「お願いします!」

 ってやりとりがあり、結局ハスフェル達やランドルさん、リナさん一家まで全員の従魔達が集まってきたよ。ううん、全員集まると相変わらずすごいねえ。

 以前は厩舎にいる事が多かったブラックラプトルのデネブも、オンハルトの爺さんが帰ってしまいエルクのエラフィがいなくなって以降は、大型犬サイズになって皆と一緒に家の中へきて寛ぐようになっているんだよ。

 女性達をはじめほとんどの人達はマックスとニニ達もふもふ系の子達に突撃して行き、逆に職人さん達の何人かは、ブラックラプトルのデネブやプティラ、それからイグアナコンビに興味津々だった。

 おお、興味の対象にも個性が出ているねえ。



 ホルストさんが言っていた大人しくなっちゃった女性のリーベルさんは、実はちょっと足が不自由な方だったらしく、杖を持っている。歩く事自体は大丈夫らしいんだけど、椅子に座ったり立ち上がったりする時には誰かの補助が必要らしい。

 当然のように手を貸すホルストさんを見て、思わず近くにいたギルドマスターのエーベルバッハさんを見る。

「ええと、もしかしてあの彼女って……」

「おう、ホルストの嫁さんだよ。腕の良い細工師なんだが、ご覧の通りちょいと足が不自由でほとんど工房から出て来ないんだ。特に冬場はなあ。今日は久しぶりの外出だったから、あいつも喜んでいたんだ。彼女まで呼んでくれて本当にありがとうな」

 うう、ここにもリア充がいたよ。ぐぬぬ……。

 だけど、大はしゃぎしながらマックスを撫でる彼女と嬉しそうなホルストさんを見て、お幸せに! って思った俺だったよ。

 マックス達も、全員からキラッキラの目で見つめられてまんざらでもなさそうだ。

 それに、皆、それはそれは注意して従魔達に触れてくれているのが分かるので、ある意味安心して見ていられたよ。

 そして、実はギルドマスター達も従魔に触りたかったらしく、マックスやニニをはじめ順番に従魔達とのふれあいタイムをそれはそれはいい笑顔で楽しんでくれていたよ。

 ううん。皆、良い人達ばかりで嬉しいねえ。

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