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昼食と役割分担

 ぺしぺしぺし……。

 ぺしぺしぺし……。

 ふみふみふみ……。

 ふみふみふみ……。

 ふみふみふみ……。

 カリカリカリ……。

 カリカリカリ……。

 つんつんつん……。

 チクチクチク……。

 ショリショリショリ……。

 ふんふんふんふん!

「うん、起きるよ……」

 いつものように半ば無意識で返事をした俺は、不意に感じた違和感に慌てて起き上がった。

「ああそっか。あのままニニのお腹に埋もれて寝落ちしたのか」

 目の前のもふもふを笑って撫でてから、何とか起き上がって大きく伸びをする。

「ようやくのお目覚めだな。もうとっくに昼を過ぎてるぞ」

「腹が減って来たから、そろそろ起こそうかと相談していた所だよ」

 笑ったハスフェルとギイの言葉に慌てて振り返ると、机の上へワープしたシャムエル様までがうんうんとものすごい勢いで頷いている。

「了解、じゃあ色々出すから好きに食ってくれるか」

 苦笑いしながら従魔達の中から立ち上がった俺は、思いっきり腕を伸ばして首も回して強張った体を解してからハスフェル達のところへ行った。



「何にしようかなあ。よし、ご飯が食べたいからおにぎりにしよう」

 少し考えてまずは自分が食べたいものを取り出す。

 おにぎり色々と、鶏ハム、それからおからサラダと味噌汁。俺はこれだけあれば充分だよ。

「ええと、ハスフェル達は何がいい?」

「じゃあ、俺達もそのおにぎりをお願い出来るか。おかずは適当にいつものを出してくれればいい」

 珍しくハスフェル達もおにぎりが食べたい気分らしい。なのでさっきの四倍くらいの量をガッツリと取り出して並べておく。いくら何でもこれだけあれば足りるだろう。

「後はじゃあ揚げ物系とかかな?」

 夜は岩豚のバーベキューなんだから肉はいらない気もするけど、あの二人なら気にせず食べるだろう。

 それを予想していつもの揚げ物各種と一緒に、屋台で買い込んでいる串焼きや鶏肉の焼いたのなんかも色々と並べておく。

「よし、じゃああとはお好きにどうぞ」

 自分のお皿を手にしながらそう言うと、嬉しそうにお礼を言った二人が嬉々としておにぎりを取り分け始める。



「ううん、三人だけだとリビングが広く感じるし机が広いよ」

 料理を選んでいて思わず笑ったよ。三人だけだと料理を取るのも余裕だ。

 いつもならアーケル君達やランドルさんと、半ば取り合いっこみたいな状態でワイワイ言いながら自分の好きなものを必死になってかき集めているんだけど、三人だけだと何というか拍子抜けしそうなくらいにのんびりしている。

「あはは、大家族状態がすっかり日常になっちゃってるせいか、この人数だとちょっと張り合いがなくて寂しいよ」

 不意に襲って来た寂しさみたいな冷たい感じを誤魔化すように笑いながらそう呟くと、なぜかすっごく優しい笑顔の二人から頭を撫でられた。

 べ、別に泣いてなんかないんだからな!



 予想通りに半分シャムエル様に取られたので、食べる前に追加のおにぎりやおかずを取りに行く。

「わあい、肉巻きおにぎり〜〜〜!」

 シャムエル様は、お気に入りらしい照り焼き風味の肉巻きおにぎりを丸ごと一つ堪能中だ。確かにあれは美味しい。って事で改めて自分の分の肉巻きおにぎりを確保しておく。

「今夜のメニューなんだけど、岩豚以外だと何が良い? ハイランドチキンとグラスランドチキンはぶつ切りにしておいて、各自で好きに焼いてもらうつもりなんだけどさ。グラスランドブラウンブルとか、ブラウンボアはどうかな?」

 すると、おにぎりを食べていたハスフェルとギイが、揃って呆れたようなため息を吐いて俺を振り返った。

「お前は自覚がないみたいだけど、今言ったどれか一つだけでも、職人達はおそらくほとんど食べた事が無いくらいの貴重な食材だぞ」

「ええ、レアだとは聞いているけど、そんなに?」

「まあ、岩豚が一番喜ばれるのは間違いないさ。あとはハイランドチキンとグラスランドチキンがあればそれで充分だよ」

「そうだな。あまり一気に出すと有り難みが薄れるから、ちょっともったい付けて出すくらいでちょうど良いと思うぞ」

 笑ったギイにまでそう言われて、それもそうかと考え直す。

「じゃあ、今夜のメインは岩豚の各部位で、あとはハイランドチキンとグラスランドチキンだな。こっちはタレに漬け込んだのとかも作っておいても良いかもな。ええと。それなら巨大コンロと鉄板の準備は任せていいか?」

「ああ、了解だ。倉庫から出しておこう」

「それなら、肉を焼く時はこの部屋じゃあなくて二つ隣の部屋の方が良くないか?」

 不意にギイがそう言ってハスフェルの腕を叩く。

「二つ隣の部屋って?」

 俺とハスフェルの声が重なる。

「ああ、ここと同じくらいの広さはあるんだけど、家具が一切置いていなくて、だだっ広いだけの部屋だよ。ただし窓は大きいし天井も高いから、あそこなら複数の焼き台を使っても問題ないし、ある意味遠慮なく汚してもらえると思うぞ。職人達が大勢来る事を考えたら机も大きい方がいいだろうから、倉庫にある予備の大きいのを運んでくればいい」

「確かに。それならケンは言っていたように料理の仕込みを頼むよ。俺とギイで向こうの部屋に焼き肉パーティの準備を整えておいてやるからさ」

「了解。それじゃあ会場準備は任せるからよろしくな!」

 笑って手を叩き合った俺達は、まずは食事を再開する。

 俺は食べかけのおにぎりを平らげて、残りの味噌汁をゆっくりと味わった。



 さて、それじゃあ少し休んだら、焼き肉パーティーの準備に取り掛かるとするか!

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