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朝食準備と今日の予定

「おはようさん。待たせて悪かったな。じゃあ、色々出すから好きに食ってくれよな」

 リビングに駆け込んだ俺は、慌ててそう言いながらサクラが入ってくれた鞄から大急ぎでいつものサンドイッチや惣菜パンを取り出していった。

「おはようございます。ああ、我々もついさっき起きたところですから、そんなに慌てなくても大丈夫ですよ」

 苦笑いしたランドルさんがそう言いながら立ち上がって、手持ちの収納袋から俺の品揃えとはまた違ったガッツリ肉系のボリュームタップリガッツリバーガーやちょっと辛めのホットドッグなどを出してくれる。

「いつもすみませんねえ。でも、俺が持っているのとはまた違った品揃えだからメニューが増えるんで有り難いですよ」

 コーヒーのポットを取り出しながらそう言うと、呆れたように笑いながら背中を叩かれた。

「何を仰っしゃるやら。こんなのいつも頂いているのに比べたら僅かなものですよ。でも、少しでも喜んでもらえているなら、何にしようか必死になって考えながら買い集めた甲斐がありますね」

「あはは、頼りにしていますんでこれからもどうぞよろしく。でも無理はしないでくださいね」

「おかげさまで資金には相当の余裕がありますからね。食費なんてどれだけ買ったところで予備の武器の一つ分の値段にもなりませんよ」

 まあ、それが普通の買い物の感覚なんだろうなあ。俺の買い物はちょっと桁が違うんだけどな。

 笑ったランドルさんの言葉にちょっとだけ遠い目になった俺は、気分を切り替えるように深呼吸を一つしてから各種ジュースの入ったピッチャーも取り出して並べた。



「それで、今日はどうするんだ? 夕方には皆が来るから、俺は出来れば早めに夕食の準備を始めておきたいんだよなあ」

 まあ肉があれば良い気もするけど、せっかくだから色々準備してあげたいもんな。

 自分の分とシャムエル様用のタマゴサンドを確保してから、他にも色々と取って来て席に置いた俺は、マイカップにコーヒーを入れながらちょうど隣にいたアーケル君達三兄弟を見た。

「ああ、それなら俺達は昨夜話していた収納袋を探しに街まで行ってきますから」

「ケンさんはもう午前中はゆっくりしていてくださいよ」

 オリゴー君とカルン君の言葉に、アーケル君も笑顔で頷いている。

「そうかあ。じゃあそうさせてもらおうかなあ」

 笑って頷いた俺だったけど、不意に思い出してアーケル君達を振り返る。

「ん? どうかしましたか?」

「いや、確かこの会話をハンプールにいた時にもした覚えがあるなあって思い出してさ」

 揃って不思議そうな顔をする草原エルフ三兄弟の横で、マイカップを片手にリナさんとアルデアさんも不思議そうにしている。

「いや、確かハンプールのバッカスさんの店にいた時だったかなあ。ランドルさんがその二百倍の収納袋を買ったって話をした時に、色々収納袋が大量に入荷した店があるから、そこへ行けば間違いなく探している収納袋があるって話を、リナさん達としていませんでしたっけ……?」

 何となく曖昧な記憶だったんだけど、確かにそんな話をした覚えがある。

 するとランドルさんが納得したみたいに笑って大きく頷いた。

「ああ、確かにした覚えがありますね。ですがあの後、狩りに行って例の創造神様からのお告げの事件があったでしょう? それでなんだかんだの大騒ぎでしたから、結局、店に寄るのをすっかり忘れてそのままこっちへ来てしまったんですよね。春に行ったら、さすがにもう欲しかった高性能の収納袋は売れてしまっているだろうから、どうしようかって話をこっちへ来てからしていたんですよね」

 苦笑いしているリナさん達やアーケル君を見て、俺もあの時の大騒ぎの話を思い出して笑いを堪えられなかった。



 だけど、シャムエル様が地下洞窟で収納袋を出してくれるって張り切っていたんだよなあ。

 今ここで収納袋を買っちゃったら、無駄なお金を使わせる事にならないかなあ。



 昨夜のシャムエル様の大張り切りの言葉を思い出して、タマゴサンドの隣でカリディアと並んで高速ステップを踏んでいるシャムエル様をこっそりと横目で見る。

「任せて! 今ランドルさんが持っているくらいの分なら、余裕でたくさん出してあげるからね〜〜〜〜!!」

 大きく飛んで見事なとんぼ返りを決めたシャムエル様の言葉に、少し考える。

「この後って、俺の防具が仕上がったら地下洞窟へ行くって言っていたけど、それって春になってからじゃあなくて、今でも行けるのか?」

「おう、あそこまでなら吹雪でない限り従魔達なら余裕だぞ」

「入口まで辿り着いて中へ入って仕舞えば、雪は関係ないからな」

 笑ったハスフェルとギイの言葉に、納得する。

「ちなみに、俺はまだ見た事がないけど、収納袋ってそのダンジョンや地下洞窟なんかから出るんだよな。具体的にはどんな風に出るんだ? どこかに宝箱が落ちていて、開くとアイテムが出るとか?」

 何となく、RPGのゲーム風に洞窟の中に宝箱があったらテンション上がるなあ、なんて考えながらの言葉だったんだけど、ハスフェル達は俺の言葉に揃って吹き出していた。

「宝箱かあ。そんなのがあったらそりゃあ楽しそうだなあ。何、いつも通りにジェムモンスターを倒せば良いだけだよ。アイテム持ちがいれば収納袋などのアイテムも素材やジェムと一緒に落としてくれるんだよ」

「へえ、そうなんだ。じゃあ、今まで一度も落ちていないのを考えると本当に運なんだな」

「まあな。だからこそ収納袋にはそれなりの値段がつくんだよ。まあ、俺達は自力の収納の能力持ちだから、関係ないけれどな」

 笑ったハスフェルとギイがドヤ顔になり、リナさん達とランドルさんからブーイングが上がっていた。

「まあ、これに関してはアイテムの出やすい場所とそうでない場所があるからな。ここバイゼンの地下洞窟は、比較的アイテムが出やすいと言われているところだから、少しくらいは出て欲しいなあ」

「だな。それに収納袋は一つでも良い値段で売れるからなあ」

 ちらっとシャムエル様を横目で見ながらのハスフェルの言葉に、ドヤ顔で胸を張るシャムエル様を見て、俺は地下洞窟でどれくらいのアイテムが出るのか考えて、ちょっと本気で気が遠くなったよ。

 まあ、これに関しては、運なんだからよかったね! で、押し通せば良いんだよな!

 仮に今収納袋を買っても、ダブれば高値で売れるのなら損はしないよな。

 って事で、これも全部まとめて明後日の方向へぶん投げておく。



 よし、食おう!

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