のんびり夕食タイム!
ぺしぺしぺしぺし……。
「うん……待って、起きるから……」
シャムエル様に額を叩かれて目を覚ました俺は、半ば無意識に返事をしながら不意に感じた違和感に目を開いて起き上がった。
「うわあ、びっくりするから急に起きないでください!」
俺の額から落っこちかけたシャムエル様が、一瞬消えて次の瞬間炬燵の上へ移動する。相変わらず器用なこって。
「あれ? ああ、そっか。昼寝したんだった……ふああ〜〜」
不意に出たあくびを噛み殺しつつ、そのままもう一度ニニのお腹に潜り込む。
「はあ、あったかい……」
ぺしぺしぺしぺし!
目を閉じそうになったところで、俺のすぐ横に移動したシャムエル様にまた額を叩かれる。
「ちょっと寝ないでください! お腹空いているんだからさあ」
なぜかドヤ顔でそう言われて思わず吹き出す。
「ええ、もうそんな時間なのか?」
何とかもう一度起き上がってそう言いながら周りを見て、ここから見える窓の外が真っ暗になっているのに気づいて吹き出したよ。
「真っ暗じゃんか。いくら何でも寝すぎだよな。じゃあ起きるか。ええと、皆は?」
「リナさんとアルデアさんは部屋に戻って、ケンと同じく昼寝をしていたよ。まああっちはかなり前に起きて、今はリビングで寛いでいるよ。他の皆はリビングでダラダラしているねえ。ハスフェルとギイとランドルさんは、ダラダラ飲みながらカードで遊んでいるし、アーケル君達は、楽しそうにお互いのナイフコレクションの見せ合いっこをしているね。あの三兄弟は、どうやら揃ってナイフコレクションにハマっているみたいだよ。さっきケンが受け取っていた別注して作ってもらったナイフがあったじゃない。あれを三人がすっごく褒めていたしもっと見たがっていたよ」
「ああ、あっちは俺も確認のためにちょっと見ただけだから、まだそれほどじっくりは見ていないんだよな。じゃあ、後で取り出して一緒に見てもらおう。ここはナイフコレクションの専門家の意見を聞きたい」
ナイフコレクション初心者の俺的には、先輩達からナイフの見所や良し悪しの判断の方法なんかを是非とも聞きたい。
実は俺、こういうマニアな人の蘊蓄を聞くのって決して嫌いじゃあないんだよな。
「さて、それじゃあ起きてリビングへ行くか。ええと、それで今夜の夕食は何にしようかねえ」
もう今から作るのは時間がかかりすぎるので、ここは出来れば作り置きでなんとかすべきだな。
「揚げ物続きだったから、俺的には和食がいいんだけどなあ。明日は焼肉パーティーだし、出来ればあっさり系がいいんだけど、ハスフェル達は絶対にそれだと足りないだろうからどうするかねえ」
夕食のメニューを考えながら軽く身だしなみを整えてから、スライム達が入った鞄を手にリビングへ向かう。
「おう、やっと起きてくれたか。そろそろ起こしに行こうかって言っていたところだぞ」
「あはは、確かにちょっと寝過ぎたよ。ええと、それで夕食は何がいい?」
ここは一応、皆の意見も聞いておくべきだよな。
「明日は焼肉パーティーなんですよね?」
慌てて机の上を片付けていたアーケル君の言葉に、俺は笑って頷く。
「おう、岩豚メインで他にもいつものレアな肉を大量に出すから、ガッツリ遠慮なく食ってくれ。それで今夜は何が食いたい?」
サクラ達の入っているカバンを机の上に置きながらそう聞いてみる。
「それならもう、今日は何か在庫のある作り置きとか出来合い品などで良いのでは? ケンさんも今から作るのも大変でしょうし」
気遣いの出来る男、ランドルさんの言葉にアーケル君達も揃って頷いている。
「それなら、在庫の少なくなっているのをメインで色々出すから好きに食ってくれるか」
そう言いながら鞄に手を突っ込み、サクラが出してくれる在庫少なめの料理を次々に取り出していく。
「俺はご飯が食いたい。それから和食の煮物系とおひたし系も出してくれるか」
小さな声で鞄の中にいるサクラにお願いして、俺が食べたい和食の煮物やおひたしを色々出してもらった。
よしよし、俺はご飯と根菜類がガッツリ入った筑前煮と具沢山の豚汁、それからあったか揚げ出し豆腐とほうれん草のおひたしがあればもう充分だよ。
一通り取ったところで手が止まり、机の上で俺を見ているシャムエル様と目が合う。
「ええと、他に何がいる?」
「その、串焼きを一本ください! 後はケンが取っているのを一通りください!」
横っ飛びステップを踏みつつの言葉に苦笑いした俺は、追加で山盛りに取り、ランドルさんが出してくれた前回とはまた違った照り焼きっぽいタレが塗られた大きめの串焼きを、少し考えて自分の分も入れて二本もらっておく。
いつものように、まずはシルヴァ達にお供えして収めの手を見送ってから席へ戻る。
「はいどうぞ。味噌汁はどれに入れるんだ?」
差し出されたお皿にリクエスト通りに色々入れてやり、ご飯も筑前煮の横に山盛りに入れてやる。揚げ出し豆腐は別の小鉢に半分入れてやる。
「じゃあここにください!」
やや小さめのお椀が出て来たので、そこに豚汁の具も一通り入るように入れてやる。
「はい、お待たせしました、どうぞ」
「わあい、美味しそう! こういうのも家庭的で良いよね! では、いっただっきま〜〜〜〜〜〜す!」
ご機嫌でそう叫んでシャムエル様は、嬉々として筑前煮の山に、いつものごとく頭から豪快に突っ込んでいったのだった。
「相変わらずだねえ」
苦笑いしつつ、俺も改めて手を合わせてからまずは揚げ出し豆腐を口に入れたのだった。
ううん、寒い時期はこういうあったかいメニューが良いよね。




