スライムトランポリン開始〜〜!
「いやあ、何度見てもやっぱりデカいよなあ」
「だよなあ、ここが自宅とか、どう考えても有り得んよ」
到着したお城を馬に乗ったまま見上げながら、ガンスさんとエーベルバッハさんが顔を見合わせてそう言いながら頷き合ってる。
その気持ちはもの凄く分かる。
だけど、実を言うと、最初の頃と違って最近ではもう俺はデカいとか特に思わなくなっていたりするんだよな。廊下も部屋も広いから、どこへ行っても従魔達の大きさを気にする必要が無いから気楽でいい、とか考えてるくらいなんだよ。
ううん、慣れって怖い。
「どうしますか? もうこのままやってみますか? 休憩するならお茶くらい出しますけど。それとも、ちょっと早いですけど先に昼飯にしますか?」
俺もマックスの背に乗ったままでそう尋ねると、ギルドマスター達は満面の笑みで綺麗にならされてぺたんこになっている広い庭を見た。
「いや、せっかくだから、早くそのスライムトランポリンとやらを見てみたいよ」
「だな。別にまだ腹も減っとらんしなあ」
「そうだな。できれば噂のスライムトランポリンを早く見せて欲しいな」
三人揃って笑いながらそう言っている。アーケル君達も今にも庭へ駆け出して行きそうだよ。
まあその為に来たわけだし、じゃあ早速始めるとしますか。
笑って頷いた俺は、まずはマックスの背中から飛び降りて鞍や手綱を全部外して収納した。それを見て、ギルドマスター達も馬から降りて大急ぎで厩舎へ馬達を連れて行く。ハスフェル達やリナさん達も、それぞれの従魔から飛び降りて大急ぎで鞍や手綱を外していたから、皆考えている事は同じみたいだ。
ギルドマスター達が戻ってくる前に、俺は大急ぎで留守番組でスライムトランポリンに参加する子達を呼びに、一旦お城へ走って行った。
ニニは参加したがったんだけど、大事をとって留守番していてもらい、他には寒がりの鱗チームとお空部隊、それからモモンガのアヴィとハリネズミのエリーが留守番組だ。
「じゃあ、あったかい部屋で留守番しててくれよな」
今はスイッチオンにしてあるコタツに潜り込んだニニを撫でてやり、鱗チームとお空部隊も順番におにぎりにしてから大急ぎで庭へ出て行く。
猫族軍団は寒いから留守番しているのかと思えば、スライムトランポリンならやりたいと、大はしゃぎで駆け出して行ったよ。
なんだかんだで、あいつらもスライムトランポリンは気に入ってるみたいだ。
「お待たせしました〜〜!」
従魔達を引き連れて俺が登場すると、何故か拍手が起こった。
「ええと、じゃあ一つずつはレインボーとメタルの巨大トランポリンになってもらって、それ以外の子達は大きさいろいろでお願い出来るか」
「はあい! じゃあ作りま〜〜す!」
集まったスライム達にそう話しかけると、めっちゃ張り切った声で一斉に返事をした後、目の前にレインボーとメタルスライム達が一気に集まり、以前よりも巨大なスライムトランポリンがドドーンと登場した。
「ええ、これって何匹合体だ?」
「さて何匹でしょう〜〜〜?」
「さて何匹でしょ〜〜〜?」
プルプルと震えたスライムトランポリン達が、めっちゃ楽しそうにそう言うのを聞いて思わず吹き出した。
「あはは、成る程遊びたかったのか。そうだよな。誰が参加するかで揉めると困るものな」
笑って目の前にそびえる巨大なスライムトランポリンを見てまた吹き出す。
「なあ、踏み台って倉庫にありましたっけ?」
ギルドマスター達を振り返りながらそう尋ねたが、返事が無い。
三人はもうこれ以上ないくらいに目を見開いて揃ってポカンと口を開けたまま固まっていたよ。
「ご主人、これで良いかな?」
その時、アクアの声が聞こえて驚いて振り返ると、目の前にいたレインボースライムトランポリンの壁面がモニョモニョと動いた後、何と階段が出現したのだ。
「ええ、これもお前らがやっているのか?」
驚いてそう尋ねると、また一瞬だけぷるんと動いたスライムトランポリン。俺には分かるぞ。今、ドヤ顔になったな。
「そうだよ〜〜! ご主人のお部屋にある和室の階段を真似てみました〜〜〜!」
「いかがでしょうか〜〜〜!」
「段差の変更も可能で〜〜す!」
そう言って、またモニョモニョと動いた後、先ほどよりも少し段差の小さめになった階段が現れた。これなら子供でも余裕で登れるだろう。
「あはは、お前ら本当に最高だよ。ありがとうな。じゃあ早速上がらせてもらうよ」
笑った俺が階段を駆け上がって行くと、待ち構えていた従魔達が一斉に飛び跳ねてスライムトランポリンへ飛び込んで行った。
「ご主人を〜〜〜!」
「楽しませま〜〜〜す!」
アクアの号令と共に、大きく跳ね上がる俺の体。そして一斉に飛び跳ねる従魔達。
「うっひゃあ〜〜〜! 寒いけど気持ち良いぞ〜〜!」
跳ね上がるたびに、大型犬サイズになった従魔達が一斉に体当たりをしてきて、その度に吹っ飛ばされて空中で向きを変える俺。運動神経抜群の従魔達は自分で動きをコントロールしているみたいだけど、俺にはそんな高等技術は無い。
って事で、なすがまま。右へ左へ吹っ飛ばされつつ、従魔達と一緒に歓声を上げて笑いながら上下していた。
「ああ、ずるい! 俺もする〜〜〜!」
大声で宣言したアーケル君が飛び込んで来て、その直後にオリゴー君とカルン君も飛び込んで来る。リナさんとアルデアさんも、歓声を上げながら飛び込んで来たよ。
「皆さんもどうぞ〜〜〜!」
笑いながら俺がそう言うと、歓声を上げたギルドマスター三人も一斉に階段を駆け上がって飛び込んで来た。
「よし、じゃあ俺は退場するから、皆さんを歓迎して差し上げてくれよな!」
そう言うと跳ね上がるのが止まった。個別の対応も出来るって、本当に優秀過ぎだよな。
笑いながら横に転がって、何とかスライムトランポリンの横に作られた階段へ降りる。
ハスフェル達はメタルスライムのトランポリンへ自分の従魔達と一緒に飛び込んで行ったし、ランドルさんも同じく従魔達を引き連れてハスフェル達に続いて飛び込んで行った。
「じゃあ、俺はこっちでのんびりと楽しませてもらうとするか」
笑って、やや小さめの三匹セットのミニサイズスライムトランポリンへ飛び込んで行ったよ。
うん、これくらいの大きさで跳ねて遊ぶのが、一番純粋にトランポリンを楽しめるみたいだね。