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今日の予定ととある提案

『おおい、もしかしてまだ寝てるのか〜〜?』

『俺達、もう起きてるんだけどなあ』

『そろそろ起きて欲しいんだけどなあ〜〜』

 その時、ハスフェルとギイの笑った声が念話で届いて、ラパンとコニーに埋もれていた俺は慌てて起き上がった。

『おはよう。ちょっと従魔達と戯れてたよ。準備したらリビングへ行くからちょっとだけ待っててください!』

 笑った二人の気配が途切れるのを感じて、俺は小さく深呼吸をしてからベッドから降りて顔を洗いに水場へ向かった。

「うああ、水が冷たい〜〜〜!」

 氷みたいな水でささっと顔を洗い、さっぱり目が覚めたところで跳ね飛んできたサクラに綺麗にしてもらってから水の中へ放り込んでやる。

 次々に跳ね飛んでくるスライム達を順番に受け止めては放り込み続け、最後のゼータを放り込んでから急いでベッドへ戻った。

 お空部隊とマックスを先頭に狼達も行ったので、彼らは朝から水浴びタイムらしい。

「この寒いのに、やっぱり水浴び好きなんだなあ」

 苦笑いしつつ手早く身支度を整える。今日も街へ出かける予定だから防具も一通り身につけておく。

「サクラ、食事に行くよ」

 豪快に噴き出すスライム噴水で遊んでいるところへ声を掛ける。

「はあい、行きま〜す!」

 元気な声が聞こえて、水槽の中からサクラが飛び出してきて俺の胸元に飛び込んできた。

「遊んでいるのに悪いな」

 笑っておにぎりにしてやってから鞄の中へ入ってもらい、他の子達は部屋に置いたままでリビングへ向かう。

「おはよう。今朝も寒いな。ああ、悪い悪い。お待たせ!」

 リビングへ行くともう全員揃っていて、俺は慌てて机の上にサンドイッチやコーヒーのピッチャーを並べた。

「ああ、構わないからゆっくりしてくれていいぞ」

 苦笑いしたハスフェルにそう言われて、俺も苦笑いしつつ頷いたのだった。



 シャムエル様用にはいつものタマゴサンドを一切れと、自分用のタマゴサンドと野菜サンドを取り、少し考えて鶏ハムとレタスのサンドイッチも取っておく。

 それから今朝はホットオーレが飲みたくなったので、片手鍋にたっぷりのミルクを注ぐ。

「ええと、ホットオーレ用のミルクを温めるけど、欲しい人いますか〜?」

 ミルク瓶を見せながらそう尋ねる。

「はい、お願いします!」

 俺の呼びかけにリナさんとアーケル君、それからランドルさんがカップを片手に手を挙げている。

「じゃあ、俺の分を入れて四人分だなっと」

 もうちょいミルクを足してから、取り出して片手鍋を置いたコンロに火をつける。

「じゃあ、今日の予定は、街へ行ったらどこかのギルドへ顔を出して、ギルドマスター達を岩豚の焼肉パーティーに揃って招待するから、そっちの予定を教えてくれって話をしておけばいいな」

 少しミルクが温まってきた片手鍋をゆすりながら、少し考えてハスフェル達を振り返る。

「そうだな。どこかのギルドマスターに知らせておけば、まあ確実にその日のうちには全員に連絡がいくだろうからな」

「どれくらいで返事が来るか、ちょっと楽しみだな」

 笑ったギイの呟きに、俺も同じ事を思っていたので思わず吹き出し皆で大笑いになった。

 沸いたミルクをそれぞれのカップに注いでやり、まずは食事をする。



「それと、俺はそろそろ別注している武器や防具の様子を一度聞いておきたいなあ。あれって防具は、仕上げる前に試着とかってするのか?」

 野菜サンドを齧りつつ、ふと思いついてちょっと考える。

 防具を丸ごと別注するのは初めてなので、どういう感じで仕上がるのかも全くわからない。

 そもそもあのレアな素材がどんなふうに防具になるんだろう? 素材の形をそのまま使うって事は無いんだろうから、出来上がった防具を見て、何を使った防具なのかとか分かるものなのかね?

 密かに首を傾げつつ、まあこれは出来上がりを見てのお楽しみ! って事にしておく。

「ああ、もちろん試着は必要だぞ。それならドワーフギルドへ行って様子を聞くのが一番早いだろうな。依頼に関しては、商人ギルドを通じてするのが確実だが、職人達を束ねて管理しているのはドワーフギルドだから」

「ええと、ドワーフじゃあない職人さんも、ドワーフギルドに所属するのか?」

 その辺りの事は、いまいちよく分かっていないので、素直に質問する。

「ああ、名目上ドワーフギルドと呼んでいるが、あそこは職人ギルドを兼ねているからな。基本的に職人なら誰でもドワーフギルドに所属していると思っていいぞ」

「屋台や店舗を持っている料理人や理髪師や大工などは、ドワーフギルドだけじゃあなくて商人ギルドにも所属しているな」

「冒険者の中にも、商人ギルドにも所属して、移動のついでに行商をやってるやつなんかもたまにいるなあ」

「ああ、確かにたまにいますね。薬師を兼ねているやつなんかもいたりしますよ」

 その辺りの事情には詳しいらしいランドルさんも、ハスフェル達の説明を聞いて補足してくれる。

「へえ、成る程ねえ。だけど俺にはそんな技術も知識も無いなあ」

 俺にも何か出来ないかなってちょっと考えたけど、残念ながらそんな知識も技術も俺には無かったよ。会社員時代に習得したパソコンの知識も運転技術も、ここでは全く役に立たないしね。

「スライムトランポリンなら、充分売り物になると思いますけどねえ」

 笑ったランドルさんの何気ない言葉に、全員の手が止まる。

「なあ、この祭りの最後辺りで、どこかに場所を借りてスライムトランポリンの出し物、やってみてもいいかもな!」

「良いとおもいます! スライム達なら喜んでお貸ししますよ!」

 目を輝かせたアーケル君の提案に、スライムトランポリンを知らないオリゴー君とカルン君以外の全員の手が挙がる。

「協力しま〜〜す!」

 見事にハモったその声に、俺は堪える間も無く吹き出したのだった。

 アーケル君、君は自分がスライムトランポリンに乗りたいだけだろう!

 でも、俺もやりたいからこれはヴァイトンさんに提案してみるかな。って事で、今日の予定は決まったみたいだ。

 小さく笑って、俺は残っていたホットオーレを飲み干したのだった。

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