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報告〜〜!

「おはよう。待たせて悪かったな。じゃあとりあえず色々出すから、好きに食ってくれよな」

 駆け込んだリビングで、苦笑いしながらそう言って買い置きのサンドイッチやおにぎりを適当に出していく。

 シャムエル様も当然のように待っているので、いつものタマゴサンドと鶏ハムと野菜のサンドイッチを二切れずつ取り、少し考えてカツサンドも二切れ取っておいた。

 それからマイカップにコーヒーをたっぷりと注いでから、まずはサクラ達が用意してくれたいつもの簡易祭壇にサンドイッチとコーヒーを並べて手を合わせる。

「おはようございます。ええと一つ報告です。ニニとカッツェの間に、なんと子供が出来ました。春までには産まれるらしいです。きっとめっちゃめちゃかわいい子猫が生まれると思いますので、どうぞ楽しみにしていてください。俺もすごく楽しみです。あ、子猫が生まれたらいつでもお気軽にもふりに来てくれて良いですよ。まあ、そんなに気軽に来ても良いのかどうかは俺には分からないけどね」

 手を合わせて目を閉じながら、ごく小さな声でそう報告する。

 しばらくしてから目を開けて顔を上げると、いつもの収めの手が俺の頭を何度も撫でた後に一瞬でニニのところへ移動して、ニニの頭や顎の周り、それから背中からお腹の辺りも何度も撫でてくれた。

 ニニは見えているのかどうかは分からないけれども、撫でられている間中ずっと嬉しそうにご機嫌で喉を鳴らしていたよ。

 最後にもう一度ニニの頭を撫でてから、サンドイッチとコーヒーをいつものように撫でた後に持ち上げる振りをしてから手を振って消えていった。

「動物を撫でた後は、手を洗いましょうってな。まあ、俺もそんなの全然気にしていないけどさ」

 小さく笑ってサンドイッチのお皿とマイカップを持って席に戻る。

「ああ、待っていてくれたのか。悪い」

 当たり前のように食べずに待ってくれていた仲間達にお礼を言って、改めて手を合わせる。

「いただきます」

「いただきます」

 俺の呟きを追いかけるように、皆もこれも当たり前のようにそう言ってくれる。何だか嬉しくなって、お礼を言ったら不思議そうにされたよ。



 予想通りにシャムエル様に半分ずつサンドイッチを取られたけど、まあこれだけあれば、俺の朝食には充分だよ。

「それで、お前さんは朝から何をそんなにバタバタしていたんだ? また従魔達と戯れていたのか?」

 揶揄うようなハスフェルの問いに、丁度コーヒーを飲んでいた俺は慌てて飲み込んでカップを置いた。

「そうそう、大ニュースがあるんだよ!」

「大ニュース? おいおい、一体どうしたんだ?」

 真顔になるハスフェルとギイに俺はにっこりと笑って振り返ってニニを呼んだ。

 心得ているニニが、部屋の隅に座っていたんだけど、すぐに俺の横へ来てくっつくみたいにして座る。そして当然のようにカッツェも一緒に来てニニにくっつくみたいにして座った。

「実はさあ……」

 ああ、駄目だ。顔がニヤける……。

「おいおい、焦らさずに教えろよ。まあその様子を見るに、悪い知らせではないみたいだけどなあ」

 俺が笑っているのを見て、一瞬真顔になったハスフェル達も警戒を解いたみたいだ。



「実は、ニニに子供が出来たらしいです! しかも、春までには産まれるんだってさ」



 笑ってニニを撫でながらドヤ顔でそう報告すると、ハスフェルとギイの驚く声と同時に、リナさんの甲高い歓声が部屋に響き渡った。

「きゃあ〜〜〜〜! ニニちゃんに子供が生まれるんですか! きゃぁ〜〜〜! リンクスの子猫って、とんでもなく可愛いんですよ。きゃあ〜〜〜〜〜! しかも長毛系のニニちゃんの子供! ああ、考えただけで気が遠くなりそう。ケンさん、覚悟しておいた方がいいですよ。可愛さのあまり気絶しないでくださいね。私は、以前のルルをお世話していた時、色々と教えてくれた魔獣使いの先輩といつもこう言っていたんです。リンクスの子供は可愛すぎて息が止まるレベルの殺人毛玉だって」

 何故かこちらもドヤ顔のリナさんの言葉に、あちこちから吹き出す音が聞こえる。

 だけど、なんとなく殺人毛玉って表現に納得したよ。

 まあ、俺自身は産まれたばかりの子猫の世話はした事が無い。以前のニニは俺の会社の事務所で拾った時には子猫だったけど、そこまで小さかったわけじゃない。離乳もしていたみたいで、メインでお世話をしていた彼女は、高カロリーだからと言って、ニニに子猫用のミルクと缶詰を混ぜて食べさせていた記憶がある。

 あの頃でも相当可愛かったんだから、あれよりも確実に大きいリンクスの子供が殺人的に可愛いって表現は確かに間違っていないと思うな。

 第一、ニニとカッツェの遺伝子を持った子供なんて、そんなの何処を取っても可愛いに決まってるよ。

 ああ駄目だ。もう子猫の事を考えただけで頬が緩むって……。

 とりあえず俺がすぐに来る未来を予想して笑み崩れながらニニに抱きついてもふもふを堪能している横で、リナさんが何故か、どれだけリンクスの子供が可愛いかを皆に延々と力説していたのだった。

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