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終演とイケメンさんの衝撃の告白?

「俺だけ実名かよ!」

 舞台に向かって思わず真顔で突っ込んだ俺の言葉に、ハスフェル達が吹き出して大笑いしている。

 ちなみに、金銀コンビはフェルとキースって名前になってたし。シリウスはリース、デネブはネブラって名前になってました。ううん、命名の無理矢理感がハンパないよ。

 そしてまた舞台装置が変わってにぎやかな表彰式の踊りになる。

 しかしその裏側、というか舞台の端っこの積み上がった樽の陰でオーバーアクションで怒り狂っている馬鹿二人と悪徳商人。

 そして祝勝会の会場へと踊り終えた一同が移動しようとした時、あの馬鹿二人がナイフを手に俺に襲い掛かる。

 モブの人達から悲鳴が上がり、一瞬で舞台が暗転して何も見えなくなる。

「ええ、まさか俺、刺された?」

 驚く俺の呟きに答えてくれる人はいない。

「あ、大丈夫だったみたいだ。よかった」

 だけどすぐに舞台が明るくなった時に見えた光景は、ナックス君をはじめとした従魔達に思いっきりのし掛かられて押し倒されている馬鹿二人の姿があったのだった。もちろん爽やかイケメンのお兄さんは無事だったよ。よかったよかった。

 それから、それを見て慌てて逃げようとする悪徳商人も金銀コンビがあっという間に確保してしまい、悪徳商人の悪事もギルドマスター達の働きにより露見して、めでたしめでたし。こうして舞台は大円団となるのだった。



 最後のフィナーレでは全員が順番に一人ずつ出て来て、にぎやかな音楽に合わせてこれまた見事なソロのダンスを披露してくれた。皆大喜びで手拍子が沸き起こっていた。もちろん見ている俺達も時折口笛なんか吹いて冷やかしつつ、手が痛くなるくらいにずっと笑いながら手拍子を叩いていたよ。

 もう、シャムエル様はダンスが始まる度に大興奮状態で、ものすごい勢いで舞台の彼らが踊っているダンスを完コピして一緒になって踊っていたよ。

 まあ、相手はプロのダンサーだもんな。そりゃあシャムエル様は喜ぶだろうさ。

 それにどうやらこの舞台はシャムエル様的にもすごく良い刺激になったみたいで、踏んでいるステップがいつもよりも更に一層細かく、そして素早くなっていたよ。

 うん、もう何がどうなって踊っているのか、俺なんかにはさっぱり分からないくらいの高みヘいってしまったみたいだよ。

 最後のフィナーレには、収めの手も現れて一緒になって楽しそうに拍手をしていたから、どうやらシルヴァ達も舞台を楽しんでくれたみたいだったよ。



 そして静かになって舞台に幕が降りてから、最後にコーヒーとデザートが運ばれて来たんだけど、何とその際に主な役者さん達が順番にテーブルを回って挨拶をしてくれたんだよ。

 見ていると、俺役のイケメンさんは女性陣から絶大な人気を誇っているようで、各テーブルでは主に女性客達から黄色い歓声を浴びてサインや握手を求められていた。

 以前いた世界なら、こんなふうに役者さんなんかに間近で会えたら即スマホで記念撮影お願いします! ってなるんだろうけど、さすがにこの世界には携帯もスマホもカメラも無い。なので、アナログにサインをもらって握手をするのがお約束なわけだ。

 そんな事を考えつつ、目の前に置かれたチョコレートケーキに山盛りの生クリームとオレンジが添えられたボリュームたっぷりなデザートを、黙ってシャムエル様の目の前まで押し出したよ。

「いいの? わあい、ありがとう! では、いっただっきま〜〜〜〜〜〜す!」

 嬉々として頭から突っ込んでいき、生クリームまみれになりつつもものすごい勢いでチョコレートケーキを爆食するシャムエル様の尻尾をもふりつつ、苦い濃いめのコーヒーをゆっくりと味わって飲んだ俺だったよ。

 はあ、食後のコーヒー美味〜〜〜。



 そんな感じでコーヒーを飲みつつのんびりと寛いでいると、不意に目の前にイケメンさんが現れて深々と一礼してから俺を覗き込んだ。

 そして、満面の笑みで俺に向かって右手を差し出しつつこう言ったんだよ。

「本物の、早駆け祭りの英雄のケンさんですよね。僕、実は貴方の大ファンなんです。どうか握手をしていただけませんか!」ってさ!

 そして周囲に響き渡る女性陣の黄色い歓声……。

 ええ? まさかの立場逆転。素人の俺に、どう対応しろって言うんですか?

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