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舞台を観ていて気付いた衝撃の事実?

「おお、また場面が変わったぞ」

「この舞台の転換を見ているだけでも面白いな」

 好奇心旺盛なギイは、この場面転換のカラクリが気に入ったみたいだ。まあ気持ちは分かる。これは確かに面白いよ。



 クーヘン改めクッキー君の店の修繕が終わったところで。また場面が大きく転換して、次に用意されたのはハンプールの街並みの背景と、大きな広場に集まっている何人ものモブキャラ達。

 その広場には大きな看板が設置されていて、そこには見覚えのある早駆け祭りの賭け券のオッズが張り出されていたのだ。成る程、早駆け祭りのオッズ発表の日のシーンってわけか。

「あはは、あいつら五番と六番人気に落ちているじゃあないか!」

「最高だな。そりゃあ魔獣使いの連れた従魔に馬如きが勝てるわけがないじゃあないか!」

 あの馬鹿二人が一番人気では無くなったオッズの書かれた看板を見て、大喜びで手を叩いて笑っているモブの人達。

 そして、あの馬鹿達のファンらしき人達が納得出来ないと騒ぎ出し、あちこちで口論になって喧嘩が始まる。

 そこへのこのこと、何も知らない俺達一行が従魔達を連れて登場。喧嘩をしていた人達が俺達に気付いてさらに大騒ぎを始め、慌てて逃げ回る俺達。

 音楽はまた賑やかになり、歌って踊りながら喧嘩をしては殴り殴られ吹っ飛ぶ街の人達。俺達はそれを見て笑いながらも一緒になって、歌って踊りつつ右に左に逃げ回っていたよ。

 なかなかに器用な人達だよな。歌って踊りつつ喧嘩するってさ。いや違うって、歌って踊っているのが大乱闘の喧嘩を表現しているんだけどさ。

 しかもそれを見て大喜びで喧嘩に乱入する人達が次々に増えていき、最後には警備の人達が出動して更なる大騒ぎにまでなってしまい、強制的に解散させられてしまったのだった。



 そしてまた場面は変わり、また冒険者ギルドになる。

 カウンターで頭を抱えているのは、小柄だからもしかしてギルドマスターのエルさんかな?

「ううん、早駆け祭りの参加者を守るために、彼らを祭りまでホテルに缶詰めにするつもりだったのに……肉食の従魔達には定期的な狩りが必要だったとは!」

「そりゃあそうだ。生きているんだから食事は必要だろうが」

 隣でもう一人、腕を組んで困っているのは、何となく商人ギルドのアルバンさんっぽい。

 そして、苦笑いしつつ知らん顔をしているイケメンな俺を先頭にしたハスフェル役の人達やマックス達従魔役の人達。

「じゃあ俺達は、祭りが始まるまで野外へ出ていつも通りに狩りをしていますよ。それでいいでしょう?」

 結局俺の提案がそのまま通り、俺達は街から全員揃って出ていく。

 何故かクーヘンじゃあなくてクッキー君も一緒だったけど、まあその辺りは気にしなくていいんだろう。だけど、店の準備は良いのか? とこっそりツッコミを入れてみたよ。

 そこからは俺達は郊外で楽しく狩りと言う名のダンスをしつつ、これまた歌って踊っていたよ。

 そして街では、あの馬鹿達が酒場でオッズが下がった事に怒り狂っていた。そしてここでもやっぱり歌って踊っている。最後に覚えていろと、空の酒瓶を手に怒りを新たにする馬鹿二人。

 そしていかにもな悪役っぽい商人風の男性が、それを見て大きくうんうんと頷いている。あれってもしかして……。

 どうやらその人物は、あの馬鹿二人のスポンサーで、裏で偽物のジェムの取引を仕切っていた人物らしい。

 閉店後の酒場で偽物のジェムの山を前にして、祭りでまたこれが売れると行ってほくそ笑む悪徳商人。当然、あの馬鹿二人も一緒になって笑っている。



「ええ、これって創作のはずなのにめっちゃ現実に沿っていないか? これを書いたシナリオライターさん、才能ありすぎだろう」

 苦笑いしつつそう呟いた直後に、にんまりと笑った商人ギルドのアルバンさんと冒険者ギルドのエルさんの顔が浮かんだ。

 ま、まさかとは思うけど……この舞台そのものが、早駆け祭りの広告宣伝を兼ねた彼らの仕込みって事は……。

 ちょうど鶏肉をフォークに突き刺そうとしたところで衝撃の可能性に思い至った俺は、突き刺し損ねて勢い余って食べようとしていた鶏肉の塊を吹っ飛ばしてしまう。

「わあい、これも〜〜らい!」

 しかし、いち早くそれに気付いたシャムエル様が見事に鶏肉を空中キャッチして確保すると、嬉々として齧り始めたのにも気付かないくらいに放心状態になっていたのだった。

 あんのギルドマスター達! やってくれたな〜〜〜〜〜〜!

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