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ラッセルラッセル! またの名を雪中行軍

「うう、やっぱり外は寒いなあ」

 しっかりと着込んで冬用のマントを羽織っていても、底冷えのするこの寒さを防ぎ切れるものではない。

 見る限り夜の間にまた相当の雪が降ったらしく、とんでもなく広い敷地内は見渡す限り一面の銀世界になっている。

 ううん、白過ぎて目が痛いぞ。

 しかもアッカー城壁までは私有地な為に雪かきもされていないので、城門までの道は完全に降り積もった雪に埋もれて見えなくなってしまっている。

「うわあ、なんだかすごい事になってるけど、このまま行っても大丈夫か?」

 マックスの背に飛び乗り、視界が広くなっても変わらない真っ白な雪景色を見て、俺は苦笑いしながらマックスを覗き込んだ。

「もちろんですよ。では参りましょう!」

 尻尾扇風機の大興奮状態で答えたマックスが、そう言って一声大きく吠えて走り出した。するとそれに続くかのように巨大化したセーブルが走りながら右横に進み出て、マックスよりも体半分くらい前の位置について走り出した。

 そしてセーブルを挟んだ反対側にはシリウスが並び、マックスと同じくらいの位置について走り始めた。

 マックスの左側には、同じく体半分ぐらい下がった位置に巨大化した雪豹のヤミーが、シリウスの右側にはヤミーと同じ位置でこれも巨大化したティグが位置について走り出した。

「おお、見事な陣形のラッセル走破だな。そっか、雪の得意な子達がいれば他の雪が苦手な子達もこれだけ雪が積もってても余裕で走れるわけだ」

 何しろ、この五匹のラッセル力は半端ない。

 完全に三角形の突撃の陣形になった五匹は、巨大化したセーブルを先頭にすごい勢いで雪を蹴散らしているのだ。

 しかも後ろを振り返って確認すると、狼や狐達が左右に分かれて真ん中の猫族軍団達を守るみたいにして走っている。お陰でニニをはじめとした猫族軍団は、ほとんど雪に当たる事なく易々と進んでいるのだ。まあ寒いのは仕方がないだろうけど、あの雪を自力でラッセルしなくても済むのはニニ達にしてみればかなり嬉しいだろう。

 ちなみに草食チームとスライム達は定位置の背中の上と鞄の中だ。寒さに弱いイグアナコンビは、小さくなって鞄の中に収まっているし、お空部隊は上空をのんびりと旋回しながら飛んでついて来ている。

 まあ、お空部隊は街の中へ行ったらそれぞれの主人の肩の上へ戻るんだけどな。



 周りを見る限りベリーとフランマの揺らぎが見えないので、もしかしたら何処かへ遊びに行っているのかもしれない。

 そんな事をのんびりと考えながら、ラッセル状態のマックスの背の上で俺は寒さに震えていた。

 だって、跳ね飛んできた雪の塊がガッサガッサと俺の足にぶつかるんだよ。そのせいで、靴周りだけじゃあなくて太ももの辺りまで、ちょっと油断すると雪が固まってくっついてくるんだよ。

 もう冷たいなんてもんじゃあない。痛い。

 そのたびにスライム達に頼んで、雪を落として水気も取ってもらっているような状態だ。

 リナさんはリンクスのルルちゃんに乗っているので真ん中の安全地帯にいるけれど、それ以外のアルデアさんやアーケル君達、ランドルさんもスライムに頼んで足や体に付いた雪を取ってもらっているみたいだ。

 ハスフェルの説明によると、水分を吸収するだけなら若干生乾きにはなるが普通のスライム達でも出来るらしい。

 ううん、これってスライム達がいなかったらマジで凍傷とかになりそうなレベルの気がする。普通に出かけるだけで凍傷の危険があるって、怖過ぎだろう。雪国の生活舐めてました。ごめんなさい。

 アッカー城壁の城門が見えた時には割と本気で安堵のため息を吐いたよ。



 アッカー城壁を越えれば貴族達の別荘地になっているから、ここからはもう道は綺麗に雪かきされていて普通に進む事が出来るから安全だ。

 だけどその前に、アッカー城壁を出たところで一旦止まって従魔達も全員スライム達に綺麗にしてもらったよ。

 だって、せっかくブラッシングして綺麗になったのに、街へ出掛けるのにびしょ濡れとか可哀想じゃないか。

 街の人達にも、綺麗になった従魔達を見てもらいたいからな。

 て事で、一旦止まって身支度を整え直した俺達は、ここからはゆっくりといつものように列になって街へ向かって進んで行った。

 時折、屋敷の方から子供の歓声が聞こえたり、二階の窓から手を振ってくれる子がいたりしたよ。

 まあ、別に減るもんでなし、笑った俺達も手を振り返したりしながらのんびりと進んでいったのだった。

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