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食事と午後からの予定

「はあ、たまご粥めっちゃ美味え〜〜」

 二杯目のたまご粥を食べながら思わずそう呟く。

 しっかりと塩味の効いたたまご粥は、若干二日酔いの腹に染み入るくらいに美味しい。

 我ながらいい仕事したなと満足しながらまた一口食べる。食べる、食べる。

 たまご粥のお椀が空になったところで、今度は具沢山雑炊をいただく。

「はあ、これまためっちゃ美味え」

 やや小さめの鶏肉とキノコがいい仕事をしている。コクが出て全体に野菜の甘さが強調されている感じだ。

「はあ、美味しいしか出てこないよ……」

 三杯目の具沢山雑炊を平らげているアーケル君が、お椀を持ったまましみじみとそんな事を言っている。

「分かる。確かにこれは美味しいしか出てこないよな」

 こちらもお椀を持ったランドルさんが、うんうんと頷きながらそう言って笑っている。

「この具がたくさん入った雑炊がいい。意外に腹にたまるし、この甘めの味付けも良いなあ。いくらでも食べられるよ」

 そう言って笑っているハスフェルの食べている具沢山雑炊は、既に五杯目に突入しているし、その隣で笑顔で頷いて黙々と食べているギイも、多分五杯目。まあ、たくさん作ったからしっかり食ってくれ。

 リナさんは、黙々と三杯目のたまご粥を食べているし、アルデアさんとオリゴー君とカルン君は具沢山雑炊とたまご粥を交互に食べているみたいだ。ええと、あれって何杯目だ?

 でもまあ、作ったものを美味しいって言って食べてもらえるのは単純に嬉しいよ。

 最近外食続きだったから、こんなふうに目の前で食べてくれるのはやっぱり嬉しいって実感したよ。

「無くなる前に、こっちも食べておかないとな」

 笑って、かなり減った大鍋から具沢山雑炊を自分のお椀にたっぷりとよそって席に戻る。

「そっちももう少しください!」

 ちなみに俺がお代わりするたびにシャムエル様にもお代わりを請求されているので、実質俺のお代わりはよそった分の半分になってる。ううん、先にもうちょい入れて来よう。

 半分に減ったお椀の中を見て苦笑いして立ち上がり、そのまま追加の具沢山雑炊をよそる。おお、大きな肉発見。あ……シャムエル様がめっちゃ見てる……。

 神様から期待を込めたキラキラの目で見つめられてしまえば嫌とは言えないよな。諦めのため息とともに、大きな鶏肉をそのままシャムエル様のお椀に落としてやる。

 まあ、このお祭りはシャムエル様の誕生日を祝う為のものなんだから、多少のわがままは言ってもいいよ。

 あれ……? 普段からかなり好き勝手している気がするんだけど、俺の気のせいかな?



 興奮していつもの倍サイズになっている尻尾をこっそりもふりつつ、俺もやや小さめの鶏肉を口に入れたのだった。

 うん、これはハイランドチキンだな。

 グラスランドチキンよりも、ハイランドチキンの方が味が濃厚な気がする。

「考えたら、滅多に食べられないって言われているハイランドチキンやグラスランドチキン、それに岩豚なんかが、解体費用だけで大量に手に入るって、有り難い話だよなあ。従魔達にも感謝だな」

 振り返ると、リビングの隅で巨大猫団子になって寛いでいる従魔達がいて、俺の視線に気付いたニニが声のないニャーをしてくれた。

 ああ、可愛い。可愛過ぎてどうにかなりそうだよ。

 笑み崩れながら残りの雑炊をガッツリ平らげた。



「はあ、ご馳走様でした。お腹一杯だよ」

 最後にもう少しだけ、と思ってたまご粥をもらったんだけど、ちょっと食べ過ぎた気がする……。

 でもまあ、それほどお腹にたまらないからしばらくしたら復活するだろう。

 って事で、のんびりとお湯を沸かして久々に緑茶を入れてやった。

 なんとなくお茶を飲みながら皆でまったりしていると、草原エルフ三兄弟が何やら顔を寄せて相談を始めた。

「ええと、じゃあ一休みしたら雪像を見に行ってみるか。投票用紙もかなり溜まってるもんなあ。祭り期間中に忘れずに投票しないと勿体無いからさ」

 俺の言葉にアーケル君が笑顔で振り返る。

「そうですね。それじゃあまずは雪像を見に行って一旦投票して、その後はまた買い物ですかねえ。何か見たいものとかありますか?」

 改めて聞かれてちょっと考える。

「ううん、従魔達用のブラシも一通り手に入れたし、武器も防具も別注済だしなあ。考えてみたら、俺って自分の為の物欲って本当に無いんだよなあ」

 苦笑いしながらそう答えると、何故か皆に呆れられた。

「じゃあ、のんびりといろんな店を見て、夕食は、そんなケンさんでもきっと楽しんでもらえるであろう店へ行きましょうか」

 満面の笑みのアーケル君の言葉に、オリゴー君とカルン君も笑顔で頷いている。

 バイゼンを知り尽くしていると豪語する彼らの事だから、きっと俺なんかには予想もつかないところへ連れて行ってくれるのだろう。

「おう、期待してるよ。それじゃあ行くとするか」

 残りのお茶を飲み干して立ち上がった俺の言葉に、全員が笑顔で立ち上がってそれぞれの従魔達の所へ行く。

 俺も、マックスのところへ行って、収納してあった手綱と鞍をマックスに装着したのだった。

 さて、今日は何があるのかな?

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