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明日からの予定?

「いやあ、これは驚きました。素晴らしい。スライム達にこんな事が出来たなんて初めて知りましたよ!」

「本当ですよね。この鍋にこびりついたシチューの残りを洗うのはいつも大変なんですよ。それがこんなに綺麗になるなんてね。いやあ素晴らしい。本当にありがとうございます!」

 ピカピカになったお鍋やお皿を見たスタッフさん達は、それはそれは大感激してくれて何度も何度もお礼を言ってくれた。

 とはいっても、今回のは単にお皿やお鍋に付いている食べ残しのソースや焦げを取っただけで、いつもなら絶対に残さないような細かな傷の中に入ったシミやお鍋にかすかに残っている焦げの残りなどはそのままにしてある。

 なので、厳密にいえば本当に綺麗になっているわけじゃあないんだけどね。

「お役に立てたみたいで良かったです。こいつらも美味しい料理のおこぼれにあずかれて喜んでいますからね」

 そう言って笑って足元にいたアルファをそっと抱き上げて撫でてやる。

 集まって来たスタッフさん達も、俺に許可を取ってからスライム達を恐る恐る撫でて、皆、すっごく良い笑顔になっていたよ。

 そこから俺がいつも全員分の料理をまとめて作っているんだって話になり、それならと、料理のコツや大量の仕込みをする際に気をつける事などを教えてもらったりもした。

 まあレシピそのものは教えてはもらえなかったけど、俺には師匠のレシピ帳って強い味方があるからね。今なら、ちょっと自分には難しそうだと思って敬遠していた、手間のかかった煮込み料理やソースなんかも出来そうな気がする。

 よし、お祭り期間が終わったら、春までここの厨房で料理の特訓でもしてみようかな。



 笑顔で、台車を押して帰って行くスタッフさん達を見送り、俺はスライム達を連れてリビングへ戻った。

「そっか、スライム達を全員連れて行くから何かと思ったら、後片付けを手伝って来たのか」

 笑ったハスフェルが、跳ね飛んで戻って来た自分のスライム達を抱き上げて撫でている。

「だってさ。あんなご馳走の後片付けなんて、スライム達にしてみれば水に流してしまうなんて勿体無い! ってとこじゃないか。それでちょっとお節介かと思ったんだけど、後片付けを手伝ってきたんだ。まあ喜んでもらえたからよかったよ」

「あの食器を全部綺麗に洗うだけでも、相当大変だったろうからなあ」

 アーケル君も、スライム達を交互に撫でてやりながら苦笑いして頷いている。

「だよなあ。俺はスライム達がいつも片付けてくれるから洗い物の心配をしなくて良いけど、普通は料理をした後の後片付けって大変だもんなあ」

 バイト時代の定食屋とトンカツ屋のランチタイムの後の洗い物の山を思い出して、ちょっと遠い目になった俺だったよ。

 もう、スライム達無しの生活なんて考えられないよ俺。いやマジで。

「任せてね〜〜〜〜!」

「これからもいっぱいお手伝いするもんね〜〜〜〜!」

「なんでも言ってね!」

「いっぱいお手伝いしま〜〜〜〜す!」

「がんばりま〜〜す!」

 アクアの言葉に、俺の他のスライム達までが嬉しそうにそう言って足元でポンポンと飛び跳ね始める。

「おお、頼りにしているからこれからもよろしくな」

 そう言って笑って、膝の上へ跳ね飛んでくる子達を順番に撫でたり揉んだりしてやる。

「明日はどうするんだ? あちこちで買い物した時にもらった投票券が結構溜まっているから、一度投票を兼ねて雪像を見に行かないか?」

「ああ、良いですね。じゃあ明日は午前中はゆっくりして、昼食は屋台で食べて、午後から雪像見学と投票、あとはまた店を見て回りますか」

「良いんじゃあないか。前半の集計がそろそろ出ている頃だろうから、それを見るのも楽しいと思うぞ」

 ハスフェルは自分で取り出したウイスキーをストレートで飲みながらそう言って頷いている。

 苦笑いした俺は、グラスに完璧に透明な氷を作って落としてやった。

「お願いします!」

 即座に差し出されたギイのグラスにも氷を落としてやってから振り返ると、全員の手にグラスがあって差し出されていたのを見て吹き出した俺は悪くないと思う。



「自分達が作った雪像に少しでも投票されていたら嬉しいよな」

 自分にも氷を作ってちょっと薄めの水割りを作る。それをのんびりと飲みながら何気なく呟いた俺の言葉に、二杯目のウイスキーを飲んでいる草原エルフ三兄弟が、ものすごい勢いで頷いているよ。

「確かに、それはちょっと嬉しい!」

「どうする、もしも俺達のが上位に上がってたりしたら!」

「ええ、そんなの嬉しくて泣いちゃうかも〜〜!」

 そんな事を言ってゲラゲラと笑っている三人は、もう完全なる酔っ払いだ。

「じゃあ、どっちのチームが上位にいるか勝負しましょうよ!」

 突然のリナさんの言葉に一瞬静まり返った俺達だったけど、次の瞬間全員が立ち上がった。

「その勝負乗った!」

 って事で、ここから突然の投票券獲得の為の仁義なき買い物バトルが勃発する事になったのだった。

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