表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1169/2068

新曲生ハム食べたいダンス登場〜〜!

「うわあ、どれもめっちゃ美味しい。何だこれ、同じ料理とは思えないぞ」

 大皿に盛られた料理の数々がどんどんと運ばれてきて、食べても食べても減らないんだよ。

 俺達はもう夢中になって、あれが美味しい、これが美味しいと笑い合いながら、お酒を片手に料理の数々に舌鼓を打っていた。



 アーケル君が言っていた通りに、用意されたのはいわゆるパーティーメニューだったらしく、壁面に並べた大きめのテーブル一面には、乗り切らないくらいの大量の料理の数々がぎっしりと並べられている。

 予想通りに自分で好きに取り分けるスタイルだったみたいで、それぞれの料理にはトングやスプーンが用意されている。

 別のワゴンにどどんと用意された生ハムの原木には専門のスタッフさんがついて、お願いすれば止めるまでひたすら削り続けてくれる。ハスフェル達はそれこそ山盛りに生ハムを削ってもらってめっちゃ嬉しそうだ。

 並んでいる料理は、見かけはいかにもな感じの華やかな料理なのだけど、よく見るとガッツリ肉多し。野菜少なめ……。

 さすがはギルドマスター、ハスフェル達がどれだけ食べるのか知ってるんだろう。

 あっという間に一面クリアーするも追加の料理がこれまた次から次へと用意されて、もう少食の俺は途中でギブアップとまではいかなくても、ペースダウンしたくらいだ。

 そこからは、用意された料理をじっくりと味わいながら、また新しく栓を抜いてくれた別のワインを楽しんだよ。



 料理は特に珍しいものはなくて、俺が作った事のある豚の角煮やチキンカツレツなんかもあった。だけど、何と言うか全然違う。上手く言えないけど全てが違うんだよな。

 食べた瞬間の角煮のとろけ具合や、カツレツのサクサクさ加減。それから燻製肉の香りの良い事。

 さすがは高級ホテルのデリバリー。シンプルコンソメスープでさえもが、もううっとりするくらいに美味しいんだよ。

「はあ、何もしなくてもどんどん料理とお酒が出て来るって、本当に最高だな」

 原木で出された生ハムが最高に美味しかったので、スタッフさんにお願いしておかわりをまたたっぷり削ってもらう。

 以前ホテルハンプールで購入した生ハムの原木はもう食い尽くされて残っていないから、こっちでもまた買ってもいいな。これにあの飛び地のリンゴをスライスして乗っけたら最高だぞ。

 お皿に山盛りにもらった生ハムを、いつもの敷布の上に乗せて軽く手を合わせてから自分の席に座る。

 一応最初のお皿をお供えした時に、あっちの大皿から好きに取ってくださいとお願いしている。

 だけど何となく、自分の分だけは敷布の上へ並べて手を合わせるようにしている。



「そう言えばシャムエル様が来ないなあ」

 山盛りの生ハムをつまみつつ、赤ワインを美味しくいただきながら机を見回す。

 昼食の時に乱入してきたシャムエル様は、食事が終わるなりいなくなってしまったので、きっとまた神殿の祭壇の上に座ってお参りに来てくれる人達を眺めているのだろう。

 神様の務めとは言え、あんなにも食いしん坊のシャムエル様が夕食を食べずに我慢出来るのだろうか? 何だか心配になって、こっそり呼びかけてみることにする。

『おおい、シャムエル様〜〜今何かしていますか〜〜?』

 一応遠慮しながらトークルーム全開状態でシャムエル様を呼んでみる。

『はあい、どうしたの?』

『姿が見えないけど、また神殿ですか?』

『そうだよ。今、夕の祈りが終わったところ。そろそろ夕食……ああ! 自分達だけご馳走食べてずるい!』

 突然のシャムエル様の雄叫びに、ハスフェルが飲みかけていたワインを噴き出してアーサーさんが慌てて駆け寄っていた。

 そして当然のように次の瞬間、テーブルの俺の生ハムのお皿の横に現れるシャムエル様。

 山盛りの生ハムを見て、シャムエル様の目がキラッキラになる。



「な〜まっハム! な〜まっハム! 食っべたい! 食っべたい! な〜まっハム!」

 新曲生ハム食べたいを歌いながらタップダンスみたいに高速でステップを踏み始めるシャムエル様。そして当然のように横へすっ飛んできて、シャムエル様の即興ダンスを完コピで踊り始めるカリディア。

 踊りはどんどん白熱していき、もうシャムエル様の足は動きが速過ぎて残像になってて見えないくらいだ。

 最後は揃ってキメのポーズ。

「ほら、はやくはやく!」

 即座に取り出した大きめのお皿を俺の手にぐいぐいと押し付けてくる。

 地味に痛いから、それはやめてくれって。

「はいはい、分かったからちょっと落ち着け」

 笑って差し出されたお皿に、山盛りの生ハムを取り分けけてやる。

 そしてカリディアには、生ハムの横に添えられていた青リンゴのスライスを一塊渡してやる。

 ちょっと柔らかめの食感なんだけど、とにかく甘くて美味しい。しっかりと酸味もあるから生ハムとの相性は抜群だよ。

「赤ワインもください!」

 即座に差し出されたショットグラスに、何とかこぼさないように飲みかけていた赤ワインを入れてやる。

「ねえねえ、あの角煮とカツレツも欲しいです!」

「はいはい、あとはどれがいるんだ?」

 新しいお皿を手に立ち上がった俺を見て、シャムエル様が一瞬で俺の右肩に現れる。

「この角煮と、あっちのカツレツと、それからこのゼリーみたいなの! ああ、デザートが出た〜!」

 言われるままに新しいお皿に料理を取り分けていると、奥から大きなワゴンを押したスタッフさんが出て来た。

 そのワゴンに乗せられていたのは、いわゆるデザート。一口サイズの華やかなケーキやタルト、それから小さめのグラスに入っているのはプリンかゼリーっぽい。他にもクラッカーの上にジャムと果物を混ぜて乗せたのや、一口サイズのチョコレートも見える。

 もう大興奮状態のシャムエル様に言われるがまま、新しいお皿にデザートも山盛りに取っていく。

 まあ、当然アーケル君達の突撃を受けて、途中からは俺もなんだか楽しくなってきて一緒になって争奪戦に参加していたよ。



 席に戻った後は残りの生ハムを食べながら、大興奮状態でデザートから食べ始めたシャムエル様の尻尾をこっそりともふって楽しんだのだった。

 やっぱり食事はワイワイ楽しみながら食べるのがいいよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ