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もふもふ祭り開催!

「ああもう、なんでお前らは他の子をブラシしてると邪魔するんだよ!」

 笑ってそう叫んだ俺は、右脇に背後から無理矢理顔を突っ込んでくるオーロラグリーンタイガーのティグと、その横で俺の腕に頭を擦り付けているオーロラブラウンカラカルのマロンの大きな頭を押さえて交互に撫で回してやった。



 以前ブラシをした時もそうだったんだけど、とにかく自分以外の誰かがブラシしてもらっていると我慢が出来ないらしく、例えば今はスノーレオパードのヤミーにブラシをしているんだけど、ティグとマロンが二匹がかりでそれを邪魔するべく俺の腕を取ったり背中に頭突きをしたり、挙句にヤミーと俺の間へ頭を突っ込んで邪魔をしに来るのだ。

 ソレイユとフォールは、小さいままだけどさっきからずっと俺の足の間を二匹揃って八の字を描くみたいにしてずっとグルグルと回り続けている。合間に俺の足に頭突きをかましてくる。

 しかも、ブラシをしているヤミーはいつもの猫サイズなんだけど、何故か邪魔をしてくるティグとマロンは巨大サイズになっているんだよ。

 ティグなんて、頭だけでも俺の胴体よりはるかにデカいんだぞ。それがぐいぐい俺の腕に頭突きをしてみろ。ブラッシングなんて落ち着いて出来る訳がない。

「順番は守れ〜〜! 良い子で待ってろ〜〜〜!」

 ガシガシとティグの大きな頭を左手で揉んでやりながら、右手で持ったブラシでこちらもご機嫌で喉を鳴らしているヤミーをせっせとブラシしてやっていた。しかも、同じく巨大化して右腕に頭突きをしてきているマロンの額を、右肘を使ってガンガン突っついている真っ最中だ。我ながら器用だと思うけど、これくらいしないと従魔達と遊べないって。

「あれ? だけどマックスやニニ、それからカッツェをブラッシングしている時は皆大人しかったよな。何でだ?」

 思わずそう呟いて、今撫でていたティグを見る。

「だって、マックスは狼達のボスだし、ニニとカッツェは私達のリーダーだからね」

 成る程。好き勝手しているみたいな従魔達だけど、それなりに上下関係があるみたいだ。確かに犬科は群れのリーダーを決めるから、それなら確かにマックスがボスだろう。俺? 俺は……ご主人なんだよ!



 脳内で一人ツッコミをしつつ、最後にもう一度絞った布で全体を拭いてやる。

「はい、ヤミーは終わりだ。ほら交代」

 小さい子達をブラッシングする時は、俺は椅子に座ってブラシする子を膝の上に乗せている。

 名残惜しそうに降りようとしないヤミーの顔をおにぎりにしてやり、しばらくモミモミしてから抱いて下ろしてやる。

「次は私〜〜!」

 一瞬で小さい猫サイズになったティグが膝に飛び乗ってくる。

「はいはい、次はティグだな」

 新しい濡れた布でまずは全体をゴシゴシと擦ってやり、軽く乾拭きしてから、硬いブラシ、柔らかいブラシの順にブラッシングしていく。

 まあ、ここでも他の子達が巨大化して突っ込んできたので、何度も手を止めてはおにぎりの刑に処してやったよ。

 猫族軍団が終われば、良い子で待っていたグリーンフォックスのフラッフィーとオーロラグレイウルフのテンペストとファインのブラッシングタイムだ。

 これがまたもうすっごく大量に抜け毛が確保されたよ。

 特にフラッフィーの尻尾は、ブラッシングしたおかげでもうこれ以上ないくらいにフワッフワになった。ううん、役得。

 それから狼コンビの毛はマックスよりも少し長めだけど、アンダーコートがみっちりと生えているのでこれまたすごい抜け毛だったよ。

 それが終われば、ウサギコンビのラパンとコニーとモモンガのアヴィ。これは小さくなってくれているので楽々だ。



「ほらおいで!」

 一番大きな布を絞ったのを広げて、遠慮がちに少し離れて見ていたセーブルを呼んでやる。

 どうやらブラッシングをしてもらった事が無いみたいで、なにやら戸惑っているみたいだ。

「セーブルの毛はかなり硬めだから、ブラシも硬いほうがいいと思うな。ほらおいでってば。気持ち良いぞ」

 一番硬い、タイル用のブラシを手に笑ってもう一度呼んでやる。

 今のセーブルは大型犬くらいのサイズになっているから、まあ何とかなるだろう。

「では、お願いします」

 遠慮がちにそう言っておずおずと進み出てくる。

 立ち上がって目の前にお座りしたセーブルをまずは絞った布でしっかりと拭いてやり、乾拭きしてから背中側からブラシを始めた。

「おお、抜ける抜ける」

 これまた気持ちよく抜ける硬い毛を足元に落としながら、俺は鼻歌まじりに良い子でお座りして踏ん張っているセーブルのブラッシングをしてやったのだった。



「お空部隊は、濡れタオルで拭いてやるか。ブラシは無理そうだもんな」

 集まってきたお空部隊の面々には、緩めに絞ってもらった布で順番に撫でるみたいにして拭いてやった。

 それが終わればセルパンとイグアナコンビの鱗チームだ。

 こちらも同じように拭いてやってから、この子達用に買ってきた柔らかな窓ガラス用のクロスで何度も全身を拭いてやった。

 そして最後に残ったのが、ハリネズミのエリーだ。

「ううん、エリーもブラシは無理そうだな。じゃあ拭いてやるか」

 苦笑いしてそう言うと、膝の上に乗せたエリーを濡れた布でそっと針の流れに沿って何度も拭いてやった。

 小さな顔を拭いてやると、何だかすごく嬉しそうだったよ。



「よし、全員終わりだ〜〜〜!」

 俺がそう叫んだ途端、従魔達が全員巨大化した。

「では、よろしくお願いしま〜〜す!」

 両手を広げてもふもふなニニに飛びついていく。その横からカッツェと巨大化したタロンが飛びついてきて俺に体当たりをすると、転がされた俺をスライム達が受け止めてくれてそのまま跳ね返される。

 落ちた先は巨大化したラパンとコニーの間で、そのままテンペストとファインに飛び掛かられてまた転がる。次に落っこちたのは巨大化したティグの背中の上で、俺は笑ってそのまま背中にしがみついた。

 しかし、巨大化したヤミーとマロンが飛びかかって俺を引っ張り下ろし、その次に落っこちたのはセーブルの背中だった。セーブルは今はマックス達と同じくらいの大きさになってて、床に腹ばいになってくれていたのだ。

 ここで何とか止まったので、手をついて起き上がって周りを見ると、既にブラッシングを終えた他の皆も、それぞれの従魔達に抱きついてもふもふタイムを満喫していた。

「あはは、やっぱりそうなるよな。ううん皆楽しそうだ」

 笑って手を叩いた俺にもう一度マックスとニニが二匹揃って飛び掛かってきて、俺は豪快に二匹に押し倒されたのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何度目かの読み直しをしていて、気になっていたので今更ですが誤字訂正を送らせていただきました。確認お願いします。
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