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デザートクレープもやっぱり大量!

「じゃあそろそろデザートを出しますね〜〜!」

 あの、山ほどあったクレープをあらかた駆逐した後、空になったお皿をスライム達に綺麗にしてもらい、嬉々とした様子のアーケル君がそう言って、今度はこれぞクレープって感じにデコレーションされた華やかで超甘そうなクレープを次々に取り出し始めた。



 待て待て、一体幾つ出すんだよ。

 すげえボリュームだったあのガッツリ肉系クレープをあれだけ食っておいて、まだその生クリームやカスタードやフルーツやが大量に入った見るからに甘そうなのを食えるのか?

 お前らの胃袋は、マジでどうなってるんだよ!

 予想以上のデザートクレープの種類と量に、頭の中で力一杯突っ込む俺。間違ってないよな?

 しかし、ドン引いていたのは俺だけだったみたいで、ハスフェルとギイは、喜んでどれを取るとか言って笑ってるし、リナさんはまるで女子高生のように両手を胸元で握りしめつつ目をキラッキラに輝かせている。

 星が飛び散るエフェクト効果とか、この世界には無かったよな? 今、なんかそんな感じのがリナさんの背後に見えた気がしたぞ。



「ねえ、ケン! お願いだから、あれを取ってください!」

 タマゴサンドクレープをかけらも残さずに平らげたシャムエル様は、ご機嫌で身繕いを終えて今は尻尾のお手入れの真っ最中だったんだよ。

 それが、デザートが出た途端にまたしても超テンションアップで踊り出し、何度か飛び跳ねた後にとあるクレープを指差してそう叫んだ。

 それは、挟みすぎた具の多さに平らにならずに見事に円錐形になっているめっちゃでかい一品で、アイスのコーンの巨大版みたいな感じだ。

 ここから見えているだけでも、生クリームとカスタードは大量に入ってそうだし、シロップ煮の色とりどりの刻んだフルーツがクリームの合間に散りばめられている。回しかけられたチョコシロップも見えるぞ。

 以前ハンプールの街で買った、全部乗せ巻きみたいな感じの超豪華クレープだ。

「ええ、アレを俺が取るのかよ」

 思わず嫌そうにそう呟くと、シャムエル様はものすごくショックを受けたみたいで、ガーンって口で言ってからぱたりと倒れた。

「うう、ケンが意地悪する〜〜〜私は〜〜あれが〜〜〜食べたいのに〜〜〜〜〜!」

 泣く振りをしながらちっこい手で机をバンバンと叩いて抗議されてしまい、諦めのため息を吐いた俺は、空いていたお皿を手に取りご希望の巨大クレープをそっと乗せた。

 アーケル君が驚いたみたいに目を見開いて巨大クレープを取る俺を見ていたけど、気がつかない振りでスルーだスルー!

 そのまままずは敷布の上へ乗せて、一応シルヴァ達にもお供えしておく。

「デザートクレープも出ました。これはシャムエル様ご希望の一品だったので取りましたけど、俺はちょっと無理そうです。なので、どうぞさっきの食事の時みたいにあっちのお皿から好きに取ってください」

 早速収めの手が現れ、嬉々として俺を撫でてから巨大クレープを撫でまくりお皿ごと持ち上げる振りをする。それから机に並んだデザートクレープの数々も、順番に撫でたり持ち上げる振りをしたりしてから消えていった。

 ううん、やっぱりはしゃいでたのが分かったぞ。なんか面白い。

「はい、どうぞ。だけど食い過ぎで腹が痛くなったとか言わないでくれよ」

 苦笑いしつつ、お皿ごとシャムエル様の前に押しやる。

「えへへ、ありがとうね。では、改めましていっただっきま〜〜〜〜〜す!」

 そりゃあ嬉しそうに目を細めて笑ったシャムエル様は、高らかに宣言すると、やっぱり頭からクレープに突っ込んでいった。

「だあ! 大事な尻尾がクリームまみれになるだろうが!」

 慌ててそう言った俺は、右手でもふもふ尻尾の先を掴んで引っ張ってやった。

 おお、素晴らしい膨れ具合ですなあ。これは良き良き……ああ、これが俺のデザートだね。

 しっかり尻尾を確保して、俺はいつもの三倍サイズに膨れたシャムエル様の尻尾を堪能したのだった。

 その時に気がついた。クリームまみれになってクレープを爆食しているシャムエル様をアーケル君達が何やら微笑ましそうな様子で揃って見つめているのだ。

 どうやら、俺がペットのリスもどきにあの巨大クレープを食べさせていると思われてるみたいだ。

 なるほどなあ。どうやっているのか仕組みは全く分からないけど、変にシャムエル様の存在そのものを隠すんじゃあなくて、俺のペットとして認識させているのか。器用なもんだね。



「あはは。そっか。ものすごいのを取るから大丈夫かと思ったら、その子用だったんですね。これならお腹いっぱいのケンさんでも食べられるのでは?」

 笑ったアーケル君が、何やらペタンコになった三角形のクレープをお皿に乗せて俺の方へ寄越してくれた。

「ええ、もう冗談抜きでお腹一杯なんだけどなあ」

 そう言いつつお皿に乗せられたそれを見て、俺は笑顔になった。

 そう、それはいわゆるバターシュガー。クレープにバターを塗ってグラニュー糖を振ってあるだけのシンプルイズベストな一品だ。

「あはは、確かにこれなら俺でも少しくらいは食べられるな。ありがとうな」

「せっかくですからね。はいどうぞ」

 お皿を受け取り、俺もバターシュガーをいただいた。

 まあ、確かに腹はいっぱいだったんだけど、これくらいなら確かに美味しく食べられたよ。

 ちなみに、振り返ったシャムエル様がこっちをガン見していたので半分くらいちぎって渡しておいた。なので、実質俺が食べたのは半分くらいだけどさ。



 さてと、食べてちょっと休憩したら、午後からはいよいよ買って来たブラシ各種を使って従魔達のブラッシングタイムだぞ。

 外は寒すぎで無理だから、どこでするのがいいかなあ。絶対、ものすごい抜け毛が出そうな気がするんだけど……。

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