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クレープパーティーとシャムエル様の乱入!

「ううん、これは美味しい。ってか、この食事用のクレープって見かけの割にボリュームがあるな。二つ食ったらかなりお腹いっぱいになってきたぞ」

 二つ目のヘルシーサラダクレープを食べながら、俺は小さく呟いてまだまだ山盛りになっている並んだ大皿を見て小さくため息を吐いた。

 これはアレだな。ピザパーティならぬクレープパーティーだよ。

 ああ、ピザパーティも良いな。今度やろう。



 そんな事を考えつつ、まずは自分用に取った分を飲み物と一緒にいつもの様に敷布を敷いてから並べ、しっかりと手を合わせてシルヴァ達にお供えする。

 それから、机の上に山積みになってる取り分け用の分もよかったら好きに取ってくださいと言っておいた。これであとはもう好きに食べられるだろう。

 いつもの収めの手が現れて、何度も俺を撫でた後にまずはお供えしたお皿を撫でてから持ち上げ、机の上に並んだ山積みの各種クレープが乗ったお皿も順番に持ち上げていった。手だけなのにはしゃいでるのが分かるって、相変わらず面白いよな。

 ちなみに俺が取ったのは、鶏ハムと野菜がたっぷりと挟まれた緑の花束みたいなサラダクレープと、もう一つは焼いた分厚い牛肉をクレープで巾着みたいに包んだガッツリ肉系の二つだ。足りなければ後で取ればいいもんな。

 で、ちょっと腹が減っているから、こっちから! とか思ってガッツリ肉系の方を先に食べたんだよ。そうしたら案外ボリュームがあって、二個目のサラダクレープを食べ始めた時点で、俺の腹具合は既に八分目近くまできていたのだ。

「ううん、デザートは後日だな、これ全部食ったらもう腹一杯になりそうだ」

 半分くらい食べたサラダクレープを見ながら、小さく笑った俺だったよ。

 何しろ、鶏ハムと野菜だけだと思っていたら、中の方にはレタスの層の間にポテトサラダと茹で卵を輪切りにしたのがぎっしりと敷き詰められていたのだ。そりゃあボリュームあるって。

 って事で、俺は残りのコーヒーの入ったカップを手に早々に戦線離脱。

 ガッツリ肉系のクレープを、まるで綿菓子でも食っているかのようにバクバクと食べている金銀コンビを感心しながら眺めていた。

 ちなみに、ランドルさんやリナさん達も相当食ってると思う。

 やっぱりこの中では俺が一番少食決定だよなあ……。



「あれ、もう食べないんですか?」

 多分五個目くらいのガッツリ肉系クレープの食べかけを飲み込んでから、のんびりコーヒーを飲んでいる俺に気付いたアーケル君が、空っぽになった俺のお皿を指差しながらそう尋ねる。

「いやいや、しっかり頂いたよ。美味しかったんだけど案外ボリュームがあってさ。少食の俺はもう腹一杯だって。どうぞ俺に構わず食べてくれていいよ」

 俺が遠慮しているとでも思ったみたいで、近くにあったツナマヨとレタスがたっぷり入ったサラダクレープを俺のお皿に乗せようとするのを慌てて止めた。

「ええ、このあとデザートもあるんですから、そんなこと言わないでくださいよ〜〜」

 当然のようにそう言うアーケル君に、俺はもう乾いた笑いしか出ない。

 何とかおかわりクレープのお断りに成功して、また自分の分を物色し始めたアーケル君を呆れたように眺めていたのだった。

「そういえば、外食続きだったおかげで、ハスフェル達が買ってきたシャムエル様用のお誕生日ケーキを食べてないな。シャムエル様も要求して来ないからすっかり忘れてたよ」



『言っておくけど全然忘れてないからね! だけど外食続きだったから単に食べる機会を逸してただけです! ホールケーキはやっぱり皆で食べた方が美味しいもんね! って事で、次回お城で夕食を食べる時にはお願いします! 絶対行くからね!』



 そんな事を考えていたら、唐突に頭の中にシャムエル様の声が響いた。

『あはは、聞こえてたのかよ。ってかやっぱり覚えてたんだな。了解。じゃあ今度お城で食事する時に出すから忘れずに戻って来てくれよな。ああ、でもこの調子だと、もしかしたらお祭りが終わるまでは毎日外食かもよ』

『ええ、それはちょっと悲しいなあ。でもまあ、どうせ時間停止の収納だから、ケーキが傷んじゃう心配はしなくていいからね。私は別にそれでも構わないよ。楽しみが増えたと思えばいいんだからさ!』

 何やらハイテンションのシャムエル様の声に、俺は小さく笑って目の前にあったサラダクレープのタマゴサンドバージョンを一つ取ってお皿に乗せた。

『なあ、これはお祈りしても神殿にいるシャムエル様には届かないのか? 絶対にシャムエル様が喜びそうなタマゴサンドのクレープバージョンがあるんだけどさ』

 お皿を引き寄せながらそう伝えると、何やら雄叫びが聞こえた。

『ふおお〜〜〜〜〜! 見えた見えた! これは行かなくちゃ駄目だね! ああそのまま置いておいてください!』

 さらにテンションが上がったシャムエル様の声が届いた直後にプッツリと気配が途切れ、何事かと慌てた俺の目の前にもふもふしっぽのシャムエル様が唐突に登場した。

「シュレムにちょっとだけ留守番をお願いして来ちゃいました!」

 くるっと勢いよく一回転を決めたシャムエル様は、ものすごい高速ステップを踏み始めた。当然のように、カリディアがすっ飛んで来て一緒にステップを踏み始める。

「あ、じ、み! あ、じ、み! あ〜〜〜〜〜〜〜〜っじみ! ジャジャン!」

 見事なシンクロ味見ダンスを披露した二人は、最後は揃ってとんぼ返りを決めて見せた。

「ブラボ〜ブラボ〜〜!」

 小さく拍手をした俺は、タマゴサンドクレープの乗ったお皿をシャムエル様の前へ置いた。

「ええと、コーヒーは?」

「これにお願いします!」

 当然のようにいつもの盃が出てきて、笑った俺はマイカップにおかわりのコーヒーを半分くらい入れてから、盃にスプーンでコーヒーを入れてやった。

「はい、コーヒーもどうぞ」

「うわあい、美味しそう! では、いっただっきま〜〜〜〜す!」

 そう叫んだシャムエル様は、緑と黄色の花束になってるタマゴサンドクレープの上側に頭から突っ込んでいった。

「相変わらず豪快だねえ。だけどまあ、これだけ喜んでくれたら、お供えのし甲斐があるってもんだよな」

 興奮していつもの三倍サイズになっているもふもふしっぽをこっそり突っつきつつ、俺は若干持て余し気味に二杯目のコーヒーをゆっくりといただいたのだった。

 はあ、もうお腹一杯です。ご馳走様でした〜〜〜!

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