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タマゴサンドと武器探し?

「お待たせ。それじゃあ買い物へ行くとしようか」

 ものすごい人混みの神殿では、リナさん達に先に並んでもらい、俺は一番後ろへ並んで、何とか神殿への参拝兼腹ペコでお勤め中のシャムエル様への差し入れを済ませて出てきたところだ。

 もちろん、持ってきたタマゴサンドの包みは、他の大きなお供えの後ろへこっそりと隠して置いてきたよ。包紙はシャムエル様が証拠隠滅してくれるって言うからそのままにしてきた。



『ふおお〜〜! 待ってたんだよ〜〜〜! ありがとうね! それじゃあいっただっきま〜〜〜〜す!』

 俺が祭壇の前にある燭台に買ってきた蝋燭を灯した途端に、祭壇のドラゴンの頭の上から転がり落ちるみたいにしてすっ飛んできたシャムエル様は、俺が隠したタマゴサンドの包みを引っ張り出して開けると嬉々としてその場で齧り始めた。まあ、いつものごとく誰にも見えてないみたいだから良いんだけどね。

「すごい食いっぷり……ご苦労様。よっぽど腹減ってたみたいだな」

 そのものすごい食いっぷりに呆れたように笑って、もう一つ、これもお店に頼んで包んでもらった焼き菓子の詰め合わせをタマゴサンドの包みの横へそっと置いた。

「そっちは焼き菓子の詰め合わせだよ。沢山あるから食いすぎて腹が痛いとか言わないようにな」

『それは大丈夫です!』

 ちっこい手でサムズアップを返したシャムエル様は、早くも二個目のタマゴサンドを両手で掴んで齧り付いた。

『ふああ、美味しい。明日も楽しみにしてるからよろしくね!』

「おう、だけど毎日タマゴサンドで飽きないか?」

『それは大丈夫だから、是非是非タマゴサンドでお願いします!』

 冗談抜きで、そんなに毎日タマゴサンドは飽きるだろうから、差し入れのメニューを変えてもいいかと思ってたんだけど、どうやらシャムエル様的にはタマゴサンド一択みたいだ。

「はいはい、それでいいなら俺は楽が出来るから有り難いよ。ああそうだ。それじゃあいろんなお店のタマゴサンドを差し入れするからさ。お店によって、同じタマゴサンドでも違いがあるかの検証とかも出来るんじゃね?」

『良いねそれ! それでお願い! ちなみに今日のタマゴサンドは茹で具合がバッチリです! 昨日のはちょっと私の好み的には茹で過ぎだった気がする。きっと作った人が固茹で卵が好きなんだろうね。私は、ちょっと半熟くらいなのが好きです!』

 突然始まったシャムエル様のタマゴサンドの卵の茹で具合の好みの話に、不意打ちを喰らった俺は咄嗟に吹き出しかけて慌てて口を押さえたのだった。



 参拝を終えて神殿を後にした俺達は、のんびりと人の少ないところではムービングログを取り出して乗り、人出が多くなって来ると、一旦収納して歩きでゆっくりと街歩きを楽しんだ。

 考えてみたら、買い物と言っても基本的に俺がするのは食い物関係や調理器具や食器ばかりで、それ以外って自分の装備を注文した時と、アーケル君の案内でナイフを買った時くらいだ。

「ああそうだ。ねえランドルさん。あの雪蛍狩りをした時にお借りした、硬鞭って武器を探してみませんか?」

 振り返った俺の言葉に、ランドルさんも笑顔になる。

「ああ、それは良いですね。是非行きましょう。もし扱いが無くてもどこかの工房で注文しておけば、春までには作ってもらえるでしょうからね」

「良いですね。是非!」

 俺も笑ってそう言い、ランドルさんと顔を見合わせて笑ってハイタッチをしたのだった。

「あれ、武器をお探しですか?」

 アーケル君の声が聞こえて俺とランドルさんが同時に振り返る。

「ほら、これを扱ってる武器屋を探そうと思ってさ」

 そう言って、ランドルさんが俺が貸してもらったあの硬鞭を取り出して見せる。

「へえ、変わった武器を持ってるんですね。これは両手剣……にしては、刃がついていませんねえ? ええ、どうやって使うんですか?」

 興味津々のアーケル君の呟きに、リナさん一家が集まってくる。

「ああ、硬鞭ですか。これは珍しい武器をお持ちですね。確かに扱っている店を探すとしたら、この街以外にはないでしょうね」

 どうやら硬鞭を知っているらしいアルデアさんの言葉に、ランドルさんも嬉しそうに頷いている。

「へえ、硬鞭って言うんですか。面白そうな武器ですね。ううん、それならどの辺りの店が良いかなあ」

 腕を組んで考え込むアーケル君の呟きに、カルン君とオリゴー君が集まり三人揃って顔を寄せて相談を始めた。

「じゃあ、いくつか良さそうな武器屋を案内しますから一度聞いてみてください。それでも見つからなければドワーフギルドか商人ギルドへ相談するのが手っ取り早いでしょうね」

「だな、せっかくだから自力で探してみるのも面白そうだ。もし無くても、いろんな武器を見てみたいから問題ないよ。じゃあそれでよろしく!」

「はい、案内はお任せください!」

 俺の言葉に草原エルフ三兄弟が揃ってドヤ顔になり、顔を見合わせて手を叩き合ったのだった。

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