ご馳走様とおやすみなさい
「ふああ〜〜〜〜! 最高に美味しい!」
「ふおお〜〜〜〜〜! 最高に美味しい!」
はい、相変わらずアーケル君とシャムエル様の歓喜の叫びが交互に部屋に響き渡ってこだましております。
もう、聞いてる俺達は、全員揃って最初から笑いっぱなしだ。
「まあ、そこまで喜んでくれたら、作り甲斐があるってもんだよな」
鼻先に生クリームを付けたアーケル君は、俺の呟きにもうこれ以上ないくらいの満面の笑みで俺に向かってサムズアップを返してくれたよ。
「ご馳走様でした! 唐揚げもケーキも、すっごく美味しかったです!」
かけらも残さずに完食してくれて、目をキラキラに輝かせたアーケル君の言葉に続き、皆も笑顔で美味しかったと言ってくれる。
そうなんだよな。料理やお菓子の良いところは、食べると笑顔になってくれるんだよ。
俺も笑顔でサムズアップを返し、食べ終えた食器を片付けてその夜は解散になった。
明日は、朝から神殿へ全員揃って行って、創造主様に蝋燭を捧げて、それから街の屋台を見たり雪像を見て回ったりする予定だ。
よく考えたら早駆け祭りの時は完全隔離状態で全然屋台巡りなんて出来なかったから、普段の屋台じゃなくて、お祭りの時限定の屋台巡りって初めてじゃん。
密かにテンション上がってる俺だったよ。
「はあ、もっと簡単かと思ってたんだけど、何だかんだで大騒ぎで大変な雪像作りだったな。でもまあ、無事に出来上がってホッとしたよ」
部屋に戻って和室に寝転がりながら、そう言って笑いながら大きな欠伸をする。
一応、こたつで寝落ちするのが多いけど、ちゃんと寝る時はこの畳の部屋に別注してわざわざ作ってもらった巨大敷布団と掛け布団超特大を用意して寝ている。
これなら、ニニとマックスが並んで一緒に寝られるんだよな。
「はい、どうぞご主人!」
ニニがまずは敷布団に寝転がる。そのすぐ横にマックスが寝転がって場所をキープする。
「では、今夜もよろしくお願いしま〜〜す!」
サクラに綺麗にしてもらって寝る準備万端になった俺は、そう宣言して二匹の間に潜り込んでいった。
「ふああ。寒くなってからニニの腹毛のもふもふ具合が、いつも以上にさらにパワーアップしてる気がする……」
もふもふに顔を突っ込みつつ小さな声でそう呟く。
「私達だって冬毛バージョンですよ!」
ラパンとコニーのウサギコンビが、巨大化して飛び跳ねて俺の胸元に飛び込んで来る。
「うわあ、これまたもっふもふじゃんか!」
抱きしめ返して、これまた密なもふもふの毛皮に嬉々として顔を埋める。
「ああ、何だこの幸せパラダイス空間は……」
ラパンとコニーが笑って俺の顎の辺りにそっと頭突きしてから、抱きしめていた腕の中からするりと抜け出して背中側のいつもの定位置に収まる。
空いた俺の腕にはタロンとフランマとフラッフィーが同時に潜り込み、しばしの無言の場所取り合戦の後にフランマが残った。
「勝った〜!」
笑ったフランマの声に、俺は腕の中のフランマを思いっきり抱きしめてやったよ。
場所取りに負けたタロンとフラッフィーは、揃ってベリーのところへ行ったみたいだ。ベリーのところもオオカミ軍団やセーブルがいるから、あっちももふもふ具合は最高だよ。
俺の足元にはカッツェが丸くなってるし、顔の横ではソレイユとフォール、それからヤミーとマロンがそれぞれ左右に分かれて二匹ずつくっ付いている。
マックスの頭の上にはモモンガのアヴィがシャムエル様と並んで完全に寝る体勢だ。
全員が定位置についたのを見て、スライム達が俺達の上に掛け布団と大きな毛布を引っ張って掛けてくれる。
「おう、ありがとうな」
手を伸ばして、スライム達も順番におにぎりにしてやる。
「では、明かりを消しますね。おやすみなさい」
笑ったベリーの声がして、一瞬で部屋に灯されていた灯りが全部消える。
「ベリーも、いつもありがとうな。おやすみ……」
ニニと猫族軍団の皆が静かに鳴らす喉の音を聞きながら、俺はフランマのこれまたふわふわな尻尾を抱きしめて、気持ち良く眠りの国へ墜落して行ったのだった。
いやあ、相変わらずもふもふの癒し効果すげえよ……。