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バージョンアップした雪のバイゼンと雪のお城と城壁のデザートプレート!

「はあ、やっぱり唐揚げにはビールが合うよなあ」

 冷えたビールをグイッとあおった俺は、満足のため息を吐きつつ俺のお皿に残っていた最後の一つの唐揚げを口に入れた。

「俺はもうデザートは要らないくらいだけど、シャムエル様は食うよな?」

「当然です!」

 振り返って即座に断言するシャムエル様のもふもふの尻尾を突っつき、こちらもそろそろ食べ終えている皆を見回した。

「ええと、かなり食ったみたいだけど、予定してるデザートってかなりボリュームがあるんだけど、出しても大丈夫か?」

「もちろんお願いします!」

 なぜか全員の息ぴったりの返事が返ってくる。

「あはは、それならいいけど、後で食いすぎて腹が痛くなっても知らないからな」

「それは大丈夫です!」

 またしても息ぴったりの答えが返ってきて、吹き出した俺だったよ。

 そこで、ひとまず空になったお皿やグラスを片付けて机の上を綺麗にする。

「じゃあ遠慮なく作るからな。言っとくけど残すなよ!」

「もちろんで〜〜〜す! そんな勿体無い事しません!」

 嬉々としたアーケル君の返事に、今度は全員揃って吹き出したよ。



「ではまずはお皿を人数分用意してっと」

 これは作る過程も見せるべきかと思ったので、この場で作る事にする。

 今回のガトーショコラやベイクドチーズケーキの丸いケーキは複数作っているので、がっつり八等分サイズだ。俺は絶対両方は食えない。

 まずは温めたナイフで人数分のガトーショコラとベイクドチーズケーキを切り分けていく。それからパウンドケーキも厚さ1.5センチくらいに切っていく。ブラウニーは既に切り分けてあるので取り出して置いておく。

 カットしたスポンジ生地を並べたバットと、フルーツの飾り切りもスライム達が大量に作ってくれているのがあるでそれを並べたバットも取り出しておく。

「ええと、あとは生クリームの入ったボウルと栗クリームの入ったしぼり袋。それから粉砂糖。あ、アイスクリームと甘露煮も出しておこう、俺が食いたい」

 そう呟いて作り置きのアイスクリームと栗の甘露煮の瓶も取り出し並べておく。

「では作りま〜す!」

 パレットナイフを手にそう宣言すると、ものすごい拍手が沸き起こった。

 本当にどれだけ甘いもん好きなんだよ、お前らは。



「まずは、これに生クリームを塗っていくぞ」

 手早くパレットナイフで、カットしたスポンジ生地に生クリームを塗っては積み上げていく。

 一つ作る度に歓声が上がり、作っててめっちゃテンション上がったのは内緒だ。

「ええ、なんだかすごい事になってきたよ!」

 こちらもテンションマックスのアーケル君の叫びに、栗入りパウンドケーキの城門を置いた俺はにんまりと笑った。

「まだまだこんなもんで驚いちゃ駄目だぞ。ここから栗クリームを絞って道を作りま〜〜す!」

 それを見てまたしても起こる拍手。

「そして、ここにベイクドチーズケーキとガトーショコラのお城がドン! そしてお庭にはブラウニーと鬼柚子ピール入りのパウンドケーキが並びま〜す! そして果物とアイスと生クリームでお庭を飾りま〜〜す!」

 飾り切りと栗の甘露煮を各所に配置して、アイスクリームも軽くすくって落とす。

「生クリームとここでも栗クリームの道! そして最後に全体に粉砂糖の雪が降り積もります!」

 雪の塊役の生クリームを適当にスプーンですくって落として栗クリームの道を作り、仕上げの粉雪を降らせてフィニッシュだ!



「題して、雪のバイゼンと雪のお城と城壁だよ!」



 片手に一皿持ってドヤ顔でそう言ってやると、一瞬静まり返った後に拍手大喝采になった。

「最高です! それ一皿で一人前なんですか?」

 当然人数分作ってあるのを見て、目を輝かせるアーケル君達草原エルフ三兄弟とランドルさん。ハスフェル達も大喜びで拍手してるし。

「だから言っただろう? 本当にこれ一人一皿食えるのか?」

「大丈夫問題ないです!」

 またしても綺麗に揃う全員の返事。

「じゃあお好きにどうぞ。ええと、飲み物はコーヒーでいいかな?」

 手持ちのコーヒーのピッチャーを取り出しておく。

「じゃあこれも改めてお供えだな」

 一皿簡易祭壇にお供えして、コーヒーはピッチャーごと一緒に並べておく。

「試作から更にバージョンアップした、雪のバイゼンと雪のお城と城壁のデザートプレートです。少しですがどうぞ。コーヒーはたっぷりお供えしますので、これもゆっくり一緒に飲んでくださいね」

 実際に飲んでいるわけではないけど、この言い方で間違ってないよな?

 そんなことを考えながら手を合わせる。

 嬉々として現れた収めの手が、何度も俺の頭を撫でてからデザートプレートを撫で回してお皿を持ち上げ、コーヒーの入ったピッチャーも撫でてから持ち上げて消えていった。

「また、はしゃいでたな」

 小さく笑った俺は、自分の分のお皿を丸ごと、高速ステップを踏んでいるシャムエル様の前に置いた。

「俺は遠慮するからもう全部どうぞ。俺はこっちで充分だよ」

 そう言って俺は小さなガラスの器にアイスクリームを一人前すくって落とし、栗の甘露煮を適当に取って飾る。

「ええ、ケンは食べないの?」

 驚くシャムエル様に、俺は苦笑いして首を振った。

「あれだけ唐揚げ食った後に、このデザートは俺には重すぎるって。いいから好きなだけどうぞ」

 そう言って両手でさらにシャムエル様のすぐ前まで押してやる。

「ふおお〜〜〜〜! では、遠慮なくいっただっきま〜〜〜〜す!」

 雄々しく宣言したシャムエル様は、またしても雪のバイゼンの建物に頭から突っ込んでいったのだった。



「相変わらず豪快だねえ」

 あっという間にクリームまみれになるシャムエル様の尻尾を左手で引っ張りながら、俺は自分用に用意したアイスクリームをすくって口に入れたのだった。

 そうだよな。普通のデザートってこれくらいで良いよな。

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