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雪像の設置完了!

「ええと、俺達の展示場所は……ああ、ここだな。うわあ、何だかすごいのが出来てるじゃないか」

 到着した雪まつりの会場になっている広場は、既にいくつもの出来上がった雪像が並べられていて、なかなかに壮観な眺めになっていた。

 俺達が申し込んだのと同じ一番大きな土台には、それこそ建物くらいあるサイズのドラゴンの雪像の作品があるかと思えば、単に丸めた雪玉を積み上げただけの超巨大雪だるまが並べられていたりと、はっきり言って凄く上手な人の作品と、明らかに素人丸出しの作品とがあり、本当に作品レベルは色々だったよ。

 かと思ったら、小さい土台なのにもの凄く精密な雪像が作ってあったりもするので、大きい土台だから上手ってわけではないみたいだ。



「チーム愉快な仲間達パート2」

 指定された場所には、看板が立てられていて俺たちのチーム名が書かれていた。

「俺達はこっちですね。チーム草原エルフ一家」

 アーケル君が、その隣のブースに立てられた看板の名前を見てなんだか嬉しそうにしていた。

 俺が収納していた土台をまずは指定された場所に取り出して、オンハルトの爺さんとランドルさんにも手伝ってもらってしっかりと組み合わせて並べていく。

 リナさん一家も、オンハルトの爺さんが取り出しておいた土台を手分けして組み合わせていた。

「じゃあ出すぞ。だけど肝心の雪像の置き方はどうする?」

 ハスフェルにそう言われて、俺達は困ったように顔を見合わせる。

「ええと、まずは一番メインのドラゴンの雪像を真ん中に置いて……あとはランドルさんのケーキと、俺のニニとマックスの雪像、それからハスフェル達が作った花壇が全部で四個あるんだよな。ううん、配置が難しいぞ」

「じゃあ、前側の左右と両サイドに囲むみたいにして花壇を並べて、真ん中やや奥にドラゴン、ドラゴンの右前にランドルさんのケーキを置いて、マックスとニニちゃんはドラゴンの左前に置けば良いんじゃないか?」

 少し考えたオンハルトの爺さんが、土台の上に乗って、実際に置く場所に手で形を作りながら示してくれる。

「ああ、それならバランスも良さそうだな。じゃあそれで一度置いてみるか。変更しようと思ったら、一旦収納すれば置き直しも出来るからな」

 ハスフェルが頷きながらそう言ったので、台の上に上がった俺とランドルさんもハスフェルが取り出す雪像をゆっくりと土台に乗せるのを手伝った。



「おお、すっげえなんだかゴージャスになったぞ」

 改めて正面から見ると、いかにも俺達らしいって感じになった。

 かなり苦労して作ったドラゴンは、周りを見ても見劣りしないくらいになかなか立派な出来栄えだよ。まあ、これの大半はオンハルトの爺さんの手柄だと思うけどな。

 笑って顔を見合わせた俺達は、順番にハイタッチをして回った。

 そしてリナさん一家のも、これまた豪華な配置になっていた。

 土台の中央部分に大きく翼を広げたドラゴンを置き、その周りを取り囲むみたいにして五羽のイーグレットがまるでドラゴンを守るかのように並べられていたのだ。

 ドラゴンは正面を向いているが、イーグレットはドラゴンに背中を向けて外を見ているので、見学の人達はどこから見てもイーグレットに見つめられている状態になっているのだ。

「イーグレットは神様の使いだもんな。これはいかにもドラゴンを守ってる、って感じが出てて良いじゃないか」

 笑って拍手をする俺達に、何故かアーケル君を先頭に草原エルフ三兄弟が揃ってドヤ顔になっていたよ。



「おお、なかなか立派に出来上がったじゃないか」

 その時、笑ったヴァイトンさんの声が聞こえて、俺達は慌てて振り返った。

「ああ、その節はお世話になりました!」

「おかげさまで立派な雪像が仕上がりましたよ!」

 俺達の声が重なり、ヴァイトンさんが笑って首を振る。

「俺もご馳走食って良い思いさせてもらったからな。気にするな。いやあ、それにしても初めてとは思えねえ出来栄えだな。もしかしたら、これなら何かの賞を取れるかもしれないぞ」

「へ? なんですか、それ?」

「ああ、雪まつりの一般投票ってのがあってな。最終日に投票結果が発表されるんだ。小さいのや、初作品でも受賞する事があるから侮れねえんだ」

「おお、それは面白そうだ。それでその投票券ってどこにあるんですか?」

「屋台で何か買うと貰える。あとは各ギルドに募金箱があって、募金してくれたら投票券をもらえるな。この募金は孤児院をはじめ特に寺子屋の維持費など、全て子供達のために使われる。よかったら少しでもいいから入れてやってくれるか」

「おお、それは良い取り組みですね。了解です。じゃあ後でギルドへ行ってきます」

「おう、よろしく頼むよ」

 笑ったヴァイトンさんが手を振っていなくなるのを見送り、雪像の設置を終えた俺達は、まずはその募金をするためにギルドの建物へ向かったのだった。



「じゃあ、募金をしたら俺は料理をするから先に城へ戻るよ。デコレーションケーキの買い出しはよろしくな」

「ああ、任せろ。でっかいのを買って来てやるよ」

 笑ったハスフェルの言葉に、マックスの頭に座っていたシャムエル様は歓喜のステップをものすごい勢いで踏みはじめたのだった。

「だから、マックスの頭の上は危ないからやめてくれって」

 だけどそんなの知らないと言わんばかりにシャムエル様は笑いながら、カリディアと一緒になって見事なシンクロダンスを披露していたのだった。

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