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従魔達と出来上がった雪像!

「ええと、案外思ってたよりも難しいなあ、本当に出来るかなあ」

 小さくそう呟いた俺は、スコップの先でザリザリと雪の塊を削りながら何度も手を止めては、従魔達が雪まみれになって遊んでいるのを眺めて和んでいた。



 最初の頃は、俺達が雪像作りの作業を始めるとすぐにどこかへ遊びに行っていなくなってしまった従魔達だけど、最近は、少し離れた俺達が見える辺りで雪まみれになって戯れあって遊んでいる事が多い。

 猫族軍団も、セーブルとヤミー以外は初めの頃は建物から出て来なかったんだけど、だんだん雪にも慣れてきたみたいで最近ではマックス達と一緒になって雪まみれになって遊んでいたりもする。

 まあ炬燵に潜り込んで全く出て来ない日もあるけどね。その辺りは、さすがは気まぐれな猫達って感じがするよ。



 寒さが苦手な鱗チームは、一切部屋からは出て来ずに暖房器具の近くで寛いでるし、ファルコとプティラは平気で出てきているけど、他のインコ達はどうやらあまり寒いのは好きじゃ無いみたいで、こちらもすっかり暖かい部屋に引きこもり状態になってる。

 それに対して元気一杯なのが、マックスやシリウスを筆頭に狼と狐を含む犬族軍団だ。気がつけばこちらも、全員分の従魔を足せば猫族軍団と対をなす一大勢力になってるよ。

 そしてこちらも元気いっぱいなウサギコンビ。

 薄茶色のラパンや、基本身体の色が緑色のピンクジャンパー達ならまだ雪の上にいても何処にいるのかすぐに分かるんだけど、真っ白なコニーは本当に何処にいるのか全く分からないレベルだ。まあ鑑識眼のおかげで、本気になって探せばすぐに見つけられるけど、そうじゃなければまず見つけられないよ。

 角度によって、赤い角が見えればそこにいるのだと分かるけど、雪まみれになって角が隠れてしまうともう絶対に見つけられないレベルだ。保護色ってすげえ。

 ちなみに、モモンガのアヴィとハリネズミのエリーもあまり寒いのは得意では無いみたいで、俺が連れて出て来れば嫌とは言わないけど、普段は鱗チームやインコ達と一緒に部屋で留守番している事が多い。

 こうして見ると、従魔達にもそれぞれに個性があって面白いよ。



 そしてお祭りまであと数日に迫る頃、ようやく俺達の雪像が全て仕上がったのだった。

 ランドルさんは、背の高さくらいはある五段重ねの見事なデコレーションケーキを作っていた。

 これって、大きさ的には思いっきりウエンディングケーキレベルなんだけどさあ、いいのか? まあ、この世界にはきっとそんなものは無いんだろう。多分……。

 ちなみに、飾りのイチゴは赤いインクを落とした雪で作っているので、なかなかに華やかな仕上がりになっている。



 リナさん達は、何と全員がイーグレットの雪像を作っていた。これはかなり苦労したみたいで、何度もエーベルバッハさんに相談していたみたいだ。

 イーグレットの細い脚には削った木をそのまま使い、同じく細い首には布を巻いたワイヤーを芯にしてそこに雪を固めてくっつけて凍らせたみたいだ。成る程、細い部分はそんなやり方をするんだな。一つ勉強になったよ。

 しかもイーグレットが立っている姿だけじゃなくて、翼を大きく広げたポーズのもあってどれもなかなか立派な仕上がりになってる。



 ハスフェル達三人は、オンハルトの爺さんの指導の元、共同で見事な花壇を合計四つ作っていた。

 高さ50センチくらいで1メートル角の土台を植木鉢に見立て、壁面全体に花柄の模様が彫刻されていてそれだけでも見事な仕上がりだ。

 そして肝心の花壇の部分は、リアルに絡まる蔓の茂みの中に、子供の顔くらいはありそうな大きな薔薇の花が幾つも咲き乱れていた。

 しかもこれも花の一部だけに赤や黄色やピンク、それから葉っぱや蔓の部分の一部だけにも濃淡のある緑色で色付けがされていて、まるで水彩画みたいで本当に綺麗な仕上がりになっていたよ。

 さすがは鍛治と装飾の神様。作るクオリティが半端ねえよ。



「ケンさんのも、見事ですね。しかもこれを一人で作ったなんてすごいですよ!」

 アーケル君が近くに来て、俺が作った雪像を見て大喜びでそう言ってくれたよ。

「ま、まあなんとか形にはなったかな」

 照れるのを誤魔化すように、そう言って笑いながら出来上がった雪像をそっと撫でてやる。

 俺が作ったのは、ピッタリとくっついてこっちを見て笑っているみたいな表情のマックスとニニの座っている姿だ。

 ちなみにマックスの頭の上には、等身大くらいの大きさのシャムエル様も作ったよ。

 一応主役の神様の今のお姿な訳だし、ここはやっぱり俺が作っておかないとな。



「へえ、私がいるね。でもちょっと太り過ぎじゃない?」

 雪像のマックスの頭の上に上り、自分の雪像を見ながらそんな事を言っている。

「いや、一応これでも細めに作ったつもりなんだけどなあ」

「ええ、もっとスリムだと思うけどなあ」

 ふわふわの尻尾を振り回しつつ、そんな文句を言っているけどその顔はとても嬉しそうだ。自分の雪像の周りでステップを踏み始めた。

「ああそうだ。お誕生日のお祝いに好きなスイーツを作ってやるよ、何が良い? 言っとくけど、作るなら俺でも出来るのにしてくれよな。もしデコレーションケーキご希望だったら、どこかで探して買って来るからさ」

「ふええ! 本当? 本当に良いの?」

 一気に大きくなったシャムエル様の尻尾をこっそりともふりつつ、俺は満面の笑みで頷いてサムズアップをした。

「あのねあのね! 以前ハンプールの別荘で、別荘バージョンのお菓子の盛り合わせを作ってくれたじゃない。あんなふうにしてここバイゼンのお城バージョンでも作って欲しいです! あ、お店で売ってるので良いから、デコレーションケーキも希望します!」

 大興奮状態のシャムエル様の言葉に吹き出し、俺はハスフェル達に念話でデコレーションケーキの買い出しを頼んだ。

『あはは、そりゃあ良い。俺達でシャムエルの誕生日祝いだな』

 笑ったハスフェル達がデコレーションケーキの買い出しを引き受けてくれたので、この出来上がった雪像を展示場所へ持って行った後は、俺はキッチンでご依頼のケーキ作りをする事にした。



「じゃあ、もう出来上がった事だし運ぶとするか」

 ハスフェル達がそう言い、並んだ巨大な雪像を次々に収納していった。

 成る程、これなら簡単に移動出来る。あいつらの収納も容量無限大の時間停止だって言ってたもんな。

 リナさん一家とランドルさんはそんな彼らを見て目を丸くしていたけど、彼らが収納の能力持ちなのは知っていたから、ものすごい容量の収納の能力なんだと納得したみたいだ。

 土台は俺とオンハルトの爺さんの二人で全部収納してしまい、全員揃って従魔達に乗ってまずは雪像の展示場所へ向かったのだった。

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