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豚丼最高〜〜!

「おお、この脂だよ。ううん、いい香りだ」

 厚切りの岩豚のバラ肉を並べたフライパンからは、じゅうじゅうと景気の良い音が聞こえている。

 そして染み出した脂の海の中で漂う、少し焼き目のついた岩豚の肉!

 周りの皆も大注目の、最高の光景だ。



 全員の視線を集めつつもう一度順番に肉をひっくり返してしっかりと焼けているのを確認した俺は、あらかじめ作っておいた照り焼きのタレを並んだフライパンに回しかけていった。

 フライパンを軽く揺すって肉にタレをしっかりと絡めながら、少しだけ煮詰めて照りを出していく。豚丼を作る時、ここ重要ポイント。

「よし、出来たぞ! はい、ご飯を並べて!」

 俺の言葉と同時に全員が一斉に立ち上がって、用意していたご飯が入ったお椀を即座に並べる。

 ハスフェルが二個持ってくれているので、一つは俺の分なのだろう。

 シャムエル様も期待に満ち満ちた目を輝かせながら、どこから見ても普通サイズのお椀を手に高速ステップを踏んでるよ。

 あれ、間違いなく普通に一人前以上入るって。

 それを見たハスフェルが、苦笑いしながらシャムエル様からお椀を受け取り黙ってご飯をよそって並べてくれた。

 大丈夫だ。肉は余り有るくらいに大量に焼いてあるぞ。



「では並べていくぞ〜〜〜!」

 最初のフライパンの肉を、菜箸を使って取り出しながら、ご飯の上に隙間なく敷き詰めてやる。そして交互に重ねるようにして二段目、最後に少し小さめに三段目を積み上げれば完成だ。

 手早く残ったタレもかけてやりながら、順番に肉を積み上げていく。ううん、見ているだけでもよだれが垂れそうだ。

 最後のシャムエル様の分まで同じように積み上げても、まだ肉はガッツリ余っている。

 誰もまだ出来上がったお椀を持って席に戻らないのを見て小さく笑った俺は、残りの肉も順番に均等に取り分けて更に山盛りに積み上げてやった。最後に、黒胡椒をガッツリ振りかけてやれば完成だ。

 ううん、冗談抜きですごい量になったぞ。岩豚のタワーだ! って感じだ。

 これ、皆は大丈夫だろうけど、俺にこれが全部食えるか段々と心配になってきたぞ。

 まあ、いざとなったら残して収納しておいて、また後日食べればいいなと開き直り、とりあえず自分の分をいつものように簡易祭壇に置く。

「ほら、これも一緒に」

 ハスフェルから味噌汁の入ったお椀と、お惣菜のきゅうりもみと浅漬けのお皿を渡されて、お礼を言って受け取り一緒に並べる。それから冷えたビールも一本だけ取り出して並べた。

「今夜は、岩豚丼だよ。お味噌汁と、きゅうりもみと浅漬けは、薄味だから口直しになると思うな。少しですがどうぞ」

 手を合わせながら小さくそう呟く。

 いつもの収めの手が俺を何度も撫でてから、豚丼を嬉しそうに撫でてお椀ごと持ち上げる振りをする。それから他の料理とビール瓶も撫で回して持ち上げる振りをしてから収めの手は消えていった。

 笑顔でそれを見送ってから、急いで料理を席に戻して自分も座る。

 当然のように待っていてくれた皆にお礼を言ってから、改めて手を合わせて食べ始めた。



「ううん、これは予想以上だな。めちゃめちゃジューシーで美味しい。柔らかい肉がとろけそうだ」

 一口食べるなりそう呟き、後はもう夢中になって食べたよ。

「おお、この濃いめの味付けと相まって、昨日のとはまた全然違うな」

 オンハルトの爺さんの言葉に、皆が揃って笑顔でものすごい勢いで頷いている。

 そこから後はもう、全員が言葉も無く夢中になって豚丼をかっ込むみたいにして食べていたのだった。

 シャムエル様も、お椀に手をついて乗り上がるみたいにして頭から豚丼に突っ込んで豪快に食べているので、すでに自慢の尻尾までタレまみれになって大変な状態になってる。

 だけどまあ、これはいつもの事なので気にしないでも大丈夫だな。

 半分くらいを平らげたところでようやく人心地ついて、そこでビールの栓を開ける。

「はあ、美味い! 冷えたビールがこの味の濃い豚丼に最高に合うよ〜〜!」

「いや、赤も合うぞ」

 笑ったハスフェルの声に振り返ると、彼らの前には赤ワインが何本も置かれていて、すでに三本目の栓が開けられている。

「いつの間にそんなに飲んだんだよ。まあそこは好みなんで、それぞれ好きな酒と一緒に食ってくれて大いに結構だよ。俺は冷えたビールを飲むもんな〜〜〜!」

 そう宣言して瓶に残っていたビールを手酌で注ぐ。

「あれ、ちょっとしか残ってないじゃん。じゃあ二本目〜〜〜!」

 ささっと取り出した二本目のビールの栓を開け、並々とグラスに注ぐ。

「料理上手な、最強の魔獣使い殿に乾杯!」

 ヴァイトンさんの大声に、一斉に笑いが起こり皆が飲んでいたワイングラスを高々と掲げる。

 俺も笑って持っていたビールの入ったグラスを高々と掲げた。

「愉快な仲間達に乾杯!」

 俺の大声にまた笑いが起こり、俺も笑って残りの豚丼を食べ始めたのだった。

 いやあ、自分で作っていうのもなんだけど、これ冗談抜きでめちゃめちゃ美味いわ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 豚丼かあ…最近食ってないなー [一言] 豚角煮丼とかも良さげだけど、圧力鍋から開発しないとダメかな?w
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