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愉快な仲間達再び

「ええと、ここで良かったのかな?」

 すっかり見慣れたギルドの受付を見ながら、俺は小さくそう呟いてハスフェルと顔を見合わせた。



 岩豚の引き渡しを終え、ガンスさんにお礼を言って待っていてくれたハスフェル達と合流した俺達は、雪まつりの参加申し込みをしようとしているところだ。

「聞いてみればいいんだよな。ええと、すみません」

 どこで聞いたら良いのか分からなかったので、とりあえず空いているカウンターに駆け寄って聞いてみる事にした。

「はい、何でしょうか?」

 受付にいた俺と同年齢くらいの男性が笑顔で応えてくれる。

「ええと、雪像を作るのの申し込みってここで良いんですかね?」

「はい、こちらで受け付けておりますよ。ご参加くださるんですか!」

 お兄さんは笑顔でそう答えた次の瞬間、カウンターの上には書類一式が取り出されていた。早えなおい。

「こちらが雪まつりの参加申込書になります。ではご説明させていただきますね」

 満面の笑みのお兄さんだけでなく、何故か周りの人達までが俺達に大注目してるよ。

「は、はあ……お願いします」

 若干引きつつも、とりあえず笑顔でそう答える。

「雪まつりの参加は、雪像の台の大きさに応じて参加費が異なります、大中小の三つのランクがあります。詳しくはこちらのリストをご確認ください。個人、もしくは複数人での参加も可能です。複数人数でのご参加の場合は、代表者名とグループ名をこちらに記入してください」

 嬉々として説明してくれる内容を聞きながら、ガンスさんは降誕祭って言ってたけど、やっぱり雪まつりって呼ばれてるんだ。なんて内心で密かに感心する俺だったよ。

 だけど聞いていると、要するに年末年始に行われるお祭り全体を降誕祭と呼び、雪像作りはその中で行われる小イベント。って位置づけみたいだ。

 だけどこっちの人気が高くなってて、今では雪像作りは雪まつりと呼ばれていて皆に親しまれています。って感じなんだってさ。成る程成る程。



 苦笑いしつつ、書類を受け取った俺は背後で見ているハスフェル達を振り返った。

「なあ、グループ名は何にする?」

「ううん、何が良いかねえ?」

「じゃあ、俺達は一家で申し込みをしますから、ケンさん達はそっちでグループを作ってくださいよ」

「いいよな。これも一度参加してみたかったんだよ」

 一緒に並んで待っているアーケル君の言葉に、カルン君が嬉しそうにうんうんと頷いている。

 隣ではリナさん達も嬉しそうに拍手をしているよ。

「いいですね。それじゃあそうしましょう。ランドルさんはこっちチームな」

 俺がそう答えると、笑ったランドルさんはオンハルトの爺さんの隣に並ぶ。

「チーム脚線美再びだな」

 そう言って笑ったオンハルトの爺さんと手を叩き合ってる。

「ああそっか。もうこれでいいんじゃね? グループ名は、愉快な仲間達でさ。ハンプールでは俺とクーヘンのチーム名だけど、ここはバイゼンだし別に構わないよな?」

「ああ、確かにそれが一番良さそうだな。お前さえ構わないなら俺はそれでいいと思うぞ」

「異議な〜し!」

「異議な〜し!」

「異議な〜し!」

 笑ったハスフェルの言葉に、笑顔で右手を上げたギイとオンハルトの爺さんが続き、ランドルさんもそれを見て笑いながら右手を上げて大きく頷いてる。

「あはは、了解。じゃあもうそれで行こう」

 俺も笑って頷き、手にしていた書類を書き始める。

「ええと、代表者って俺で……いいんだな。はいはい」

 揃って頷く四人を見て、苦笑いしつつ代表者欄に俺の名前を書き、必要事項を記入していく。

 気づけば隣のカウンターで、アルデアさんが同じように参加申込書に記入していたよ。なるほど、あっちはアルデアさんが代表者役な訳か。

「ええと、グループ名は……同じもつまらないし、愉快な仲間達パート2、でどうだ?」

「あはは、確かにパート2だな。じゃあそれで行こう」

 笑った四人が揃って拍手をしてくれたので、愉快な仲間達パート2にグループ名は決定した。

 それでリストを確認して、複数人数でのおすすめなのだと書かれた金貨一枚の一番高いランクを申し込んだよ。一応確認したら、リナさん一家もそのランクで申し込んだみたいだ。



「じゃあ、これでお願いします」

 一応一通り確認してから参加費を添えて記入した書類を渡す。

「はい、では確認いたしますので、少々お待ちください」

 参加費ごと受け取ったお兄さんは、笑顔でそう言うと一通りの確認を終えると書類を持って下がってしまった。

 見ていると、別の人に書類を渡してからまた別の書類を一枚だけ持って戻って来た。

「では、こちらが台の引換券になります。外で行っておりますので、そちらでこれを渡してください。展示場所はこちらの地図をご確認ください。雪像の移動は基本的に自己責任となります。移動の際の馬の貸し出しは行なっておりますが、ケンさんには必要ありませんね」

「あはは、そうですね。それは自力でなんとかします」

 苦笑いしたお兄さんの言葉に、俺も笑って頷いたよ。

「って事で、参加申し込み終了だ。それじゃあその、台とやらを受け取りに行こうじゃないか!」

 振り返ってハスフェルと手を叩き合った俺は、そう言って立ち上がり嬉々として外へ出て行ったのだった。



 いやあ、きちんとサイズを確認すればよかったよ。まさかあんなにデカいなんてさ……。

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