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キッチン発見!

「そろそろ夕食なんだけどなあ……動きたくないよお……」

「そう、ですよ、ねえ……」

 小さくそう呟いて気持ち良く眠りの国へ墜落して行った俺達は、結局そのまま全員揃って熟睡してしまい、腹を減らしたハスフェル達に起こされて目を覚ましたのは、かなり遅い時間になってからの事だった。

 いやあ、本当に炬燵って危険だよなあ……。



 多分俺だけだったら、間違いなくそのまま朝まで寝ていたと思うんだけど、大食漢のハスフェル達は緊急事態でも無いのに夕食抜きは我慢ならなかったらしい。

 なんとか一大決心をして起き上がった俺は、大きな欠伸をしてから諦めのため息を吐いて炬燵から抜け出した。

「ううん、だけどこの部屋で料理はしたくないなあ。じゃあ、作り置きでも良いかな?」

 どうしようか考えつつ、和室から出て室内用に用意してあったスリッパを履く。

 それから今の俺の部屋になってる無駄に絢爛豪華な当主の部屋を改めて見渡してちょっと笑ったよ。まあ、この過剰装飾も、一冬過ごせばそのうち見慣れるだろう……多分。

「ええと、和室ではあまり料理はしたくないけど、そうなるとどこで料理をするかねえ。そう言えば、こっちに続きの部屋があるんだって聞いたけど、どうなってるんだ?」

 エーベルバッハさんから、一通りの部屋の説明を聞いた時に教えてもらったのを思い出して見に行ってみる。

 そうだよ。驚いた事に、この部屋は今いる一番広い部屋を真ん中にして、風呂場を含む合計四つもの部屋が扉同士で繋がっていて、それが全部で俺の部屋扱いらしい。

 もちろん一通りの部屋の掃除はしてもらってあるので、何があるのかと思って見に行ってみて納得したよ。



 まず一番近くにあった扉の部屋は、メインの部屋に比べたら小さいと思ったけど、冷静に見たら多分二十畳くらいは余裕でありそうな部屋だった。うん、これは全然狭くないよな。ちょっと比較対象が大きすぎて感覚がおかしくなってるぞ。

 ちなみにその部屋の突き当たり奥の壁面には、少し小さいけど見慣れたいつもの水場と、立派な厨房が備え付けられていた。水回りを一新した際にどうやらここも一緒に綺麗にしてくれたみたいだ。

 ここには全部で四つのコンロが備え付けられていて、その横には俺の背丈よりも大きな冷蔵庫らしきものが複数台置かれているし、食器棚と思しき棚も、かなり大きめだ。調理台もちょっとした店の調理台なんかよりも広くて使いやすそうだ。

「そっか、この部屋は恐らくだけど当主に仕える執事とかメイドさんとかが控えている裏方用の部屋っぽいな。だからお茶や簡単な料理くらいはここで出来るように小さいけどちゃんとした厨房が備え付けられてるわけか。ここでなら肉を焼いたり、ちょっと作り置きを温める程度なら充分使えるじゃんか。よし、普段の食事の準備くらいなら余裕でここで出来るな。おおい、一応掃除はしてくれてあるけど、水回りを中心に冷蔵庫や戸棚の中まで一通り綺麗にしておいてくれるか」

 一通り見て周り、スライム達にお願いして念の為一通り掃除しておいてもらう。

 コンロのジェムは空なのを確認してブラウングラスホッパーのジェムを入れておく。それから冷蔵庫にはジェムと一緒に氷も入るだけ作ってしっかり入れておいた。

「ご主人、水回り全部お掃除終わりました〜〜〜!」

「水槽も配管も綺麗にしたよ〜〜〜!」

「コンロのお掃除終わりました〜〜〜!」

「オーブンも綺麗にしたよ。ここにもジェムを入れてくださ〜〜い!」

「戸棚のお掃除全部終わりました〜〜〜!」

「備え付けのミキサーと置いてあった調理道具も全部綺麗にしたよ〜〜〜!」

 次々に得意げに報告してくれるスライム達を順番に撫でてやりつつ、熟成肉の塊を取りだす。

「引っ越し祝いなんだから、やっぱりここは肉を焼かないとな。おおい、夕食はステーキでいいよな?」

「はあい、それでお願いしま〜〜す!」

 和室から綺麗に全員の返事が重なって返ってくる。仲良しか。



 サクラに入ってもらった鞄を持って一旦部屋に戻り、中央にどどんと置かれている巨大なテーブルの上に適当に作り置きの料理を取り出していく。パンを色々、それからお櫃に入ったご飯とおにぎりも色々と並べたお皿を取り出しておく。お皿やカトラリーも適当に取り出して並べておけば準備完了だ。あとは各自で好きに用意してくれ。

「じゃあ、誰か肉を焼くのを手伝ってくれるか」

 キッチンへ戻りながらそう頼むと、いつものごとくギイとアーケル君が来てくれたので、ハイランドチキンの胸肉の塊も取り出して一緒に焼く事にした。

 それぞれ分厚く切り、しっかりと肉用スパイスを振りかけてから順番にフライパンで焼いていく。

 ギイはステーキ、アーケル君はいつものハイランドチキン担当だ。

 それにしても、アーケル君は小柄とはいえ、コンロの前に三人並んでても窮屈じゃないんだから、ここの厨房だって充分広いよな。

 密かに感心しつつ、そろそろいい感じに焼けてきたステーキをトングで掴んでひっくり返したのだった。

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― 新着の感想 ―
よほどの大貴族さまの別荘(別邸!?)だったのでしょうね。
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