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新たなるダンジョンの出現!

「さて、それではここの最大の売りである、庭にある鉱山跡へ参りましょうか」

 にんまりと笑ったヴァイトンさんの言葉に、俺は悲鳴を、ハスフェル達は歓喜の叫びを上げたのだった。

「うう、すっかり忘れてたけど、確かにそんな事言ってたよなあ……庭に、ダンジョン付きの家……」

 もうこれ以上ないくらいの大きなため息を吐く俺の背中を、ハスフェル達が笑って叩く。

 お前ら無邪気に喜んでるけどさ。きっといままでのパターンからいくと、とんでもないジェムモンスターとかが出るんだぞ。絶対王者とか、絶対王者とかさ!

 本気でビビる俺を置いて、ハスフェル達は嬉々として外へ出て行く。

「待ってくれって。俺を置いて行くなよ」

 苦笑いしつつ、仕方がないのでハスフェル達を追いかけて俺も外に出た。



「あはは、お前ら絶対聞こえてただろう」

 外に出た俺は、何故か庭に全員集合して整列して待ち構えている従魔達を見て、思わずそう言って遠慮なく吹き出したよ。

「だって、あそこの気配は気になってたんですけど、鍵が閉まっていて入れなかったんですよ。絶対今日は開けてくれるんじゃあないかと思って、楽しみにしていたんですからね!」

 尻尾扇風機状態のマックスに嬉々としてそう言われて、俺はもう笑いが止まらない。

 マックスだけではなく、従魔達全員が、もう待ちきれないとばかりに張り切りまくっているみたいだ。

「おやおや、従魔達もやる気満々のようですね。ですが気を付けてください。前回ここを開けたのはもう十年は前なんですが、その時点で既にダンジョン化している事が確認されていましたからね」

 ヴァイトンさん、にっこりと笑いながらそんな恐ろしい事を嬉々として言わないでください。そしてそこ! 喜んでんじゃねえよ!

 隣で、ダンジョン化が確認されたと聞いて大喜びしているハスフェル達に脳内でツッコミを入れつつ、俺は色々と諦めのため息を吐いた。まあ、もう買っちゃってるんだから今更何を言っても無駄だよな。

「それで、何処にあるんですか? そのダンジョンの入り口って」

 だだっ広い正面玄関前の庭には、それらしいものは無かったように思う。首を傾げながらそう尋ねると、入り口は裏庭側にあるのだと言われて素直について行った。

 途中、かなり雪が積もっている部分があり、俺達は全員従魔達に乗せてもらって進んでいった。ちなみにエーベルバッハさんとアードラーさんは狼コンビに乗せてもらい、ヴァイトンさんは大型犬より少し大きくなったセーブルに乗せてもらってご機嫌だったよ。



 ちなみに、蛇のセルパンとイグアナコンビは寒いのが苦手だったらしく、セルパンはニニの首輪の上側部分に這い上がって、イグアナコンビと一緒に三匹揃ってニニの背中にしがみついたままくっつきあって固まって暖をとっていたらしい。

 なんだ、外が嫌なら言ってくれれば一緒に家の中に入れてやったのに。

 って事で鱗のある子達は、冬の間は家の中でのんびり過ごしてもらう事に決定したよ。構わないから、こたつの中でも暖房器具の前でも好きなところで好きなだけ温まってなさい。まあ、今は一緒に行くけどね。



「うわあ、ここか。いかにもな入口じゃんか!」

 到着したそこは、大きな倉庫のようになっていて、巨大な鉄の扉にこれまた巨大な錠前が取り付けられていたよ。

「ほら、これが扉の鍵だ。どうする? 開けてみるかね?」

 鍵を受け取りハスフェル達を振り返る。

「ええと、どうする? 一度入ってみるくらいなら構わないけど、いきなり奥までは勘弁してくれよな」

 鍵を見せながらハスフェル達を振り返る。

「ちなみに、中の地図とかって無いんですか?」

 元が鉱山なら、絶対に地図とかありそう。そう思ってヴァイトンさん達を振り返る。

「おう、勿論あるよ。ほらこれだ。ただし、これは鉱山として使っていた最後の時点の地図だから、崩落やなんらかの異変があって道が変わっている可能性はあるから、完全な地図じゃあないぞ。あくまでも参考程度に考えておいてくれ」

「それと、入り口はここだけ?」

 坑道なら、入口が一箇所なんて事はなさそうだ。

「ああ、以前は複数の出入り口があったが、廃坑になった際に他は埋められてしまって今はここだけだよ。一応元出入り口だった場所は印が入ってるよ」

 そう言って、渡してくれた地図を開いて幾つかの場所を指差す。

 確かに言われてみれば、出入り口っぽい箇所にばつ印がしてある。これが埋めた跡地って事だな。

「それと、この鉱山全体がこの敷地内に入ってるんですか?」

 地下の所有権がどうなってるのか分からなくてそう尋ねると、笑って当然だろうと言われた。要するに、地下の権利も全部俺達のものらしい。それなら遠慮なく探検出来る訳だな。まあ俺は……程々にしておくよ。



 閉まったままの鉄の扉の前では、従魔達が並んで俺を見つめている。その目は「どうして開けてくれないの?」と言わんばかりだ。まるで散歩に行く前みたいだよ。

「ええと、このまま従魔達を入れても大丈夫か?」

 心配になってそう尋ねると、ハスフェル達が苦笑いしつつ頷いた。

「どうやら、下調べは彼らがやってくれるらしいよ。危険な箇所や、崩落しそうな箇所があれば補強が必要だしな。任せて構わないから入れてやれ」

 ニニとカッツェの横に、ベリー達の揺らぎが見えて、俺は吹き出しそうになるのを必死で我慢しつつ頷いて巨大な錠前に鍵を差し込んだ。

 ゆっくりと回すと、軋んだような音を立てて鍵が開いた。

「ほら、じゃあ行って来てくれよな。ただし怪我には絶対に注意するんだぞ」

「はあい! じゃあ行ってきますね!」

 従魔達の声が揃い、あっという間に全員が扉の中へ駆け込んで行ってしまった。

「じゃあ、せっかくだから俺達も浅いところだけでも見て回ってみるか」

 にんまりと笑ったハスフェルの言葉に、何故だかエーベルバッハさん達までが嬉々として返事をして、一瞬で武器を取り出して見せる。

 結局俺も一緒に全員揃って、いきなり初見のダンジョンに潜る事になったのだった。



 おかしい。今日はこたつで温まって風呂に入ってのんびりする予定だったのに、どうして俺はダンジョンなんかに入ってるんだよ! 解せぬ! 解せぬぞ〜〜〜〜〜〜!

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