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試作品のお披露目!

「まあ、組み立てはこんなもんだ。どうだ?」

 振り返って、二人揃ってドヤ顔になるエーベルバッハさんとヴァイトンさん。

 俺も、もうこれ以上ないくらいの笑顔で両手でサムズアップしたよ。

「ほう、これまた奇妙な形の……装飾用のガラス細工か?」

「いや、さっきこの土台の部分にジェムを入れていたから、何か動くんだろうさ。分からんな、これはいったい何なんだ?」

 ハスフェルとギイが、揃って首を傾げているし、その後ろで興味津々で覗き込んでいるランドルさんとリナさん一家も全くわかっていないみたいだ。

「これはチョコレートフォンデュ用のタワーだよ。題してフォンデュタワー。まあそのまんまなネーミングだけどな」

 笑った俺の言葉に、ハスフェルとギイが不思議そうに顔を見合わせる。

「チョコレートフォンデュ?」

「つまり、空樽亭で食べた、チーズフォンデュのチョコレート版って事か?」

 さすがは理解の早いギイの言葉に、俺は満面の笑みでサムズアップする。

「この、土台のトレーの部分に溶かしたチョコレートを入れるんだ。それで稼働させると、この柱部分の螺旋状になったのがクルクル回ってチョコレートを上に押し上げる仕組みだよ。それで押し上げられたチョコレートは、このガラスのお皿から下に流れ落ちるから、ここで具に流れてくるチョコレートを付けて食べるんだよ。ソースもチョコレートだけじゃなくて、キャラメルや甘いミルクみたいなソースも作ったら色々使えるぞ」

 傘の下にこれもたくさん作ってくれたフォンデュフォークを持って、食べる振りをして見せる。

 納得したらしいハスフェルとギイが大きく頷くのと、後ろにいる甘党達の悲鳴が響くのはほぼ同時だったよ。

「ちょっと待ってください! 何ですかその、甘いもの好きの夢を具現化したような道具は!」

「食べてみたい! 今すぐ食べてみたい! ケンさん、お願いしますから今すぐ作ってください!」

 ランドルさんの笑った悲鳴と、アーケル君の欲望にまみれた雄叫びが部屋に響き、ギルドマスター二人を含む部屋にいた全員が同時に吹き出して大爆笑になったのだった。



「はあ、笑い過ぎて涙が出るよ。だけど冗談抜きで試作なんだから試しに稼働させてみないとな。実際どうなんですか?」

 すると、エーベルバッハさんは小走りに台所の水場へ行って、上の段の水槽から、元々ここに置いてあった水汲み用のピッチャーに水を入れて持ってきた。

「動かす時は、先にソースをこの土台部分のお皿に、この線までは必ず入れておく事。何度かやってみたが、ソースが少ないと上手く上がらないんだ」

 エーベルバッハさんの言葉にうんうんと頷く。

 ピッチャーの水を言った通りにお皿の縁に刻まれた線の上まで入れる。

「それで、このスイッチを押せばいい……押してみるか?」

 今にも俺が、スイッチを押しそうになっているのを見て、自分でスイッチを押しかけたエーベルバッハさんが譲ってくれた。ありがとう、良い人。

「これを押せばいいんだな」

 金属製の土台部分の横に、直径2センチくらいの丸いボタン状のスイッチが飛び出している。

「それ、ポチッとな」

 何となくそう呟いて、ゆっくりとスイッチを押す。

 ごく小さなモーターのような音がして、螺旋状の柱部分がゆっくりと回転を始めた。

「おお、流れる流れる!」

 押し上げられた水が、三段になった傘の上部に綺麗に広がりそのまま下に流れて落ちる。

 しばらく待つと、一番上の段まで水が上がって見事な噴水が出来上がった。

「おお、これは素晴らしい!」

 感心したようなオンハルトの爺さんの呟きに全員揃って大きく頷き、一斉に拍手が起こる。

 そして、またしてもドヤ顔になるエーベルバッハさんとヴァイトンさん。そして一緒になってドヤ顔になる俺。

「それでケンさん。これを使って実際にチョコレートフォンデュタワーを作ってみようと思うんだがどうだね?」

 満面の笑みのエーベルバッハさんの言葉に、俺はもちろん満面の笑みで頷いたよ。



 よし、じゃあ今からチョコレートソースと具材の準備をして、チョコレートフォンデュ祭りをいこうじゃないか。

 これだけの大人数でやれば、きっと楽しいと思うぞ。

 一瞬で鞄に入ってくれたサクラから、俺は、まずはブラックチョコレートの塊と、まだまだ増えてるログインボーナスチョコの入った袋を取り出したのだった。

 それを見た全員から、拍手喝采を浴びたのは当然だよな。

 待ってろよ。すぐに作ってやるからな!

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