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雪蛍狩りと今後の予定

「ううん、いつもと違って目標物小さいと切りにくいぞ〜〜〜!」

 力一杯剣を振り回していてちょっと疲れて来た俺は、大声でそう叫びながら目の前に飛んできた小さな蛍を狙って何とか上手く叩き切った。

「よっしゃあ〜〜! 色付きジェムゲット〜〜〜!」

 弾けるようにして転がった色付きジェムを見てそう叫び、跳ね飛んできたアルファがジェムを集めるのを見てから、俺は一つ溜息を吐いてから周りを見回した。



 確かにハスフェルが言っていた通りで、出現箇所はランダムで出現数も一定ではない。

 俺は最初はかなりたくさん出たんだけど、そのあとはまばらに何度か出てしばらく出現が無く、また先ほどから時折まとめて出てくる程度だ。かなり波があるみたいで微妙に疲れる。

 今回の出現で一番の大当たりだったのがリナさんファミリーのいた場所だったらしく、大量に何度も湧き出してくる雪蛍の塊を、三兄弟が大喜びで交代で魔法を使ってまとめて次々に駆逐していた。

「しかし、あのアーケル君の過剰重力って冗談抜きで凄えよな。出て来たジェムモンスター全部まとめて一発だからな」

 今もまとめて出てきた光の塊を、一瞬で丸ごと全部地面に叩きつけている。

 本当に、一網打尽って言葉はこのために有るんじゃないかって思えるくらいに一方的だよ。



「それに比べて、今回はこっちはハズレみたいだなっと」

 またパラパラと出てきた光の跡を追って剣を振るう。

「ああ! なんか落ちたぞ!」

 まとめて何匹か集まっているのを叩き切った時、光る部分が転がるのが見えて思わずそう叫ぶ。自分での初めての素材確保だ。

「へえ、以前見たファイヤーフライよりはるかに小さいよ。だけど……光はこっちの方が綺麗だな」

 手に取って感心したようにそう呟いてるとそのまま白い光は消えてしまった。

「ああ、前もこんなだったな。へえ、でも綺麗だったな」

 小さくそう呟き、来てくれたアルファに素材を渡す。

「あっちはどんな具合だ?」

 足場が悪い岩場の方を振り返ると、アルファが得意げにポヨンと顔の辺りまで高く跳ねた。

「えっとね、すっごくすっごく沢山出て皆で張り切って集めているみたいだね。素材もかなり出てるみたいだから、ご主人のお役に立てるって言って、皆大喜びしてま〜す!」

「あはは、そりゃあ頼もしいな。うちの従魔達はすごいな」

 笑ってそう言い、顔の前に、また飛んで来た小さな雪蛍を叩き切った。



 結局、夜が明けて空が白み始めるまでひたすら剣を振るい続け、もう本気で疲れてへたり込みそうになった頃にようやく出現が止まった。

「はあはあ……まあ、やっと、一面クリアー、かな? いや、この場合は、ワンセットクリアーか?」

 笑ってそう呟きながら剣を地面に突き立てて寄りかかり、上がった息を何とか整える。

「夜が明けたらもう雪蛍の出現は止まるからな。今日のところはこれで終わりだよ」

 鞭を一瞬で収納したハスフェルの言葉に、俺は安堵のため息を吐いてその場に座り込んだ。

「さすがに一晩中は疲れたよ。どうする? 一旦街へ戻るのか?」

 近いとは聞いていたが、それなりにここへ来るまでに時間がかかっている。街まで戻って、また夜にここへ戻ってくるのも大変そうだ。

「ふむ、どうするかなあ。そろそろ初雪が降る頃だろうし、出来れば今のうちにもう少し集めておきたいんだがな」

「それなら、少し場所を変えて安全なところでベースキャンプを張るか。念の為、従魔達に見張りを頼んで交代で昼のうちに狩りに行ってもらえばいい。その間に俺達は夜に備えて食事をしてから眠っておけば良いんじゃないか?」

 ハスフェルの呟きにギイがそう言って来た方向を指差す。

「ああ、確かに雪蛍のジェムや素材は貴重ですから、俺も出来ればもう少し集めておきたいですね」

 ランドルさんも、周りを見ながらそう言って笑っている。彼もかなりたくさん集めていたけど、バッカスさんの店に納品するのなら少しでも多くあった方が良いもんな。何しろ期間限定のレアなジェムモンスターなんだし。

「私達もそれが良いと思います」

 手を挙げたリナさんの言葉に、アルデアさんと三兄弟も揃って頷いている。

「それじゃあそうしよう。では移動するか。少し戻って危険地帯から外れた草原に水場が幾つかあるからそこにベースキャンプを張ろう。案内するよ」

 ギイの言葉に皆笑顔で頷き、従魔達と合流してベースキャンプを張る場所へ移動する事にした。



「ご主人! ジェムも素材もたくさん集めましたから使ってくださいね!」

「そうよ! 皆で頑張ったんだからね!」

「ね〜〜!」

 マックスが真っ先に俺に飛びついて来て、尻尾扇風機状態で嬉々として報告してくれる。

 その後ろではニニとカッツェと一緒に巨大化した猫族軍団、それからマックスより少し小さいくらいになったセーブルが揃って得意げに胸を張っていた。狼コンビをはじめ他の子達も皆嬉しそうに俺を見ている。

「そっか、ありがとうな。ええと、このまま少し戻ったところでベースキャンプを張る事になったんだよ。交代で狩りに行ってくれていいから、残りの子達には俺達が休んでいる間の見張りをお願いしたいんだけど、いいかな」

「もちろんです、お任せください!」

 嬉々とした従魔達の返事が重なる。

「そっか、ありがとうな、頼りにしてるぞ〜〜!」

 すり寄ってくる巨大化したままの猫族軍団を順番に撫でてやり、いつもの大きさに戻ったお空部隊も順番におにぎりにしてやる。それから他の子達もおにぎりにしたり撫でたり揉んだりしてしばしのスキンシップを楽しんだ。

 見るとハスフェル達もそれぞれの従魔達と顔を寄せて仲良くしているみたいだから、これも大事な時間だよな。

 って事で、それぞれ思いっきり従魔達との時間を楽しみ、それからすっかり明けて明るくなった空の下、俺達は一旦ここを離れて移動したのだった。



 まずは初日の狩り、お疲れさまでした〜〜!

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