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驚きと笑顔と一緒の夕食

「ええ! ありえない! アーケルが魔獣使い!」

「メタルスライムだけでもどれだけいるんだよ! しかも、ピンクジャンパーはいざ知らず、リンクスにグリーンフォックスに、オーロライーグレットまで!」

「有り得ねえ! 絶対有り得ねえって!」

 最後は二人揃って手を取り合って、何故か大笑いしながら叫んでいる。

「良いだろう。夜はこいつらとくっついて一緒に寝てるんだぞ。どれだけふわふわで幸せか!」

「何それ羨まし過ぎる!」

「ちょっと俺も混ぜてくれ〜〜〜!」

 鼻の穴を膨らませて自慢げに胸を張るアーケル君と、顔を覆って笑いながら悲鳴をあげるオリゴー君とカルン君。

 彼らの実年齢は知らないけど、ああして無邪気に戯れあってるのを見ると、まんま中学生か高校生くらいに見えるよ。

「ええ、それで一体全体どういう展開でこうなったわけだよ」

「ちょっと一から詳しく聞かせてくれよな!」

 二人が揃って満面の笑みで左右からアーケル君を捕まえる。

「おう、全部話してやるよ。めっちゃ楽しかったんだからな!」

 ドヤ顔のアーケル君に二人が笑って拍手をしていた。



「それじゃあ、夕食にするからよかったら二人も一緒に食べようよ。二人が従魔達をテイムした時は俺達も一緒だったから、詳しい話も出来るしね。ああ、その前に仲間を紹介しないと」

 笑ってそう言い、それから改めて二人にハスフェル達とランドルさんを紹介した。

「ふわあ、すっごい筋肉」

「これは闘神の化身って言われるわけだよ」

 ハスフェルとギイの並んだ姿を見て、二人は子供みたいにキラッキラに目を輝かせていた。

 小柄な彼らからすれば、ハスフェルやギイは思いっきり見上げないと顔が見えないくらいに体格に差がある。並ぶともう完全に親子。

 ランドルさんはそこまで大柄ではないけど充分に大きな男性だから、こちらも並ぶとやっぱり大人と子供。

 握手をしながら、それぞれ面白そうにしていたよ。



「あの、ところでケンさんの従魔って、一体どれだけいるんですか!」

 当然ハスフェル達を紹介する時に、小さくなった彼らの従魔達も一緒に紹介していたんだけど、部屋の奥に固まって寛いでいる俺の従魔達の数を見て、二人は呆気に取られたようにそう言って固まっている。

「うわあ、最強の魔獣使いって噂は伊達じゃなかったな」

「でかいのだけでもどんだけいるんだよ。あのハウンドが早駆け祭りに出た時の従魔だろう?」

「だよな。しかも、あの隣! でかいリンクスが二頭もいるよな」

「うわあ、あれってグリズリーじゃね? しかもあの色ってもしかしてオーロラ種?」

「怖っ! 本当に一体どれだけいるんだよ」

 半ば呆然とそんな事を言われて、苦笑いした俺は、まずは食事の前に従魔達を二人に紹介して行った。

 マックスを見て、二人は本当に子供みたいにはしゃいでたよ。マックスも満更ではなかったみたいでドヤ顔で胸を張るのを見て、俺達はもうずっと笑っていた。




「ほら、座った座った、シチューが冷めちゃったじゃないか」

 ようやく一通りの紹介が終わる頃にはかなりの時間が経っていて、温めたシチューがほぼ冷めてしまってたよ。

 苦笑いして、もう一度赤ワイン煮とロールキャベツのクリームシチューの入った鍋の乗ったコンロに火をつけた俺は、焦がさないように弱火で温め直しながら総人数を数えて少し考えて、追加でトンカツとハイランドチキンカツ、それからグラスランドチキンカツも取り出して一緒に並べておき、それから追加で、おにぎり盛り合わせとパンの盛り合わせたのも並べておいたよ。

「ええと、シチューは二種類あるからお好きな方をどうぞ。基本的に自分で好きなだけ取ってもらうスタイルだから、お皿はこれで好きなだけどうぞ。ただし残さないようにな」

 ハスフェル達やリナさん達が当然のようにお皿を手に好きに料理を取っているのを見て、戸惑っていた二人も満面の笑みになる。

「では、ご一緒させていただきます!」

 綺麗に二人の声が重なり、嬉しそうにお皿を持ってアーケル君の横に並んで早速カツの取り合いを始めた。

 好きに食っていいけど、野菜も食えよな。

 笑った俺も、お皿を手に争奪戦に参加したのだった。



「よし、両方食べたいから二色盛りだ」

 大きめのシチュー皿に、少し考えて赤ワイン煮とクリームシチューを半分ずつよそった。

 綺麗に真ん中で二色に分かれたそれを見て、全員が同じ事したのには笑っちゃったよ。

 別のお皿におからサラダと付け合わせのトマトと温野菜を盛り合わせ、シャムエル様の分も考えてハイランドチキンカツも大きめのを一つ取っておく。

 それからお茶碗にご飯を山盛りによそる。シチューの時はパンでも良いけど、やっぱりご飯で食べるのが好きなんだよな。

 そのままいつもの簡易祭壇に自分の分を一通り並べる。それから冷えたビールもグラスと一緒に並べておく。絶対今日は飲み会になるだろうからさ。

「夕食は、グラスランドブラウンブルの赤ワイン煮とロールキャベツのクリームシチューの二色盛りです。ハイランドチキンカツも一緒にどうぞ。後でデザートもあるからお楽しみに」

 小さく笑って、手を合わせていつものように祈る。

 収めの手が嬉しそうに俺を何度も撫でてから、それぞれの料理を撫でて持ち上げる振りをしてから消えていった。



「お待たせ」

 待っていてくれた皆にそう言い、急いでお皿を運んで席に戻る。

「では、いただきます」

 俺の言葉に、皆が一緒に手を合わせてくれた。二人もアーケル君から聞いていたみたいで神妙な顔で一緒に手を合わせてくれた。

 最近ではリナさん達やランドルさんも、食べる時に一緒にいただきますをしてくれる。

 そんなちょっとした彼らの気遣いが嬉しくなる俺だったよ。

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