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嬉しい報告と歓喜の悲鳴

「はああ? なんで兄貴達がケンさんの部屋にいるんだよ〜!」

 本気で驚いているアーケル君の叫び声に、俺は思わず吹き出したよ。

 それから慌ててコンロの火を止めてからアーケル君を振り返った。

「おかえり、彼らとは偶然街で会ってね。それで話しをしたらやっぱりリナさんの身内だって言うからお昼をご一緒させてもらったんだ。それでそろそろ帰って来るよって話しを今していたところ」

「ああ、そっか。俺達が揃ってバイゼンで冬を越すってギルドに伝言をしたから、もしかしてそれを聞いて来てくれたのか!」

「そうだよ! しかも何だよ! 俺達を驚かせる事って!」

「まさかとは思うけど、お前に彼女が出来たなんて言うんじゃないだろうな!」

 割と本気の叫ぶ声に、リナさんとアルデアさんが揃って吹き出し、遅れてハスフェル達とランドルさんも吹き出す。

「オリゴー、それからカルンも。聞いてくれるかい」

 笑顔で進み出たリナさんが、誇らしげに胸を張る。

「私の従魔達よ。この子はリンクスのルル。この子がピンクジャンパーのテネル。それから私を乗せてくれているグリーンフォックスのララ。オーロライーグレットのベルスよ。それからスライム達、名前は……」

 リナさんのすぐ後ろに大人しく座っていた巨大なリンクスの首元を叩いて、それから得意げに順番に従魔達を紹介していくリナさんの言葉に、オリゴー君とカルン君の悲鳴が重なる。

「ええ、こいつらが母さんの従魔だって?」

「って事は……魔獣使い復活?」

「しかもオーロライーグレット!」

 最後は二人の声が揃い、リナさんが笑顔で大きく頷くのを見た二人は、またしても揃って悲鳴を上げた。

 だけどそれは歓喜の叫び声で、二人は揃ってリナさんの左右から抱きつくと、いきなり辺りをはばからずに声を上げて泣き出したのだ。

「よかったな!」

「母さん、おめでとう!」

「創造神様からの祝福まであるなんて!」

「おめでとう母さん!」

 泣きながら何度も何度もそう言って、また泣く。

「ありがとうね。心配かけてごめんね」

 抱きつかれたリナさんも何度もそう言いながら号泣している。そして交互に二人を抱きしめ返しては、またお礼を言っては何度も二人の頬にキスを贈っていた。

 そして、やっぱりそれを見て揃って手を取り合って号泣しているアーケル君とアルデアさん。

 草原エルフは、やっぱり涙もろい人達だったみたいです。



「ああ成る程。例のお告げの一件を知らない彼らの場合、リナさんがイーグレットをテイムしているのを見たら、創造神様からの祝福になるわけか」

 納得した俺の呟きに、ハスフェル達とランドルさんも苦笑いして頷いていたよ。まあ、あのお告げを聞いた彼らがどう反応するのかもちょと楽しみだよな。




 しばらくしてようやく落ち着いた彼らは、お互いに照れたみたいに笑い合って、それから揃って俺を振り返った。

「ケンさんのおかげで、私は自信を取り戻す事が出来たんだよ。彼は私の大恩人なんだ」

 リナさんの言葉に二人が大きく頷く。

「母さんが世話になりました! ありがとうございます!」

「母さんを救ってくださって本当にありがとうございます! そっか、俺達を驚かせるって言ってたのは、これの事だったんですね」

「そりゃあケンさんもご存知のはずだ」

 嬉しそうにそう言って顔を見合わせて笑い合ってる二人の肩を、アーケル君がにんまりと笑って叩く。

「あのさあ、実はもう一つ報告しなきゃならない大事な事があるんだよな」

「なんだよ」

「まさか本当に彼女が出来たなんて言うんじゃないだろうな」

 揃って不審そうにアーケル君を見る。どうしてもそこは気になるところなわけね。

 完全に観客状態で眺めていると、アーケル君が右肩に座っていたピンクジャンパーを抱き上げて彼らに見せた。



 なるほど、スライムと一緒に肩に乗せてるのか。あれなら落っこちる心配は無いし、頬にくっついてさぞかしもふもふを堪能出来るだろう。良いこと聞いた、俺もやってみよう。



「ほら。これが俺の従魔。名前はホッパーだよ」

「へえ、母さんにテイムしてもらったのか」

「うわあ可愛い。これはたまらないぞ」

 嬉しそうにそう言って、手を伸ばしてホッパーを撫でる二人。

「それからこの子がグリーンフォックスのコッティー、こいつは騎獣として俺を乗せてくれてるよ。それからこの子がリンクスのパルフェ。オーロライーグレットのサンクトゥス。サンクって呼んでる。それからスライム達、名前は……」

 こちらも順番に従魔達を紹介するアーケル君を見て、無言になる二人。

「おいおい、幾ら何でもテイムしてもらい過ぎじゃあないか」

 オリゴー君の呆れたような言葉に、アーケル君が胸を張る。

「よく見ろよな。母さんのとは紋章が違うだろうが。これは俺がテイムした子達なの! 俺も魔獣使いになったんだよ! ちなみに親父の従魔達も俺が全部テイムしてやってるんだぞ!」

「ああ、全部アーケルがテイムして俺に譲ってくれた子達だよ。俺の騎獣のグリーンフォックスのビリジアン。それからこっちはオーロライーグレットのオラクルだよ。それからスライム達」

 わざわざ紋章を見せながら紹介するアルデアさんの言葉に、もう一度部屋中に二人の悲鳴が響き渡ったのだった。

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