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ごちそうさまと明日の予定

「ふああ、チョコレートパフェ最高〜!」

 もうこれ以上ないくらいの満面の笑みで、目の前に並んだパフェの中からまずはチョコレートパフェに突撃したアーケル君が歓喜の雄叫びをあげる。

 その横でリナさんとアルデアさんも、揃って満面の笑みで頷き合ってはチョコパフェ小とプリンアラモードを仲良く食べている。きっと俺達がいなければお互いに、あーん(ハート)とかやっていそうな雰囲気だ。おのれリア充め。

 しかし、ここだけ見れば美少年二人と美少女が笑顔で仲良くパフェを食べている。そのまま雑誌の表紙になりそうな光景だよ。

 全部を台無しにする、アーケル君の雄叫びさえ無ければね。



「ふおおお〜〜〜! マロンパフェも最高〜〜〜!」

 そして俺の横ではシャムエル様が、先ほどと同じ様にパフェに頭から突っ込んで、こちらも歓喜の雄叫びをあげている。それを聞いてもう笑いを堪えられない俺達。

 そう、いつぞやのキャンプの時のように、アーケル君とシャムエル様の見事にシンクロした歓喜の雄叫びを、先ほどから俺達は延々と聞かされているのだ。

「誰も取らないから、ちょっとは落ち着いて食えって」

 自分のマロンパフェ小のアイスを突っつきながら、時折こっそりシャムエル様の尻尾をもふりつつ小さな声でそう話しかける。

「何言ってるの、アイスが溶けないうちに食べないと駄目でしょうが! 忙しいんだから話しかけないで!」

 何故か叱られてしまい苦笑いした俺は、そのあとは振り回される尻尾の先をこっそり突っつきながら自分のマロンパフェを楽しんだよ。



 しかし、自分で作って言うのもなんだけど、これは良い。ただし小でも俺には多かったみたいだけどね。

 パフェって色々入ってるから味に変化があって良いし、甘露煮を入れたアイスクリームがこれまた良い。これはかなり気に入ったので、今度はこのマロンアイスに甘露煮を乗せたシンプルマロンアイスクリームも作っておいて、俺はデザートにそれを食べよう。食後にパフェは、さすがに俺はちょっと持て余し気味だ。

 って事で、シャムエル様のグラスに普通のアイスをそのまますくって入れてやる。

「良いの?じゃあ遠慮なくもらうね!」

 嬉しそうにそう言い、横に落ちてきたアイスに早速頭から突っ込んでいくシャムエル様。

「食うのは構わないけど。腹が痛くなったとか言わないでくれよな」

 苦笑いしてそう言い尻尾をこっそり突っつこうとしたけど、残念ながらもうすっかりチョコソースと生クリームと栗クリームと溶けたアイスでベタベタになってて、見る影もなくぺったんこになってたよ。

 苦笑いして頭の中の買い物リストに追加の甘露煮の購入を決定したところで、小さなため息を一つ吐いてハスフェル達を振り返って見てみる。

 こちらはマッチョな二人とオンハルトの爺さん、それからランドルさんが黙々と、しかし嬉々としてそれぞれの前に置かれたチョコレートパフェ大とマロンパフェ大を食べている真っ最中だ。

 ランドルさんは両方中サイズ、プラスプリンアラモードもある。あれを食後に全部食べられるランドルさんの胃袋もどうなってるのかちょっと怖いぞ。

「まあ、マッチョな野郎が甘いもの好きでも別に構わないよな。誰に迷惑かける訳でなし」

 笑ってそう呟き、俺も残りのマロンパフェを平らげるのに専念したのだった。



「ごちそうさまでした! ケンさん、これは王都のカフェで出してもおかしくありませんよ。いやあ素晴らしかったです」

「本当に美味しかったわ、このプリンも甘くてとても美味しかったです」

「本当に美味しかったですよ。アーケルの言う通りで、これは王都の表通りの店で出してもおかしくない出来ですよ」

「確かにそうですよね。本当にどれも美味しかったです」

 リナさん一家とランドルさんから、もう手放しの賛辞をもらい、ハスフェル達からも満面の笑みで揃ってサムズアップをもらった。

 単におしゃれなグラスを手に入れたから作ってみただけだけど、どうやら気に入ってもらえたみたいだ。

「あはは、気に入ってもらえたみたいで嬉しいよ。まだまだ在庫はあるから食べたくなったらいつでも言ってくれて良いぞ。ただし腹と相談して食べてくれよな」

 俺の言葉に全員から拍手が起こる。

「まあパフェもまたいろいろ作ってみようと思ってるからさ。気が向いたら何か新作が出るかも。こっちは期待しないで待っててくれよな」

「ええ、めっちゃ期待して待ってま〜す!」

 またしてもシンクロするアーケル君とシャムエル様の声、ちなみに今回はそれに加えてランドルさんまで叫んでたし。

「あはは、じゃあまあ乞うご期待って事で」

 誤魔化すように笑って、そのあとはのんびりとお酒を飲みながら彼らがどこへ行ってたかなんて話で盛り上がった。



「それで明日も山側の森林地帯へ行く事にしたんだけど、明日はお前も一緒にどうだ?」

 赤ワインを飲みながら鬼柚子ピールを齧るハスフェルにそう言われて、うっかり頷きそうになった俺は慌てて首を振った。

「残念だけど、明日は鉱夫飯の注文してるのを引き取りに行かないといけないんだ。だから明日も俺は留守番です。弁当は渡すから行って来てくれ」

「ああ、あれは美味かったものな。なんだそれなら仕方がない。じゃあ明日も俺達だけで行くか」

 苦笑いしつつも、鉱夫飯と聞いて引き下がるあたり、ハスフェル達もあれは気に入ってるみたいだ。

「一応、五個だけは買い置きがあるから、欲しいなら明日の弁当に先着順で渡せるぞ」

「はい!」

 その瞬間、ハスフェル達三人とランドルさん、そしてアーケル君の手が挙がる。

「ああ、負けた!」

 そう言いながら笑って手を下げるアルデアさんとリナさん。

「あはは、じゃあリナさん達にはまた別のを用意しておきますよ」

「お願いします!」

 これまた期待に満ち満ちた目でそんな事を言われてしまい、大したものは作っていないので大いに焦った俺だったよ。

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