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鍋焼きうどんとおにぎり作り

「ええと、鍋焼きうどんの具は何を入れてたっけ?」

 手にした片手鍋を見ながら考える。

「確か甘辛く炊いた薄切りの牛肉と、きつね揚げ、かまぼこもどき、ネギ、玉子、海老の天ぷらがあれば良いんだけど、肝心の大きな海老が無いんだよな。ああ、貝柱があるからこれを入れてかき揚げを作るか。あとは椎茸もどきくらいか。ううん、ふた玉は作るとしても、あいつらこれで足りるかな? いや、絶対足りないよな」

 追加で入れるとしても、あとはニンジンやほうれん草もどきで彩りを加えるくらいだろう。

「じゃあ、肉巻きおにぎりと、三色そぼろおにぎり、それから唐揚げむすびも作っといてやるか。あとは適当に惣菜を出しておいてやれば何とかなるだろう。多分」

 苦笑いして、とりあえず具はたっぷりと作っておいてやる事にする。



「サクラ、この牛肉全部薄切りにしてくれるか」

 牛ばら肉の塊を取り出してもらい、良さげなのを手に取る。

「はあい、これだね」

 そう言って、あっという間に塊の牛肉を飲み込んでサクッと薄切りにしてくれる。

「じゃあ、これは二番出汁と砂糖と醤油とみりんとお酒で甘辛く濃いめの味付けにするぞ」

 そう言って、片手鍋にやや控えめに二番出汁を入れ、薄切りの牛肉を大量投下。そこに順番に調味料をドバドバと入れていく。

「これは濃いめの味付けが良いんだよな。もうちょい醤油とみりんだな」

 途中で味を見て追加を入れてから、焦がさないように中火で鍋をゆすりながら少し汁気を飛ばしていく。

 良い加減に汁気が減ってきたところで完成。

 次の具のかき揚げの準備をする。

 と言ってもこれは以前にも作った事があるので、俺がやるのは衣に味をつけるのと油で揚げるところだけ。

「以前作ったかき揚げライスバーガーもまた作っとこう。塩ダレのやつ。あれは美味かったもんなあ」

 思い出したら食べたくなってきたので、かき揚げは大量に作っておく事にする。



 机の上に並んだスライム達が、流れ作業でかき揚げのタネを作ってくれるので、俺はせっせとひたすらかき揚げを揚げ続けた。

 予定の倍量くらいに山盛りのかき揚げができたところで、在庫の塩むすびを取り出して、肉巻きおにぎりをスライム達に手伝ってもらって大量に作り、鳥のミンチで鶏そぼろも大量に作る。炒り卵も山盛りに作っておきサヤエンドウもどきの塩茹でを刻んだところでハスフェルから念話が届いた。



『おおい、今何かしてるか?』

『おう、お疲れ。夕食の準備中だよ。今どの辺りだ?』

『ちょっと遠出してたんでな。街までまだ一刻くらいはかかりそうだよ』

 一刻ってことは大体一時間くらいだな。

『了解、もうすっかり暗くなってるから気をつけて帰ってきてくれよな』

『ああ、じゃあ夕食楽しみにしてるよ』

 笑ったハスフェル達の声が聞こえて気配が途切れる。

「一時間か。じゃあもうちょい作れるな」

 そう言いながら、まずはスライム達が巻いてくれた肉巻きおにぎりを焼いていく。

 味付けは、シンプル塩胡椒と照り焼きの二種類だ。

 それが終われば、おひつに入った炊き立てご飯を取り出して三色そぼろにぎりをせっせと握る。

 これは大きめのおにぎりの真ん中に、彩り良く三色の具を綺麗に詰めて固めに握り、仕上げに煎り胡麻を軽く振れば完成だよ。食べていたら中から具が色々と出てくるから楽しいらしい。

 唐揚げの在庫を取り出して、取り出した残りのご飯で唐揚げむすびも作れるだけ作っておく。



「よし、これで終了っと。ううん、なかなか頑張ったな。おにぎりはかなりあるからこれでしばらく大丈夫かな」

 大量のおにぎりの山を前にちょっと笑いが出る。

「いやあ、大量に作るのもすっかり慣れたよな。我ながら感心する手際の良さだよ」

 出来上がったおにぎりの山はサクラがまるっと飲み込んでくれた。

「じゃあそろそろ鍋焼きうどんの準備をするか」

 人数分のコンロを取り出し、買ってきた土鍋もどきを並べていく。

 長ネギは斜めそぎ切りにしてもらい、かまぼこもどきもスライスしておいてもらう。

「じゃあ作っていくか」

 具の準備が出来たところで、まずはたっぷりのお出汁を鍋に入れて火をつける。

 温まってきたお出汁に麺をふた玉ずつ入れていく。俺の分も、シャムエル様が食べるであろう事を考えてふた玉で作る事にしたよ。

「足りなければ、後で湯通したうどん玉を追加だな」

 苦笑いしてそう呟き、麺をゆっくりとほぐしながら白ネギときのこをここで投入。

 きつね揚げは、うどん玉を買った時に分けてもらったのがそのままあるのでそれを使う。煮立ってきたら玉子を割り入れて、その横にさっきの甘辛く煮た肉をたっぷりと入れてやる。

 かまぼこをその横に乗せて、最後にかき揚げを乗せれば完成だ。

 そのまま蓋をして、サクラに全部預かってもらう。

「火は駄目だけど、こういう熱い鍋なんかは大丈夫なんだよな。どうなってるんだろうな?」

 笑ってサクラを撫でてやり、並んだコンロは一旦片付けておく。



 ちょうど机の上が綺麗になったタイミングで、廊下から賑やかな足音が聞こえてきた。

「誰か、鍵を開けてやってくれるか」

 ちょうど扉の側にいたゼータが返事をして扉を開けてくれる。

「おかえり。夕食出来てるぞ。おう、お前らもおかえり」

 真っ先に飛びついてきたマックスとニニを受け止めて、大きな頭をわしゃわしゃと撫でてやる。

「ううん、毛皮が冷たい。もうすっかり夜は寒くなったみたいだな」

 順番に他の子達も撫でたり揉んだりして、一通りのスキンシップを楽しんでから振り返ると、そそくさと席に座っていたハスフェル達やリナさん一家それからランドルさんを見て思わず吹き出したよ。

「なんだよ、そんなに腹が減ってたのか。はいはい、じゃああったかい夕食を出してやるとするか」

 サクラを抱き上げて机に乗せた俺は、まずは鍋焼きうどんの鍋と大量のおにぎりを机に並べ始めたのだった。

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