スイーツ三昧!
「はあ、じゃあ一度作ってみるか」
ようやく笑いが収まった俺は、そう言って大きめのプリンカップを取り出した。
「この底に栗クリームを入れてカラメルソースみたいにたっぷりと塗り広げて、それからアイスを平たく全体に1センチくらい入れる。それからまた栗クリームをたっぷりと入れてアイス、栗クリームでアイス、もういっちょ栗クリームでアイス。
スプーンですくって、プリンカップにたっぷりと交互に伸ばしながら入れていく。
「それで、凍れ!」
上まで入ったら、プリンカップごと一瞬で凍らせてカチカチにする。
「これをぬるま湯に入れてから取り出してみる。どうだ?」
そう言って、小鍋に少しだけ水を入れて温めてからお皿にパカっと取り出してみる。
「おお、綺麗な層になったじゃん。よし、これなら使えるぞ!」
お皿の上には、やや歪だけどマロンクリームとアイスクリームの層になったプリンもどきが出来上がってた。いや、ミルフィーユマロンアイスとでも呼ぶべきか?
思いのほか上手く出来たので、同じ要領で全部で十個作っておく。
「じゃあこれを真ん中にしてマロンパフェも作ってみるか。底はさっきと同じ要領でチョコソースで良いな。それでマロンアイスを入れて果物の代わりに甘露煮を刻んで入れれば良いな。よし、是非やろう」
これは主に俺が食べたい。
って事で少し考えて、さっきのチョコパフェよりもひとまわり小さくて浅い口の広いパフェグラスを取り出してみた。
「多分これくらいなら俺でも食べられるだろう。ええと、シャムエル様は……ああ、食べるんだな。了解了解」
嬉々として自己主張をするシャムエル様を見て、乾いた笑いをこぼしつつもう一つ同じ大きさのパフェグラスを取り出す。
「まずは底にシリアル、それからチョコソース」
そう言いながら適当にシリアルを入れてチョコソースを回しかける。
「俺の好みでこっちの渋皮煮を使うよ」
そう言って渋皮煮をやや大きめに刻んだのを入れる。多少見かけが地味だけど、美味しいんだから良いよな。
「それから、黄色の甘露煮を散らしたアイスを入れる」
別のバットに適当にアイスを取り、さっき刻んでもらった甘露煮を混ぜ合わせてから改めて凍らせてからディッシャーでたっぷりとすくって入れる。
「ううん、バランスが悪くなるから二個入れないと駄目だな。こんなに食えるかな?」
まあ、いざとなったら絶対喜んで食ってくれるお方がいるもんな。
苦笑いした俺は、もう一回は普通のアイスを入れてみた。
「それでここにさっきのミルフィーユマロンアイスを乗せて、周りに適当に生クリームと栗クリームを落として隙間に甘露煮と渋皮煮を散らし、それから飾り切りした果物を飾る。
ミルフィーユマロンアイスの上にも生クリームを落として甘露煮を乗せる。
おお、なんだかすっげえ豪華になったぞ。しかしこれを俺が全部食えるかなあ?」
ミルフィーユマロンアイスのアイデアは良かったんだけど、底にもアイスが入ってる事を考えたら、ちょっと完食は無理そうだ。
「じゃあ、もうちょい小さめのも作っとくか。アーケル君やランドルさんは絶対さっきのチョコパフェサイズでも完食しそうだ」
少し考えて、俺サイズは小さめの盃にマロンクリームだけを入れて凍らせたのを使ってミニパフェを作り、さっきのサイズと合わせて二種類で量産しておく事にした。
「そっか、このミニサイズでチョコパフェも作っておこう。俺もちょっとくらいは食べてみたいもんな」
て事で、パフェは大中小3サイズ展開で色々と作っておいたよ。これは今後も種類を増やしていこう。簡単だし見栄えが良いから作ってても楽しいよ。
それから、平たい足つきのグラスでプリンアラモードも量産しておく。
そして俺の髪を毎回大興奮状態で引っ張る収めの手に笑って頷き、作ったパフェは当然毎回祭壇にお供えしてから収納しておいたよ。
まあきっとシルヴァ達は大好きだと思うから、好きなだけ食ってくれたまえ。
パフェ作りが一段落したところですっかり忘れかけていた鬼柚ピールも取り出して、半分をチョコレートコーティングしておく。これは別に難しくない。湯煎で溶かしたチョコレートに鬼柚ピールを突き刺してチョコレートコーティングしただけだよ。
一つ食べてみたけど、チョコと柑橘系って合うんだよな。めちゃ美味しくてびっくりしたよ。シャムエル様もこれはかなり気に入ったみたいなので、もう少し多めに作っておく。
「これはかなり自己主張のあるお菓子だから、これ単体で食べるのが良さそうだな。よし、じゃあこれはこのまま食べる分にしよう」
って事で、チョコレートコーティングしたのはそのまま食べる用に、残りはグラニュー糖をまぶしておいて、刻んで焼き菓子に入れて使う事にした。まあ、ワインのつまみにするならそのままでも良いと思う。
「さて、そろそろ夕食の時間なんだけど、あいつらまだ帰って来ないなあ」
ランプに火を入れながら薄暗くなった外を見る。
「まあ、これだけパフェがあれば好きなのを選んでもらえるな。じゃあスイーツ作りはこれくらいにして、夕食の準備をしよう。俺が食べたいから今夜は鍋焼きうどんにするぞ」
作ったスイーツの残りは全部サクラに収納してもらい、まずは机の上を綺麗に片付ける。
「さて、何から作るかなあ」
定食屋で作っていた冬の人気メニューを思い出しながら、鍋焼きうどんに入れるトッピングを作るために、片手鍋を手にしたのだった。