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第六十七話 シュインの家

更新遅れて申し訳ございませんでした。

背景 親父


 今まで色々なことがあった。誰かのせいで森の番人を一人で務めることになったり誰かのせいでレイディアンと学園に入学することになったり誰かのせいでフェヴェリオスっていう魔女と戦うことになったり誰かのせいで多額の借金ができたり誰かのせいで誰かのせいで誰かのせいで誰かのせいで誰かのせいで誰かのせいで…………お前のせいでな!!

 …まあ、それは許さないとして一つだけどうしても聞きたいことがある。それは……



 「隠し子なんか作ってたんかぁぁあああああ!!」


 「ひぅ!?」


 「あ、すまん……」


 うん、冷静になれ。冷静になるんだ俺。隠し子なんか今のご時世そうめずらしくないじゃないか。うん、めずらしくなんかないぞ。誰だって隠し子の一人や二人……


 「いねえよ!! んなわけねえよ!」


 「みゅっ!?」


 「あ、す、すまん……」


 落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け!れれ、冷静になるんだ俺。光の王の異名を持つ俺ならこんなあやしさマックスのフラグなど回避できるはず!(?)


 軽く深呼吸をして心を落ち着かせる。そして、シュインの方を見ると少しだけ叫んだためか涙目になってうずくまっていた。……この子が、妹になるのか?


 「あー、すまん。少々取り乱してしまった。ちょいと思うところがあってな」


 「みゅぅ……。そ、それならいいんですけど」


 謝罪代りにシュインの頭をなでてやる。すると、シュインは気分が良くなったのか笑顔になった。


 「あの、それじゃあ私の家にでも来てください。汚い所ですけどお茶ぐらいは出しますよ?」


 シュインの言葉にレイオスは別段ここで断る理由もないなと考えると、


 「わかった。ご厚意に甘えるとするよ」


 もう少しくわいい話を聞かないと何も分からないな……


 もしかしたら捨て子を拾ってきたとかそういうおちだと信じて、レイオスはシュインの後について歩き始めた。























 歩き始めて約十分ほどは経っただろうか。他愛ない世間話で盛り上がった(主にシュインが話題を提供してくれたいたが)二人はようやくシュインの家の前に到着した。そう、到着したのだが……


 「……ここなのか?」


 恐る恐るシュインに聞いてみる。


 「はい、そうですよ?」


 不思議そうにこちらを見つめるシュインに対し、自分が今考えていることを悟られないように表情を崩さないようにする。が、これはいくらなんでもひどすぎる。


 


 それはもはや家と呼べるものではなかった。あばら家と言ったほうが正しいのかもしれない。元は茶色く確かな強度を誇っていたはずの壁は本来の役割を果たしておらず、至る個所に穴があき風化によってなのかは分からないがほとんどのレンガが黒く変色している。窓に関しては論外だ。あるはずのガラスはなく、中に入ってみるとある一室だけにかろうじてある程度。それも所々がひび割れ隙間風が入る始末だ。衛生状態もひどい。流浪民街の平均の衛生状態がどのくらいなのかはわからないが、はたから見れば廃墟のように見えなくもない。もとは白い壁だったであろうはずが今は全体の約八割が黒く変色している。それをよく見ればカビが壁にこびりついているのがわかったかもしれない。が、レイオスはそれより案内されたシュインの部屋に意識が集中していた。なにも、女の子の部屋だからとかそんなやましい気持ちで集中しているわけではないことを伝えておく。


 「…綺麗な所だな?」


 「ですよね。私、部屋はいつもきれいにしているんです!」


 どうやら声がうわずってしまったことにはばれていないようだ。それにしても…いつもきれいにしている、か。どうやらこの部屋は流浪民街の中では良好な状態らしい。だが、レイオスから見ればこの部屋も十分汚い部類に入ってしまう。それほど流浪民街の生活状況は厳しいのだろう。なのに、それを知っておきながらも何もしない国のお偉いさんは何をしていのか、という疑問が膨れ上がる。


 「はい、お茶です。そこのいすに座って飲んでくださいね」


 そう言ってシュインが引っ張り出してきたのは大きなロッキングチェアーだった。レイオスはその椅子にふと違和感を覚えた。特に高そうな代物ではなく、色もはげかけ価値としては全くと言っていいほどないのだがなぜか、椅子から不思議な気を感じる。


 (この感覚、どこかで………………?)


 と、その時だった。


 「ねえ、レイオスさん。レイオスさんはどこから来たんですか?その服装、この国のものじゃないと思うんですけど」


 どうやらレイオスの服に関心を持っているらしい。


 「ん、ああ。この服はどの地域にもない服だぞ、俺の母さんが仕立ててくれたものだからな」


 「へぇ~、そうなんですか。……いいな~、私もレイオスさんの生まれた所に行ってみたいです。私、生まれてから一度もこの国を出たことがなくて……」


 そういうとシュインの顔が少し暗くなった。


 「……俺が、連れてってやろうか?」


 「…………へぅ?」


 「いや、俺がこの国から出してやろうかって言ったんだが」


 シュインはまだ呆けたような顔をしていた。無理もない。レイオス自身は知らないことだが、この国の法律によって勝手に流浪民が国を出ることは禁止されているのだ。理由はというと、もしその法律を廃止した場合かなりの流浪民が国外へ行ってしまうこと。また、貴族のために奉仕する労働者がいなくなること、そして一番危険視しているのが国に恨みを抱いた流浪民たちが他の国を呼び寄せ反乱をおこすこと。そのため、流浪民が国を出ることは難しく貴族の許可を得ないと出れないという決まりまである。だから驚いたのだろう。それを苦もなく言ったレイオスに、それを本気で言っているレイオスにそして……見ず知らずのシュインのためにそんなことを言ってくれるレイオスに。 


 不思議そうにこちらを見るレイオスを見てシュインはおかしくなった。おそらく法律のことを知らないのだろう。だけど、本気で言っているように見えるレイオスを見ているとシュインもなんだか本当に国を出れそうな気がしてくる。


 (今日はいい日です。ありがとう、お父さんお母さん……)


 笑いながらお茶のお代わりを促すシュインにレイオスはただ不思議そうな顔をするのだった。

 


   


更新が遅れてしまい、本当に申し訳ございませんでした。ちょっと正月休み堪能している間に……二か月もたっていたとは。



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